寮の自分の部屋で届いた荷物を整理する。たくさんの荷物を送っていたため、整理は思ったよりも時間がかかってしまった。
「ふぅ……何とか終了」
うーん。これから、どうしよっか?
疲れた体を休める選択もあるが、久しぶりに風見鶏に来たため、懐かしの風見鶏を観光することにした。
少し疲れた体を動かして、俺は寮を出る。すると入口付近には葵ちゃんと清隆と姫乃ちゃんがいた。
もしかして、今までここで、立ち話でもしていたのだろうか?
「だいたい、こんなところでしょうか?大急ぎで回ったから、詳しい説明はできませんでしたけど」
「いや、十分だよ。なぁ?」
「ええ。初日からこれ以上情報入れたら、頭がパンクしちゃいますし」
大急ぎで回ったということは葵ちゃんが道案内でもしていたのだろうか?俺の脳にはここらへんのゲームの記憶は忘れていた。
「あとはおいおい知ってくから、いいよ。あっ、タツオさん。荷物の整理終わりましたか?」
清隆が俺に気づいて、声をかけてきた。俺は3人の元へ行く。
「あぁ…何とか終わったよ。もしかして、葵ちゃんに道案内でもしてもらった感じ?」
「はい。私たちまだ知らないことばかりなので、葵ちゃんに教えてもらっていました。ありがとね、葵ちゃん」
姫乃ちゃんが葵ちゃんにお礼をする。
「いえいえ、どーいたしまして♪」
姫乃ちゃんの機嫌も直っていた。
「それじゃあ、わたし、次のバイトがあるんでこれでって………あ!!」
葵ちゃんは何かに気づいて脚を止めた。
彼女の視線を追うと、寮の入口から金髪の女性が出てきたところだった。金髪って言ったら、あの人しかいない。
「こ、こんにちは!」
「…こんにちは」
葵ちゃんの緊張した面持ちに、金髪の女性は優雅な笑みを浮かべ、挨拶を交わす。
金髪の女性…何年前になるかわからないが共に旅をした仲間。流れるような髪、すっとした顔立ちに、涼しげな目元、背筋の伸びた堂々とした歩き方。
昔と変わってないなリッカさんは
いや、昔よりも落ち着いた感じになったかもしれない。
リッカさんの首には俺がエリザベスさんを通じて送った、桜の首飾りがしてあった。
エリザベスさん情報では、現在も大切に身につけているらしい。
「…………」
無言のリッカさんに清隆は即座に会釈した。
「………」
ほんの小さな笑みが返る。すれ違った瞬間、ほのかに桜の花の香りがし、聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で
『これから、楽しみになりそうね』と俺には聞こえた。
俺だけに言ったのだろうか?
清隆は慌てて振り返ったが、リッカさんはそのまま校舎の方へ行ってしまった。清隆は数秒間、彼女の後姿をぼーっと眺めていた。
「はぁ……。相変わらず………かっこいいですねぇ」
「今の人は知り合い?」
「はい」
「堂々とした方ですね………。上級生?」
「そうですね。風見鶏に在籍する人だったら、知らない人はいないと思うくらい有名な方ですよ」
「ってことは、ひょっとして名のある魔法使い?」
「わたしは魔法使いじゃないから、そっちの方はよくわからないですけど、多分、そうだと思います」
「………ってことは」
清隆は葵ちゃんの言葉で何かピンと来たようだ。
「ひょっとして、あの人がリッカ・グリーンウッド?」
「わあ、よく御存じですね。そうです、あの方がリッカさんです♪」
葵ちゃんは微笑んでいる。
「そんなに有名………なんですか?」
「有名も何も、カテゴリー5の魔法使いだぞ」
その瞬間、姫乃ちゃんの目が大きく開く。
「え、カテゴリー5って世界に5人くらいしかいないんじゃなかったでしたっけ?」
「そうだよ。そのうちのひとりだ。そっか、あの人が噂に名高い《孤高のカトレア》か……」
清隆は去りゆく、リッカさんの後姿を眺めている。
「それって凄いんですか?」
魔法に関しては知らない葵ちゃんが聞いた。
「すごいですよ。だって、基本的に魔法学校に入学した段階ではカテゴリー1、卒業してやっと2がもらえるんですよ」
姫乃ちゃんが葵ちゃんに説明をする。
「へぇ、そうだったんですね。凄い人だってのは聞いてましたけど、そこまでとは…」
「なんで、そんな人がこの魔法学校に…」
「さぁ…」
3人は首をかしげている。
ここはちょっとだけでも言うべきなのかな
「うーんとそれはね………」
「えっ、タツオさんはこの魔法学校にいる理由を知っているんですか?」
思ったよりも清隆が食いついてきた。
そんなに理由を知りたいのか……
「彼女は桜の研究のためにこの魔法学校にいるんだよ」
「桜の研究…ですか…」
清隆はそのまま何かを考えていた。
やっと、オリジナル要素を入れることができそうです。