Re:+Re=4から始める異世界生活   作:まごちゃん

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第二話『哀しき友』

「さて、助けてやったんだからな。

話はたっぷり聴かせてもらうぞ。」

 

シノノメ・セイムは目の前の青年ナツキ・スバルと二人で寝室へと移動しようとしていた。

本来なら真っ先に青髪の少女の元へ向かい、そこで大精霊と出会うはずなのだが、微かに残るセイムへの不信感がそうはさせなかった。

 

「どこから話せばいいでしょうか…」

セイムは『リゼロ』を第六章の途中まで読んでいる。

仮に今がセイムの予想通り、第四章の最初辺りの時間軸だとすれば、この後に起こる悲劇も知っている。

本来ならそれを全てスバルに打ち明けたいところだが、セイムにはそれが出来ない。

それをするに値する信用をまだ勝ち取ってはいないからだ。

 

「どこから?…お前、生まれは?…あっと、地名は多分言えないだろうから方角でいいぜ。」

 

言えないとはどちらの意味だろうか。

言えないような事情があるのか、それとも、とある『力』によって物理的に言うのが不可能と言うことだろうか。

セイムはスバルがどこの生まれなのかもスバルの能力も、それによって生まれた犠牲も、その犠牲のせいで後にスバルが「試練」で苦しむことも知っている。

だからーーー

 

「俺は日本生まれの日本育ちだ!

お前もそうだろ?」

 

スバルが不意を突かれた顔をする。

そして、一瞬泣きそうな顔に変わり、最後にはまるで落としてしまった小遣いを3時間程かけて探し、結局見つからずに帰ろうとした時にそれを見つけた子供。そんな笑顔をしていた。

先程「泣きそうな顔」と表現した。否、ナツキ・スバルは泣いていた。

今までは言葉に出す事が禁忌とされていた事実を共有する仲間がいる。

そして、確認するようにスバルは言った。

 

「俺は…日本…で生まれた。

いや、俺『も』日本で生まれた。」

 

言える。言えるのだ。

誰にも理解してもらえなかった。

誰とも共有出来なかった。

誰にも打ち明けられなかった。

その事実を今、この世界に来て初めて、言ったのだ。

そして、そんなスバルを見ながらセイム自身も次は流石にアウトか?と警戒しながら言う。

 

「俺は、死に戻りをしている。」

 

そして、その言葉を聞いたスバルもすぐに意図を理解し、予め心臓の辺りを手で摩りながら言う。

 

「俺は…死に戻りを…している。」

 

ーーー言えた!

思わず声が出てしまう程に泣く。

これ程に泣いたのはエミリアに膝枕をしてもらった時以来だろうか。

あの時とは違う感動だ。

今はこの男を完全に信用したわけではない。

だが、死に戻りを話せる。

話したところで何かが解決するわけではない。

話したところで強くなれるわけでもない。

しかし、話すことができた。

それだけでもスバルの涙腺を破壊するのには十分過ぎる程だった。

そして目の前の男ーーセイムに礼を言おうと口を開いてーー

 

 

 

 

 

気が付くと、談話室で、ヴィルヘルムが怒鳴っているところだった。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

「…え?」

セイムは思わず尻餅を着いた。

学校から帰ってきた時の制服に特に持ち物は無し。

依然として先程までと変わりはない。

しかしそれはセイム自身の状態についてのみの話だ。

事実、先程まで泣き喚いていた青年、スバルはいなくなり、自分は最初の扉の前にただ腰を抜かしている。

そして、小説で培った脳で推測する。

なぜここにいる?

先程まで一緒に話していたスバルがいない。

代わりに最初に召喚された時の場所にいる。

『リゼロ』を読み込んだ彼にはこれだけで状況を把握するのに充分だった。

「死に戻り」である。

小説やアニメでもスバルが最初に死んだ時は、召喚された場所に戻った。

「死に戻り」で間違いない。

しかしそうなると、色々と辻褄が合わない。

まず始めに誰が死に戻りをしたか。これは俺で間違いない。

スバルのセーブポイントは、今日か昨日かは分からないがどちらかの昼頃、レムを見つけた時だ。

いくらなんでも1日や2日でセーブポイントが変わることはないだろう。

何より、俺に記憶がある時点で死に戻りをしたのは俺だ。

しかしそうなると俺がスバルと同じ能力を手にしたと言う事になる。

スバルは嫉妬の魔女に気に入られている。

確かスバルが死に戻りのことを誰かに話せないのは嫉妬の魔女とスバルしか知らない秘密を他の誰かに知られたくない「嫉妬」の所為だと云う考察を見たことがある。

そんな嫉妬の魔女が何故俺にその能力を渡したのだろうか。

まさか、スバルが飽きられてしまったのだろうか。

もしそうなら、スバルの能力は失われてしまっているのだろうか。

そして何より、何故あの場面で死に戻ったのか、だ。

あの部屋には俺とスバルしか居なかった。

スバルがあの状況で俺を殺すとは考え難い。

となると原因は…スバルが死に戻りのことを俺に話したからだろうか。

そこまで考えて思い出す。

死に戻る時に、嫉妬の魔女に言われた。

 

「調子に乗るな。私のスバルに変なことをーーー」

 

そこまでしか覚えていない。

 

「くそ、あの悪趣味女!

原作見た時から自己中とは思ってたけど!

しれっと聖域壊滅させるし!」

 

そして、そこまで言ったところで目の前に一瞬人影が現れる。

ヴィルヘルムだろう。時間稼ぎをすればスバルが勝手に現れてくれる。

そこまでどんなことを話そうかーーーー

 

 

 

そんな事を考えながら俺の意識と命は途切れた。

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