仮に通された待合室は、すでに多くの生徒で賑わっていた。とりあえず、俺はかったるいので(眠いので)どこか一人で落ち着けるような席に座ることにした。
「じゃあ、清隆、姫乃ちゃん。俺は寝ることにするわ」
「えっ、タツオさん。今から寝るんですか?入学式はもう少しで始まりますよ」
姫乃ちゃんに言われるが、睡魔はじわじわ攻撃するのをやめてはくれない。
「まあ……だいじょうぶ。じゃ、ふわーあ」
俺は端っこの席で仮眠を取ることにした。さっきまでは眠くなかったが、突然眠たくなることは極たまにある。
はぁ……寝みぃ
俺は夢の世界へ旅だったのだった。
「タツオさん。起きてください。講堂へ行く時間ですよ」
うん?誰かに肩を揺らされる。
「はぁーあ。まぁまぁ寝た。まだ寝みぃけど」
俺を起こしてくれたのは、清隆だった。
「清隆……。起こしてくれて、ありがとう」
「こいつ、これから入学式があるのに、寝てるなんて、どうかしてるぜ。それとも、精神統一でもしてたのか?ははは」
うん?この声は……
俺は声がした方向を見ると、人形使いで有名な江戸川家の御曹司の江戸川耕助がいた。その隣には人形の江戸川四季さんもいた。ゲームで見たことしかなかったが、実際に会ってみると、耕助はいかにも性格が面白そうである。
「マスター。初対面の方にいきなり人様を侮辱するのは、ダメですよ」
「あぁ…悪い。清隆、こいつ何て言う名前なんだ?」
「タツオさんだよ。日本から出た船の時から、ずっと一緒に話したりしてたんだ」
「へぇ、タツオね。俺は江戸川耕助」
それから、四季さんも自己紹介をして、5人で会話をしながら、講堂へ向かった。
行く途中、耕助と四季さんのコントのようなやり取りが面白くて、めっちゃ笑ってしまった。
新入生全員は講堂に集められた。俺は、姫乃ちゃんや清隆、先ほど知り合ったばかりの耕助、四季さんとともに列に並び、式の始まりを待った。
「なんか、退屈だな…」
「私語は慎めよ」
「なんだよ、意外と真面目だな」
「お前が不真面目すぎるんだ」
「まぁまぁ、固いこと言うなって」
「わたしも兄さんに同感です」
「わ、姫乃ちゃんまで…ひどいなぁ…」
「マスターは静かにしていた方がアホがバレなくて良いと思いますよ」
「よ、余計な御世話だっ。タツオも何か言ってくれよ」
俺に助けを求めてくる耕助。
耕助…やっぱり、お前は面白いわ。
そう思った時、俺たちの前に学園長が姿を現した。
それに合わせて無人の楽器たちが音楽を奏でる。荘厳…というよりは優雅な曲調だった。やがて学園長は正面の壇上に立ち、目を細めて俺たち新入生を見渡した。
『皆さん、はじめまして。王立ロンドン魔法学園にようこそ』
「…あれ、誰?何かめっちゃ美人なんだけど」
耕助が声をひそめて清隆に声をかけている。
『私は皆さんを歓迎します。これから過ごす濃密な期間は、きっと皆さんにとってかけがえのない日々になることでしょう。皆さんが立派な魔法使いとなって巣立っていくその日まで、私たちは一生懸命、貴方がたをサポートしていくつもりですのでー』
俺は立ちながら、うとうとと舟をこいでいた。
まだあまり仮眠は取れていなかったようだ。
ちょっとうとうとしながら、話を聞いていたら、いつの間にか生徒会長のシャルルさんの話になっていた。どうやら、俺がうとうとしている間にエリザベスさんのお話は終わっていたようだ。
『また、これからおこなうクラス分けは、それぞれのクラスの総合力が均等になるよう、こちらで調整させていただきます。今後、何かとクラスごとに競い会う機会も増えると思いますので、今のうちに同じクラスの仲間とは仲良くなり、チームワークを磨いておいてくださいね』
シャルルさんのお話はどうやら、終わったようだ。ちょっと聞いていなかった部分もあったが、最後の話は聞いていた。
そういえば、クラス分けはどうなるのだろうか…
次に壇上に現れたのは巴さんだった。俺はこの巴さんのシーンは覚えている。
確か、三種の神器を説明をするだけだったような気がする。
それなら、俺の仮眠時間で問題ないな…
俺はまた少し仮眠を取ることにした。