差出人はもちろん、葛木父からだった。葛木父の名前はわからなかったが、神様の予言があったから、わかった。
気になる内容は
拝啓 お忙しい中での手紙を差し出したご無礼お許しください。どうしても、タツオさんにお話ししたいことがあり、手紙を出しました。もし、よろしければ自宅へ来ていただけませんか?住所を下記に書いておきます。
以下省略
俺に話したいこと?
葛木父から話したいことと言ったら、例の件かもしれない。例の件それは...
葛木家を鬼の呪いから解放すること
主人公清隆もその件について調べるためにロンドンの魔法学校に入学したのだ。
俺が葛木家について知っていることは
葛木っていうのは、日本各地に存在する超自然的な力が暴走しないように監視する、監視者の家柄のこと
葛木家の祖先は全国を漂白していた渡り巫女の一族のこと
鬼は代々『お役目』と呼ばれる一族の正当後継者の身体を犠牲に封印されること
葛木家で鬼を身体に宿せるのは女子だけということ
母から娘へ、娘から孫娘へ...その封印は代々、受け継がれていること
だが、鬼の大きすぎる力は、お役目...宿主の身体を徐々に殺していくこと
ぐらいだった。鬼の力を止める方法は今まで、ひたすら勉強してきた俺でもわからない。
「とりあえず、行ってみるか」
俺は手紙に書いてある住所を見ながら、葛木家を目指した。
1時間ほどで葛木家についた。葛木家は外から見ると、和風のお屋敷のような感じだった。
俺はインターホンを鳴らす。
ピンポーン
ガラガラー
「お待ちしておりました。タツオさん。どうぞ中へお入りください」
数秒後に葛木父らしき、男性の方が出てきた。俺は言われるがままに家に入る。
座敷に案内され、俺は座布団に座る。
「忙しい中ありがとうございました。どうぞ、お茶でも飲んでください」
俺は葛木父にお茶を差し出されて、お茶を飲む。
ゴクゴク
ふぅ…やっぱり、日本の緑茶はおいしい。
「それで、お話ししたいこととはなんでしょうか?」
俺は早速手紙の本題に入る。まぁ、俺に話したいことと言えば、鬼の件しか思い当たらないんだけど
葛木父と会うのも、今日が初めてだった。
「話というのは、タツオさんは私たち葛木家についてはご存知でしょうか?」
「えぇ、葛木家というのは監視者の家柄ということですよね?」
「はい。その通りです」
葛木父はそこで間を置く。そして
「タツオさんは鬼について知っていますか?」
やっぱり、鬼の件なのね
「はい。ある程度なら...」
俺の知っていることは全部、ゲームの中に出てきたことだ。ゲームの中に出てきたことは葛木父も絶対に知っている。
「おぉ!ご存じでしたか。でしたら、鬼の力のことについて詳しいことはご存知でしょうか?」
ここは早めに知らないことをいった方が良いのかもしれない。いや、早めに言っておこう。
「すみませんが、鬼の力を止めることについては私も知らないのです」
「....そうでしたか....」
葛木父はガックリした様子だった。多分、俺だけが頼みの綱だったのかもしれない。だが、ここで俺は閃いた。
「ですが、もしかしたら、ロンドンの魔法学校の風見鶏なら...何か分かるかもしれません」
「か風見鶏?ですか」
「はい。あそこの図書館は世界中のどこよりも一番大きいので、もしかしたら、鬼の力について書いてある書類があるかもしれません」
「なるほど...わかりました。教えていただきありがとうございました」
葛木父はさっきよりも明るい表情だった。
多分、俺が教えてなくても、清隆と姫乃ちゃんを風見鶏に送っていただろう。だが、ガックリしている葛木父を慰めるにはこれしかなかった。
とりあえず、お茶を飲もうかな
俺がお茶を飲んでいると
「話はもう一つあるんです」
「もう一つ?」
話がもう一つあることにビックリした。もう一つの話とはいったいなんだろうか?
「実はタツオさんに養子を引き取って欲しいことなんです」
「養子!?養子ですか?」
俺は葛木父が突然そんなことを言うとは思ってなかった。
養子と言ったら、葛木家での養子は主人公の清隆になる。ここで、葛木父が清隆を引き取って欲しいというまで、この世界は元の世界よりも変化しているのか?というか、俺が転生しただけで変化しすぎなんだが?
「おーい。姫乃ー」
葛木父が大きな声で呼ぶと
バタバタバタバタ
「はぁーい。お父さんどうしたの?」
姫乃ちゃんが元気な様子で来てくれた。この頃は姫乃ちゃんはどれぐらいの歳なんだろうか?見た目は小学生ぐらいに見える。
「姫乃。ちょっと、お兄ちゃんとお姉ちゃんを呼んできてくれないか?」
「はぁーい」
姫乃ちゃんは元気な返事をして、バタバタと部屋を出ていってしまった。
か..かかわいい...って、何かがおかしい。
俺は葛木父がさっき言ったことを思い出してみる。
『姫乃。ちょっと、お兄ちゃんとお姉ちゃんを呼んできてくれないか?』
「お…お姉ちゃん!?」
葛木家に姫乃ちゃんのお姉ちゃん?なんていただろうか?お兄ちゃんは清隆のことだろう。しかし、お姉ちゃん?は思い当たる節がなかった。
これはもしかして、オリキャラ?
そんなことを考えていると
「お父さんー。連れてきたよー」
姫乃ちゃんに手を引っ張られて入ってきたのは清隆と...
可愛らしい女の子だった。
かわいい...って、この子どこかで...
「養子の清隆と昨日に養子になった陽ノ本葵ちゃんです」
俺はその言葉を聞いて、硬直していた。開いた口が閉じることができなかった
「この子達は魔法使いの家柄に生まれず、天然の魔力持ちとして生まれたせいで、不思議な力を持つこの子を周囲の人間が持て余し、家族から見捨てられていた所を私が引き取ったのですが...」
確かに、陽ノ本葵って言ったよね。俺の聞き間違いじゃなければ...
「引き取った後に考えてみれば、3人も育てるのは私には厳しい限りです。なので、タツオさんに相談してみたのですが、その、迷惑でなければ...」
俺はここで、150年ほど前のグニルック競技会の決勝戦の相手、シャルロットさんの占いを思い出した。
今後の人生を左右する素敵な出会い
そう、まさしく今がその時だった。もちろん、答えは
「わかりました。私でよろしければ、責任を持って引き取らせていただきます」
「それはありがとうございます。では、これからこの子をよろしくお願いします。葵ちゃん、この人が今日からパパだよ」
「パパって、そそそんな...あ…ははは」
「この人がパパ?」
葵ちゃんはまだわからないのだろう。無理もない。小学生にいきなり、3人目のパパだよとか言われて理解できる小学生がいるわけが...
「よろしくお願いしますです!」
葵ちゃんの元気な挨拶が俺の心臓に響いた。
こうして、今日から陽ノ本葵ちゃん。葵ちゃんとの生活が始まった。