一応前半はストーリーにはバッチリ関係しているので後半は番外編を見る感覚で見てもらえると楽しいかもしれません。
いつも死んだ後に見る世界ーーー
黒い螺旋の中でスバルはいつものようにあの女にあった。
声は出せない。触ることも出来ない。
そのための器官が無いからだ。
そんな中、彼女が言った。
「もうすぐ。もうすぐで馴染むからーーー」
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セイムは途轍もない力に動かされていた。
急に右手に力が集まる感覚を感じたと思った後、気が付けば地竜に向けて撃ったことがない筈の魔法を撃っていた。
そして言うことを聞かない身体を止めようと、蝕まれつつある精神で抵抗していた。
氷槍で突かれ、螺旋の中、やっと解放されたと思っていると一人の女が現れる。
女はこう言い放つ。
「もう少し我慢すればきっとーーー」
ああ、これが嫉妬の魔女とか言う奴か。
そんな事を思いながらセイムの意識は微睡の中に消えて行った。
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これは、竜車が崩れ、セイムが暴れる少し前の話ーーー。
「ほう。それで僕に邸に敵が残っていないか確認を?」
「そうなの。お願い!ラインハルトきゅんが忙しいのは分かってる!でも…」
「…ら、ラインハルト殿。どうか頼まれてはくれないだろうか。」
気まずそうにしているのはヴィルヘルムだ。
妻の命を間接的にとはいえ奪った過去がある。
しかもそれが孫となると、複雑な思いがあるのだ。
クルシュはいくらラインハルトでも記憶喪失の事実は教えてはいけないと判断され、竜車で待機中だ。
「ふむ。今日は非番だから一日中フェルトと鬼ごっこをしようと思っていたんだが…」
「私はそんなこと一回も聞いてねえよ!ストーカーと言う名の鬼ごっこだろうが!」
金髪の少女ーーーフェルトが思わず叫んだ。
ラインハルトは少し考えてから首を縦に振る。
「まあ、王候補の家が襲われたとあればいくらライバルでも放っては置けないな。
分かった。行こう。」
「ほんと!?ありがとう!」
「ああ。だがその前にやらなきゃいけないことがあるみたいだ。」
「え?」
赤髪の男が二人の間を抜け、一歩前に踏み出した。
一歩ーーー常人の30倍はあるその一歩で勢いを付け、ラインハルトは目の前に現れた白髪の男を吹き飛ばした。
「え?なにいきなり?」
「うわ…あの白い奴の来た跡…家も全部壊してやがる…」
少女が戦慄する中白髪の男が服にキズ一つ付けずに立ち上がる。
「痛いなあ!?お前か!?僕は今気が立ってるんだよ!あの『匂い』…まるで俺が来るのを分かってたみたいに…それより!お前、なんのつもりだ?あーむかつく!僕は寛大だから怒りに任せて街を壊したりはしないけどさあ!君も邪魔するならこの家みたいにするよ!?」
「この家は…君が壊したのか?」
「君、人の話聞いてた?それにさあ!そうやって意味もない人を巻き込むなんてって顔しないでもらえる!?この家達は僕の進む道を邪魔したから壊したんだよ!僕の権利を侵害するやつは誰だろうと許さない!」
「いや、家を壊されたことで君を恨むつもりは無いよ。
守れなかったのは僕の責任だ。
ーーーだから、今止める。」
「君も僕の邪魔をするのか!?ああああああああもう!僕が何をしたっていうんだ!分かった!本当は戦いなんて野蛮な事したくないが…終わらせてやる!」
ラインハルトの、もしスバルがいれば「イケメンすぎだろ」とでも言いそうな台詞と、それとは対照的なレグルスの狂った台詞。
その二つが、衝突を始めた。
レグルスが土を拾い、ラインハルトに投げる。
ラインハルトはそれを後ろに飛んでかわし、ヴィルヘルムから刀を受け取る。
「避けるだなんて卑怯だ!」
「卑怯でも此処を守れるなら構わないよ。」
ラインハルトが目にも見えない速度でレグルスの背後に回り込む。
そしてヴィルヘルムの剣がレグルスを切り裂くーーー筈が、レグルスに当たった瞬間に折れた。
不意を突かれたラインハルトが蹴りを食らう。
しかし、素人のような動きで繰り出された蹴りは彼に一切のダメージを与えていなかった。
だが、ほんの一瞬怯ませることには成功した。
レグルスがその間隙で砂を拾い、ラインハルトに投げる。
そのままラインハルトに命中ーーーする前に、欠けた刀によって弾かれた。
そして武器を失ったラインハルトの蹴りがレグルスに命中する。
レグルスの身体が30mほど上に打ち上げられる。
そして一蹴りでその高さまで追いついたラインハルトが踵落としを炸裂させる。
落ちたレグルスをラインハルトが空気を蹴って追撃ーーーする前にレグルスの砂がラインハルトを襲った。
「ぐはっ!?」
「君、『剣聖』とか呼ばれてるみたいだけどやめた方がいいんじゃない?
僕が地に落ちれば当然砂も手に入る。
君は空で僕を蹴り続けでもしてれば良かったんだ。
まあそれでも僕には勝てないけどね。これは自惚れでも何でもない。事実だよ。」
「そうか。なら大瀑布にでも飛ばせばいいかな?」
「なっ!?」
立ちあがったラインハルトが余裕の表情でレグルスを上に弾きあげる。
そして、予告は挑発でも冗談でも無かった事を告げるように東の方角へ思い切り蹴る。
空気を蹴り、レグルスに追いついたラインハルトがまた蹴る。蹴る。蹴る。
スバルがいれば恐らく「サッカー」を連想したであろうその動きにレグルスは反応すら出来ていない。
「な…なんで生きてる!?」
「ああ、僕には『不死鳥の加護』があるからね。
死んでも生き返れるんだ。」
「そんな出鱈目な能力…ありえない!それよりお前!まさか本当に大瀑布へ!?」
鼻歌交じりにラインハルトがレグルスを蹴り、ロズワール邸の遥か上を超え、砂漠へと辿り着いた。
「なんだ…ここは!?おい!?何をした!」
そこはかつてラインハルトでさえも突破出来なかった砂漠だ。
目の前に塔があるのに辿り着けない。
「大瀑布は無理な様だな。
まあ大罪司教ならその匂いに魔獣どもがすぐ寄ってくると思うよ。」
「なんだと…!?おい!待て!」
空気を蹴ってラインハルトが元々来た方向へと戻っていく。
こうしてレグルスは、死に戻りが始まるまで魔獣と戦い続ける羽目になったのである。
書き溜めしてないので更新なかなかなかなかにィ〜厳しいです。
もしかしたら今後は一日2話ペースが保てないかもしれません…
大変申し訳ありませんm(_ _)m
それでも一日一話は頑張って続けて行こうと思いますのでそんな怠惰な私を応援よろしくお願いします