次の日の朝
さっきまで、リッカさんの魔法概論についての話があり、それから選択授業などの諸注意、オリエンテーションに移ったりしていた。そして、今は休み時間
リッカさんの説明では、これからしばらくの間、必修科目以外の抗議は仮研修期間となり、今月中に正式に選択することとなるようだ。魔法を今から1から習うやつは良い授業になるかもしれない。だが、俺にとっては魔法の授業は意味がない。
まぁ、睡眠時間にでもしとくか……
「ふふん、ここがA組か……」
不意に、聞き慣れぬ声が教室内に響き渡る。いや、俺はそいつのこと知ってるんだけど。
クラスの全員が教室の入り口を見る。見ると、見知らぬ生徒(俺は知ってるけどね)がふたり、教室に入り込んでいた。
やっぱり、イアン・セル……なんちゃら=拉致野郎。じゃねーか
それと、瑠璃香。瑠璃香は確か、普通に良い奴だったような記憶があるんだが……
「なんか、見た感じロクな連中がいなさそうだな」
「その通りです!」
「A組は名門揃いと聞いていたが、僕がわざわざ気に留める必要はなさそうだな」
「当然ですイアン様!何しろイアン様は至高の天才!その才能は他の追随を許さぬ神!そう、言ってしまえば、神そのものなのですから~!」
「はっはっは、瑠璃香よ。当たり前のことを言うな。今更過ぎて笑えないぞ」
「それはそれは、失礼したしました」
瑠璃香は恭しく頭を下げる。俺は突然乱入してきた、ふたりの小芝居を目を丸くして見物していた。
「おや、確か君は……名門クリサリス家のご令嬢じゃないか」
イアンはサラの姿を見かけると、大股で彼女に近づいた。
「イアン・セルウェイ……」
「ふふ、このクラスにいる名門の魔法使いって君のことだったのか。これは失敬した」
「何の用ですか?勝手に余所のクラスの教室に入らないでください」
「相変わらずお堅いなぁ、君は……コンクリートみたいな固さだよ」
「…………」
「君は優秀な成績でこの学園に入学したといっても、魔法の才能が低いんじゃ話にならないな。名門の魔法使いが君じゃ、このAクラスも終わりだな。Aクラスには少しは期待していたんだが、低魔力者の集まりだったとは……はっはっは。瑠璃香もそう思うだろ?」
「そりゃ~もう、何でもかんでもイアン様の言う通りでございます」
サラのこともバカにしてるけど、こいつ、さらっと俺たちのクラスをバカにしやがったな。
俺がいるAクラスが終わりだったら、なかなかやべーよ。
というか、イアンって、こんなに痛いヤツだったんだな。痛いヤツが痛いだけなら別にいいのだが、クラスメイトや俺たちのクラスをバカにするなら、捨て置けないな。
「ははは、あまりに当たり前の事実すぎて言い返せないか。そうだよな。没落一家は没落一家らしく……」
「おわっ!!」
イアンは清隆の魔法によって、勢いよく転倒した。初歩的な念動系の魔法だ。
「い、イアン様!?」
「だ、誰だ、今、魔法を使ったのは!?」
イアンが怒りの声をあげながら、立ち上がる。だが
「のおっ!!」
もう一度、イアンは転んだ。
「くっ!!」
立ち上がっては、転けたり、また立ち上がっては転けたり、その繰り返しだった。
「こんなことをして、ただで済むとは思うなよ。くそっ」
そして、イアンはどうやら自分の周囲に、魔法そのものを打ち消す魔法を使ったみたいだった。
今までイアンを転ばせていた清隆は席を立つと、ツカツカとイアンのところに近づき
足を引っかけた。
「どおっ!?」
魔法に集中していたらしいイアンは、最後の最後に派手に転倒した。
「う、いたたた……」
「そのくらいにしておけよ……」
「お前か?今までこの僕を転ばせ続けたのは?」
「そんなの知らねーよ。お前はなんかムカついたから、足を引っかけただけだ。」
「ここまで僕をバカにしたヤツは君が初めてだ。その心意気だけは買ってやる。今ここで君を吹き飛ばすのは簡単だが、それじゃ俺の気が収まらない。そうだな、瑠璃香」
「ええ、イアン様の言う通りでございます。イアン様は紳士も紳士、超紳士ですから~」
瑠璃香は満面の笑みで嬉しそうにそう応じた。やっぱり、瑠璃香はこの状況を楽しんでいるようだ。
というか、毎回楽しんでなかったけ?毎回イアンをおちょくってなかったけ?
「ふ、おあつらえ向きなことに、近いうちにグニルックのクラス対抗戦がある。それは知ってるね?」
「まあな」
「僕は紳士だからね。それで勝負してやるよ。君たちAクラスたちに思う存分屈辱の味を味わわせてやるから、覚悟しとくがいい。では、行くぞ、瑠璃香」
「は~い。イアン様~」
イアンが教室から出ようとしたので、俺はストレスを解消させるために、清隆同じようにイアンを転ばせた。
「な何でだ!?魔法は打ち消しているはずなのに。まず、誰だ?今、魔法を使っ……」
言葉の途中で俺はまた転ばせた。
このくらいしておいてやるか……
「少しはできるやつがいるようだな」
イアンはそう言って、二人は出ていってしまった。
グニルックかぁ……楽しみだなぁ
早めに更新できるように努力します。