現在、清隆への尋問は終わり、俺への尋問が始まろうとしていた。
何でも、どんとこい!
「ちなみに清隆くんはタツオって、名前をここに来る前に、どこかで聞いたことある?」
俺はリッカさんの質問に構えていたが、リッカさんは清隆に質問をした。
「えっ、タツオさんですか?いえ、ここに来る前の船で会ったのも初めてでしたし、名前も聞いたことありません」
リッカさんの質問に清隆は素直に答えた。
「そう、日本じゃ知られてないのね」
リッカさんはすっと目を細めた。
「タツオさんがどうかしたんですか?」
清隆はリッカさんに聞く。そして、
「清隆くん。タツオって、名前……魔法使いの世界じゃ、有名なの。日本までは行き届いてなかったらしいけど。今年の入学してくる生徒リストにタツオって、名前があったから、もしかしてと思ったけど……。人違いではなさそうね」
「滅相もない。俺は普通の単なる魔法使いです」
多分、いや絶対に通用しないだろう嘘を言ってみたりしてみる。
「嘘。とぼけても無駄よ。証拠ならここにあるんだから」
リッカさんは学園長室にある本棚から、一冊の本を手に取る。
そして、ペラペラペラとページをめくって、あるページで止めて、俺たち二人にそのページを見せる。
俺はページを見なくても、その本の題名を見た瞬間に、リッカさんは何を俺たちに見せたかったのか、もうわかっていた。
題名 『偉大なる魔法使い』
「えっ、ここれって……」
清隆は目を丸くして、そのページを凝視している。無理もない、そのページには俺の昔の写真つきで俺に関することが書かれている。昔の写真と言っても、50年ほど前になるのだが、歳を取らない魔法を使っているため、その写真の俺は現在の俺と容姿は何も変わらない。
「そう、タツオくんはカテゴリー5の魔法使い。そして、始まりの大魔法使いとも言える、世界で最初にカテゴリー5になった魔法使い」
「タツオさんがカテゴリー5……」
清隆はまだ本を凝視している。リッカさんは本を本棚にしまい、俺の目の前まで近づいてきた。
「清隆みたいに身構えると思ったけど、あなたは身構えないのね」
「身構えた所で何も変わりませんしね。それに俺に本当に聞きたいのはカテゴリー5ってことだけじゃないですよね?」
「ええ。何故あなたのような大魔法使いがどうしてわざわざ、うちに入学してきたのか」
俺がここに入学した理由か……
「別にいいじゃないですか。現カテゴリー5のリッカさんも学生やってるんですから」
俺は出来る限り、しらを切ることにした。
「私は単に、ひとつところに落ち着いて研究する環境が欲しかっただけよ」
そう、リッカさんは桜の研究をするために、この風見鶏にいる。古き友人のジルさんのために
「これって、もしかして、俺は答えないと一生帰れないパターンですか?」
「まあ、そうなるわね。あと、嘘と分かるような答えでもダメよ。さあ、早く答えた方が早く帰れるわよ」
答えないと一生帰れないか……
ふふふ。そんなことになると思い、俺はその対策をさっきの清隆が尋問されているときに考えついたのだ。
「わかりました。でも、それなら、俺にも考えがあります」
「考え?」
リッカさんは?と思っているような表情をしていた。
「はい。これ以上追求をするようであれば、リッカさんのプライバシーをバラシマスヨ」
我ながら、何といい案なんだろうか。これならイケる。
「私のプライバシー?あなたが私の何を知っているって言うの?」
「有名なリッカさんのことなら、ほとんどは知っています」
こっちはゲームでリッカさんのことなら、ほとんど知り尽くしているのだ。
「例えば、何なの?私のB.W.Hとか言っても、私は何も変わらないわ」
この人は突然、何を言っているのだろうか?あいにく、俺はリッカさんのB.W.Hを知らないのです。
「そんなことではありません。言ってしまえば、リッカさんがこの風見鶏で何について研究しているのか?そして、その研究をする理由です」
頼む。これで追求するのをやめてくれ。
俺はそう願いながらリッカさんに言った。
「ふふ…私の研究についてと研究する理由を知っている?あなたが知るはずがないじゃない。私を嘘で脅そうとしているの?」
リッカさんは笑っている。リッカさんからしてみれば、俺が嘘で脅そうとしていると見えているらしい。そりゃ、そうか。
ちょっとはリッカさんをからかってみようか
「まず、研究内容は永遠に咲き続ける桜の研究。どうです?」
「……あなたがどうしてそれを?」
リッカさんはとても驚いた様子だった。ちょっとは効き目があったみたいだ。
「これでわかりましたか?追求をするようであれば、プライバシーをばらしちゃいますよ」
「はあ。それなら、しょうがないわね。後日にゆっくりとたっぷり話してもらうわ」
リッカさんは溜め息をついて、あきらめるように表情を和らげてくれた。何とかリッカさんは追求することを諦めてくれたようだ。
だが、後日にまた追求されるのか……。それってプラスマイナス0じゃね?
「じゃあ、教室に戻りますね。清隆、行こうぜ」
俺は、今も少し驚いているような清隆に声をかける。
「えっ、は…はい」
「あ、ちょっと待って」
リッカさんはポケットから何かを取り出すと
「一応、念のため…」
両腕を俺の肩にまわし、素早く俺の首に何かをかけた。清隆も同じようにされる。
もしかして、これは…
まだ、リッカさんは帰らせてくれないようだった。