両腕を俺の肩にまわし、素早く俺の首に何かをかけた。清隆も同じようにされる。
「な、何ですか、これ。首飾り?」
清隆はいきなりリッカさんに何をされたのかわからないようだ。まぁ、無理もないだろう。一見、ネックレスのようだが、先端に鈴の形をした小さなペンダントトップがついている。あくまで意匠としての鈴なので、それが鳴るわけではない。
「私からのプレゼント♪」
リッカさんは笑顔で俺たちに言った。
「こんなアクセサリーつける趣味なんてないんですけど……」
清隆は首に掛けられたネックレスを外そうとした。
「あれ?」
「清隆。無理だ。それ、ティンカー・ベルを外すことはリッカさんしかできないんだ」
「よく知ってるわね。流石カテゴリー5だわ。それ、強力な魔法がかけられているから、私にしか外すことはできないわ」
「なんなんですか、一体……?」
清隆はネックレス、ティンカー・ベルのことは全然知らない様子だった。
「そのネックレスは妖精よ。妖精ティンカー・ベル。言ってみれば、君を監視し続ける猫の鈴みたいな物だと思ってよ」
「ま、魔法の品……。と、取ってくださいよ。リッカさん」
「君たち2人の疑いが晴れたら取ってあげる。まあ、日常生活に支障があるものではないから、無理に取ろうとしないでね」
「支障がないって、さっき…監視用みたいなこと言ってましたよね。困りますよ。プライバシーとか考えてくださいよ」
「大丈夫、大丈夫。変なことさえしなければ、その鈴は何も知らせてこないわ。普通に生活してる分には大丈夫だから」
「うぅ…タツオさんも同じ身なんですから、何かリッカさんに言ってくださいよ」
最終的に清隆は俺に助けを求めてきた。
すまんな。清隆。俺は目的のためにありとあらゆる、監視対策は万全にしてるんだ。
「清隆。一旦落ち着けって。まあ、俺は監視されるとちょっとあれなんで……はっ!」
俺は自分の首に掛けられたティンカー・ベルに魔力を込める。そして
カチャッ……
ティンカー・ベルが俺の首から外れる。
「えっ?」
「なな何で、ティンカー・ベルが私以外の人に外せるの?」
リッカさんの目が大きく見開かれている。ティンカー・ベルは術者(付けた人)しか外せないことになっている。ただ、一つの例外を除いて。
「何でって、それは、ティンカー・ベルを作ったの、俺ですもん」
そう。ティンカー・ベルの開発者は俺だった。昔に『もしかしたら、ワンチャン、リッカさんにティンカー・ベルを掛けられるじゃね?』と思って、ティンカー・ベルを開発した。その思い出が今では懐かしい限りだ。
「そ、そう……」
リッカさんは何か考えているようだった。
「タツオさん。それなら、俺のティンカー・ベルも外して下さいよ」
清隆が俺に近づいてきて、助けを求めてきた。
「それだけは、ダメよ。タツオ。清隆までに外されたら……」
「すまん。清隆。他人のティンカー・ベルを外すやり方は知らないんだ。あはは……」
俺はそう言って、苦笑をした。
本当は他人のティンカー・ベルを外すやり方は知っている。だが、本編ではティンカー・ベルをつけていることで、結果的に良い方向へ動いて進んでいた。
「そんなぁ……」
清隆はガックリと肩を落として、落ち込んでいる。
「悪い。清隆」
「さ、私の用事はこれでおしまい。いいわよ、もう行っても。先に戻ってて頂戴」
やっと、リッカさんの尋問タイムから解放されたようだ。
「外して下さいよ。これ…何か気味が悪いです」
「だから、君の疑いが晴れるまでは外さないってば。いいから、行った行った」
俺と清隆は部屋から出ようとする。すると
「あっ、タツオにまだ言うことがあったんだった。清隆くんは先に戻ってて」
どうやら、まだ俺だけは何かあるらしい。
「うぅ…失礼します」
清隆は首に掛けられたティンカー・ベルをいじながら、部屋から出ていった。
さっ、第2ラウンドスタート!
「で、俺に言いたいというのは?」
リッカさんは少し考えた後に…
「さっき、私の研究のことを知っていると言ってたけど、どこまで知っているの?」
「だいたいは知ってますよ」
「例えば…例えば何を知っているの?」
リッカさんが俺に近づいてきて、問いかけてきた。よっぽど、知りたいようだった。
「桜の研究をしていること」
「他には?」
他には?と聞かれ、俺は言うのを迷ったのだが、俺の検索をさせない脅しになるだろうと思い、言うことにした。
「その研究の目的は旧友のため」
「!」
リッカさんはその、俺の言葉を聞いて、大きく口を開いていた。
旧友、古き友のジルさんのため…
「どうです?」
「ええ、わかったわ。あなたは私のことを全て知っているようね。はぁ…」
リッカさんはため息をついている。
「じゃあ、帰ってもいいですか?」
俺は部屋を出ようとする。すると
「ちょっと、待って!後一つ。一つ聞きたいの」
俺は振り返って、リッカさんを見る。
「タツオ……あなた、どこかで。そう、どこかで私に会ったことがない?」
まだまだリッカさんとの話は終わらないと思うと……
マジ、かったるい