真剣で私に恋しなさい!S~鳴く少女のマジ恋!~   作:Celtmyth

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三話の投稿です。今週、作品に対する感想と意見をいただき、それを意識しつつ内容を作っています。コメント、ありがとうございます。

前回のあらすじ

 義経たちの転入したその日、大和たちは改めて彼女たちとあいさつをした。最初はここにいた三人のつもりであったが天井より一年のクローン、健美が現れる。この時に彼女の存在と、その目的が明確になった。
 そして健美は大和に懐き、百代には警戒するようになった。



第三話「だらけ部(非公認)の入部者」

 

 義経たちの転入から翌日。特に騒ぎなどは起きずに放課後。空き部屋となっている第2茶道室で生徒と教諭、大和と宇佐美巨人が将棋盤を挟んで駒を指していた。

 

「あ~、小島先生とヴァージンロード歩きてぇな~」

 

 巨人は少し疲れているのか、むき出しの本心を晒していた。

 

「ヒゲ先生、武士道プランで少し疲れてる?」

「思ったほど疲れてねぇよ。義経は優等生だし、逆に気を遣って貰っているよ。ただ那須野与一が問題児なんだよ」

 

 言わずともわかること。中二病によるコミュニケーション不足が与一の抱える問題だった。

 

「それを本人には?」

「スパッと言ったが聞きゃしねぇ」

「珍しく体当たり教育をしたんだね」

「だって更生出来りゃあ小島先生も見直してくれるかもしれねぇじゃん」

 

 下心を素直に告げると巨人はチラリと大和に目を向けた。

 

「……与一の説得を俺に?」

「察しがいいね。それで返事は?」

「保留。今あいつを見てると思い出したくないことを思い出すから」

「そっか、お前は特にひどい方だったのね」

 

 これは男が一度通るものとしている巨人はそれ以上の詮索はしなかった。

 

「まぁ仲良くしておきたいけどね。弁慶はどんな感じ?」

「んー、川神水を飲んだり飄々としたりでよくわからんけど、まぁ大人しい感じよ。直江は結構、あいつとか好きそうだよね」

「性格が合いそうだね。仲良くしたいと思ってる」

「そうか。なんとなく近そうだし、わかるよ」

 

 そう言って巨人の一手。それに大和はすぐに一手を返し、しばし思考の時間となる。するとその後に、廊下の方から足音が聞こえた。

 

「ん、珍しいな。誰か通るのか」

「でもこんな場所に用なんてあるわけないし、通り過ぎるんじゃねぇ?」

「―――ところがどっこい、と」

 

 大和たちの声が聞こえていたようであり、そして扉が返事と共に開かれた

 

「弁慶。それに健美ちゃん」

「どーも」

「ピ」

 

 扉の向こうにいたのは弁慶と健美の二人。健美の手が弁慶の服を掴んでいたのでついてきた形なのだろう。

 

「なーんかいいダラ気を感じてね。自然と足が向いちゃったわけ。と言う訳でいていいよね」

「うーん。でもここはオジサンと直江の聖域だからな。無粋な真似はいただけないな」

「なんて薄汚いんだ……」

「ピ?」

「ああ、どこが薄汚いなんて知らなくていいから」

 

 首を傾げる健美に弁慶が諭す。すると健美は素直に頷いた。その反応を見て三人は『一番ここに似つかわしくないな、この子』と思った。

 

「んー。じゃあオジサンから質問。これに答えられたら許可する」

「オーケー、どんと来い」

「ピッ」

「あー、うん。お前さんはいいわ。弁慶が正解したら一緒でいいよ」

 

 ちなみにこれは二回も答えを聞くよりも楽だと思ったからである。さすがである。

 

 

 

 ~~~一つ問答中~~~

 

 

 

「よし、合格だ。このだらけ部入部おめでとう」

「だらけ部だったんだな、ここ」

「サンキュー」

 

 弁慶は巨人の問いに見事回答し、健美共々入部を果たした。

 

「じゃー早速入部祝いに川神水を頂こうかね」

「お前はいつも飲んでるだろ」

「何かあった時となかった時じゃ違うんだよ」

 

 そう答えて弁慶は宣言通り川神水を飲むのだった。

 それに対して健美は動物のように大和の背中に擦り寄った。

 

「おお、懐かれてるな直江。いったい何があったんだ?」

「なんか俺、この子に『良い人』判定を貰っちゃって」

「ふーん。逆に『悪い人』は?」

「姉さん。下心があるからって」

「あー、なるほどね」

 

 巨人もまたその理由に納得した。

 

「あー、そいや先生。体のどっか疲れてる?」

「え? そりゃあ疲労はいつも残ってるよ」

「じゃあちょうどいいね。健美、やってあげな」

「ピィ」

 

 何を? と疑問を持つ大和と巨人。その間にも健美は大和の背中から離れ、今度は巨人の後ろにやってくる。しかし今度は擦り寄るではなく、両手を巨人の背中に当てる物だった。

 

「えっ、ちょっと。何を――」

「……ピャ」

「オフっ」

 

 健美がなんか気合入れっぽい声を出すと巨人が変な声を出した。

 

「ヒゲ先生?」

「おぉ~、何これ。すっげー気持ちいんだけど~」

 

 そう言って巨人の顔に至福の表情が現れる。すごく中年っぽかった。

 

「弁慶、健美ちゃんはヒゲ先生の何をしてるの?」

「なに、ちょっとしたマッサージさ。健美は気を雷の属性に変えられるんだ。今やってるのはその応用」

「なるほど~。電気マッサージって所か。あ~、気持ち~」

 

 説明がされる中で巨人の表情がますます蕩けていく。

 大和はその特技に感心しつつ、『雷』と言う情報を付け加える。これでまた一つ、健美の正体に繋がるキーワードを手に入れた。

 

「これなら健美も堂々とここにいていいよね」

「寧ろいてくれ。名実共にだらけ部のマスコットで」

「うんうん。良かったね健美」

「ピッ」

「そうか。大和と一緒で嬉しいか」

 

 弁慶が言う通り、巨人に電気マッサージをしている健美は無邪気な笑顔をしていた。

 ここで大和はさっきから気になっていた事を弁慶に尋ねた。

 

「さっきから弁慶、健美の思っている事がわかるみたいだけど」

「そりゃあ長く一緒にいるからね。いまじゃ細かい事もわかるよ」

「へぇ~」

 

 やっぱり健美は動物みたいな子だな、と大和は改めて認識した。

 

 

 

 

 そんなこんなで今日の一日が終わり、大和は帰り際に弁慶と健美のアドレスを交換した。二人の連絡先を手に入れられて満足気な大和であった。

 




 三話、弁慶と健美がだらけ部に入部する話でした。

 内容にあった健美がこの場所に似つかわしくない理由
  ⇒健美は純真無垢だから「無気力」とか「めんどい」の属性は絶対に付加させてはいけないと
   思ったから

 次回は健美の実力の片鱗が見られます。お楽しみに
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