決勝戦が終わり、俺は控え室に戻ろうとした時
「ちょっとお待ちになって!」
「どうしました?」
シャルロットさんに声をかけられた。
「こんな良き試合をしたのは、人生で初めてです。その記念に一つ占いをしてもよろしいでしょうか?」
「俺をですか?」
「はい。迷惑であれば、遠慮なく言ってください」
うーん。占いかぁ……
まぁ、自分が損することは絶対にないとだけは言える。
「わかりました。占いしても大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。では……」
シャルロットさんは10秒ほど目をつぶる。そして
「見えました。1940年7月1日にあなたの今後の人生を左右する素敵な出会いがあると告げています」
「素敵な出会い……」
俺は1940年7月1日という日に見覚えがあった。ポケットから例の紙を出す。そこに書いてある文字を確認する。
1940年 7月1日 葛木父から手紙が来る
葛木父……
俺は不思議に思いながら、控え室に戻ったのだった。
控え室に戻ろうと歩いていたら、前方にこっちに向かって、走ってくるリッカさんの姿があった。
「あっ、リッカさん。俺、優勝しまし…」
バタッ
「あぶ……」
リッカさんがいきなり、抱きついてきた。
?……?どどうなってるんだ?
俺は今の状況がわからなかった。わかるとしたら、からだの前にはリッカさん。大きな胸が俺の体に当たっていること。心臓が異常なほどにドクンドクンしていること。
ドクンドクン?ドキドキ?
というか…あの……当たっているんですけど……?
「リッカ~、タツオさんが困っているよ」
ジルさんが息を切らしながら走ってきた。
「あぁっ…ごめん。つい、嬉しくて」
リッカさんはそう言って、俺から離れた。まだ、俺の心臓はドクンドクンとドキドキがとまらない。
「でも、凄かったよ。私もあんな試合、初めて見たよ」
「そうね。そして、タツオが勝った。これは凄いことよ」
「そんなにですかね…」
俺はちょっと…いやめっちゃ照れながら言った。可愛い女の子達に誉められるとこんなにも嬉しいものなのか…
『閉会式をしますので、選手の皆さんは一度グラウンドに集まってください』
「もう、閉会式?俺、ヘトヘトなんだけど…」
「ほらっ、あと少し頑張って。行くわよ」
リッカさんに手を引っ張られる。
なんか…決勝戦後のリッカさんは責めてくると思うのは気のせいだろうか?
手を引っ張られながら、俺はリッカさんに聞いた。
「思ったんですけど、ジルさんって今回のグニルックに出てませんよね?」
「えぇ、そうよ。それがどうかした?」
「どうかした?じゃないですよ。なんで出てないのかなって…」
「それはね。まだあの子…魔法が充分に使えないの。魔法を充分に使えるようになってから、グニルックに出るって言ってたわ」
「なるほど」
そうか、ジルさんはまだ魔法が使えないのか…。だから、昨日の夜、オオカミとの戦闘の時もジルさんは戦わなかったのか。いや、戦うことができなかったのか
それよりも、リッカさんがぐいぐい引っ張ってくるんだが…
だが、俺は凄く嬉しいかったのだった。
「優勝タツオ殿。栄誉を称えてこれをお送りします。おめでとうございます」
パチパチパチパチ
俺は観客、選手、運営人、会場の全員に拍手された。
そして、賞状を渡された。いや、賞状だけではなかった。
渡されたものそれは
100万円と書いてある箱だった。
ええっマジですか?(;゚Д゚)
その箱を受けとると思ったよりも重かった。
うん…これはガチで入っている。
「皆さん。もう一度盛大な拍手を」
パチパチパチパチ
拍手よりも100万円に俺は驚いていたのだった。
グニルック競技会が終わり、3人で夕食を食べていた。
食べる前に例の箱の中を見ると、本当にお金が入っていた。
持ち運ぶのは面倒だったので、銀行に預けたが。
「優勝したら、100万円がもらえるなんて、聞いてないですよ」
俺は2人に言った。すると、リッカさんは笑いながら
「ふふ。そうだったかしら、そんなことよりも私はタツオが優勝したことが嬉しいの。じゃあ、タツオの優勝を祝して」
「かんぱーい」
「「かんぱーい」」
リッカさんにつれられて、俺とジルさんは乾杯した。
なんか、誤魔化された気もするけど、今は優勝したことを祝うべきかもしれない。
「毎回、グニルックの優勝景品はお金であることが多いのよ」
ご飯食べながら、リッカさんが教えてくれた。
「えぇ?本当ですか?」
「えぇ。本当よ。いつもは参加費をとられるんだけど、今回は何かの記念で無料で参加できたの」
「ふむふむ。なるほど」
「それで、タツオさんはこれからどうするの?」
ジルさんが聞いてきた。
これから…
グニルック競技会が終わった今、俺は本来の目的を達成しないといけない。所持金もプラス100万円になったため、しばらくお金に困ることはないだろう。
それに次回のグニルックが行われる場所も知ることかできた。しかも、今回よりも大きな大会になるらしいので、優勝景品も今回よりも豪華なはずだ。
「うーん。どうしようかな」
俺が考えていると…
「よかったら、このまま…一緒に旅をしませんか?」
「ジル。それナイスアイディア!」
一緒に旅…
一緒に旅をするのは、とても嬉しい。だが…
俺には大事な指名がある。それは
さくらをこの時代に連れてくること
それが失敗するとなると、もうこの世界は終わりだ。
「一緒に旅をしたいけど…ごめん。俺には大事な…やらないといけないことがあるんだ」
「えぇー!こんな可愛い2人の美少女と旅が出来ないほどの大事なことなの?」
リッカさんがぷくーと頬を膨らませながら、聞いてきた。
少し不機嫌そうなリッカさんも可愛い…
だが、この表情を当分見ることが出来ないとなると、なかなかきついなぁー
「うぅ……」
「リッカ、タツオさんが困ってるよ。大事な事ならしょうがないよ、リッカ」
「ジルは。タツオと一緒に旅がしたくないの?」
「私はしたいよ。でも、タツオさんにもタツオさんの大事なことがあるんだよ。私達も旅をするという大事な事があるでしょ?それと一緒だよ」
「うぅ……」
リッカさんはジルさんに言われて、少しは納得したようだ。
やっぱり、ジルさんはリッカさんの保護者かもしれない。
「じゃぁ、タツオ!」
「ははいっ?」
リッカさんが突然大きな声で言ったので、俺はビックリしてしまった。
「また3人で一緒に旅をしたり、ご飯を食べる。約束よ」
約束……
「わかりました。それなら、指切りしますか?」
「「ユビキリ?」」
リッカさんとジルさんは指切りがなんのことかわからないようだ。
しまった……ここは日本ではなかったのだった。
「指切りというのは、日本で伝わる、約束を絶対に守るというおまじないです」
「日本…ジャパンで伝わるおまじない…わかったわ。やりましょう」
俺は指切りがどんなのか、説明をした。そして
「「「指切りげんまん。嘘ついたらハリセンボンのーます、ゆびきった」」」
3人だけの約束が結ばれたのだった。