葵ちゃんを葛木家から引き取ってから、1年半年がたった。
始めの頃はお互いにぎこちない感じだったけど、一緒に暮らす日々を送っていると、しだいに仲が深まっていった。
「お父さーん。今日は何して遊ぶ?」
今では、お父さんって言われながら、毎日遊ぶ日々を送っている。葵ちゃんにお父さんと言われるのは、嬉しいのは嬉しいが、1950年の未来が心配だった。その太陽のような笑顔を守るために、魔法が仮完成しても、俺はまだ勉強をしていた。
「うーん。そうだな…今日はどうしよう」
葵ちゃんの年齢はいまだにわからない。だが、小学生ということはわかる。学校に通わせようかと思ったが、年齢がわからない子を入学させてくれる学校はなかった。だがら、遊ぶといっても、勉強になりそうな遊びをしている。
カルタやトランプ、すごろくやブロック、この頃はオセロや将棋にもチャレンジさせている。
今日はどんな遊びをしようか…
「私、絵本って言う遊びをしたいです!」
葵ちゃんは目を輝かせながら、言ってきた。
絵本?絵本は読むものなんだけど…
そこは置いておくことにして、
俺の家には絵本はなかった。しかも、今ここはロンドン。葵ちゃんを育てることが決定した去年から、また資金稼ぎのために、俺のグニルックの旅が始まったからである。
しかし、ロンドンに絵本は存在するのだろうか?
存在しなくても、それらしき物を買ってこよう。
「わかった。今日は絵本を読んであげよう。そのために絵本を買ってこな…」
ピンポーン
俺が言い終わる前に家のチャイムが鳴った。
ちっ……今から葵ちゃんと一緒に絵本を買いに行こうと思っていたのに
「葵ちゃん。ちょっと、待っててね」
「はいです!」
俺は不機嫌になりつつも、玄関に行って、ドアを開けた。
ドアを開けると、黒服の黒サングラスをかけたいかにも秘密組織的な人2人と女性が1人いた。
なんなんだ……こいつらは……今日は逃走中でもやってたかな?
「はじめまして、カテゴリー5のタツオ様でしょうか?」
「は…はい…」
俺は戸惑いながら返事した。
絵本を買いに行こう!と言ってから、まだ数分しかたってないのに一気に変な感じに変わってしまった。
「突然の訪問すみません。実はタツオ様に女王陛下から頼み事があって、訪問させていただきました」
「女王陛下?」
俺はあの手紙を思い出す。
女王陛下に頼んで、非公式新聞部を作る。
それが今なんだろう。多分
「詳しいことは女王陛下が説明しますので、今から女王陛下の元へ来ていただけませんか?」
「今から絵本を買いに行こうと……ってあっ。すみません」
しまった。口が滑ってしまった。
「絵本?絵本なら、こちらが用意致します」
この対応を見る限り、女王陛下はどうしても俺に頼み事をしたいのかもしれない。
「じゃあ、娘も一緒に行ってもいいですか?家に一人だけにするのは、何かと危ないので……」
「娘さんがいるのですね。もちろん、娘さんも一緒に来ても大丈夫です」
こうして、女王陛下の元へ葵ちゃんと一緒に向かった。
車で向かうこと、1時間。ついた場所は
「風見鶏?」
ついた場所は魔法学校の風見鶏だった。ゲームで見た学園と
全く同じだった。
女性に案内されて、学園長室と書いてある部屋にたどりついた。
「では、娘さんはこちらで預からせていただきます」
「わかりました。娘をよろしくお願いします」
俺は女性に言って
「じゃあ、葵ちゃん。パパお話してくるから、待っててね。それまで、このお姉さんが遊んでくれるからね」
「うん!帰ってきたら、絵本で遊ぼうね」
葵ちゃんの笑顔を見て、俺は扉を開けた。
「お待ちしていました。タツオさん」
椅子に座っていたのは、風見鶏の学園長と女王陛下、2つの名を持つエリザベスさんだった。
「やっぱり、シャルロットさんに似ていますね」
150年前に決勝戦で対戦したシャルロットさんに似ていた。
「まあ!祖母を知っているのですね!今、紅茶を入れますね」
俺は椅子に座ってエリザベスさんが入れた紅茶を飲んだ。
「それで…頼み事というのは?」
俺は早速本題を聞いた。しばらく、世間話をするのもいいが、用事は早めに済ませたい。
「えぇ。頼み事というのは、私、女王陛下の頼み事を実行して下さる人になって欲しいのです。タツオさんに」
まぁ、こういうことだとはわかっていた。
「わかりました。でも、条件が3つあります」
俺はいずれ、このことを言われる時が来ると思い、エリザベスさんに要求する条件を考えていた。この条件は今後の展開に重要なことだ。
「条件…?私でも叶えることが可能な条件なら…」
「では、1つ目は、今後、女王陛下直属の情報部が必要になってくると思うので、非公式新聞部という秘密組織を作っていただけませんか?部長は私で、部員はエリザベスさんが選んだ人達で大丈夫です」
まずは神様のアドバイスの非公式新聞部を作ることからだ。俺が非公式新聞部を作ることによって、未来がどう変化するかはわからないが、アドバイスには従っておこう。
「ひこうしき新聞部ですか?わかりました。私も女王陛下直属の情報部は作ろうとしていたので、好都合です」
「それは良かったです。では、2つ目の条件は、その非公式新聞部に将来、
ゲームの中では非公式新聞部に葵ちゃんがどうやって入ったのかは知らない。だが、この世界の葵ちゃんは俺の養子として育っている。この世界はゲームとは展開がことなっているため、葵ちゃんが非公式新聞部に入っていない未来になることも予想される。それだけは絶対に阻止するために、2つ目の条件に入れた。
「タツオさんの娘さんですか?確か、名前は葵さんでしたよね?」
「はい。そうです」
「別に構いませんよ。私でも叶えることができそうです」
2つ目の条件もクリアと…
そして、最後の条件。これは将来を予想して、出した条件だ。
「最後の3つ目の条件は、リッカさんにこれを渡して欲しいことです」
俺はエリザベスさんに小さな箱を渡した。
「リッカさんに?渡すことは問題ないですが、中身を聞いてもよろしいでしょうか?」
「ネックレスです」
箱の中身はネックレスだ。これは間違いない。
「ネックレスはネックレスですが、普通のネックレスではないですね。何か強力な魔法がかかっています。その魔法を教えていただければ、リッカさんに渡します」
流石エリザベスさんだ。箱を持つだけで魔法がかかっていることを見破るとは…
「その魔法はネックレスをはめた人が術者に関わった記憶を消す魔法です」