第1章 案外俺の卒業式は間違っていない。 作:あらがき@北宇治高校
特に意味もなくペンネームを変えました。
pixivでも『あらがき@材木座以下のss』というユーザー名で投稿しておりますが、こちらにも投稿させて頂きます<m(__)m>
ただ、pixivに投稿しているものに若干の修正を加える場合もありますので、ご了承ください。
まだ勝手が分かっておりませんので、取るに足らない部分は多々あると思いますが、よろしくお願いします。
②今回、葉山隼人は手段を選ばない。
「比企谷、ちょっといいか…。」
葉山だ。何だか知らんが、本当に思いつめた表情を浮かべている。
卒業式が終わり、体育館から教室に帰る途中、俺は珍しく葉山に声をかけられた。
「なんだ。」
「ここじゃ話しづらいから」
そう言って俺を手招く葉山。
それって、アメリカじゃあっち行けって意味なんだぜ。
とか海外旅行に役立つ豆知識を心の中で呟きながら俺はただ葉山の後をついていく。
着いたのは教室のある棟からは随分と離れた人気のない特別棟の裏だった。
なんで俺がこんなやもすれば告白されそうな場所に連れて来られないといかんのだ。
まさか…葉山…お前…。俺のことが好きなのか?
海老名さんの理想世界が現実世界とリンクして、浸食するのか?
葉山は俺に向き直る。
「俺、好きな人がいるんだ」
やっぱりだ。何故だ?どこで間違えた?
俺は迷うことなく戸塚ルートを突き進んでいたはずなのに…。
「そ、そうか」
とりあえず返事はしておこう。何て言えばいい?ごめんなさいか?
いや、友達でもないのにそんな…。
「でも、その人は多分、俺のことを好きじゃないんだ」
「そうなのか」
そりゃそうだ!俺は男よりは断然女の子の方が好き…なに!?戸塚はおとk…。
いやいやまだ戸塚が男と決まったわけじゃない。
ラノベの王道パターンでいくと、そろそろ戸塚が本当の性別を告白してくれるはずだ。
「だけど、俺はその人のことが好きなんだ。」
「つまり何が言いたい?」
もう、どうにでもなれだ。だが、間違っても俺は葉山ルートには進まんぞ。
もしそうなれば、それこそ俺の青春ラブk…(ry
「俺…雪ノ下さんのことが好きなんだ。ずっと…。
比企谷は雪ノ下さんと仲がいい。
だから、俺と雪ノ下さんが上手くいくように取り計らってくれないか。」
ごめんなさい…。
え!?俺への告白じゃないの?
よかった…。危うく、海老名さんワールドに直行だったぜ。
しかし、葉山。お前は大きな勘違いをしている。
「葉山、悪いが俺じゃどうしようもない。
俺は雪ノ下と友達でもないし、仮にそうだったとしても、俺が何かした程度で雪ノ下が好きでもないやつの告白をOKすると思うか?
お前だって昔からあいつのこと知ってんなら、そんくらい分かってんだろ。」
そうだ、雪ノ下はまず恋人を作るという概念さえ持ち合わせてないのではないだろうか。
「確かにそうかもしれない…。
でも、やっぱり俺は彼女に自分の思いを伝えたいんだ。
大学も違うし、これからはきっとこれまでみたいに会えなくなる…。」
知ったことか。
だいたいお前みたいに何でも持ってるリア充イケメンの恋愛相談を俺が受けにゃならんのだ。
「だいたい、俺に何ができる?
俺はお前みたいにモテるやつの気持ちなんかさっぱり分からんし」
間髪入れず、葉山は答える。
「でも、君は雪ノ下雪乃が一番気を許している人間だと僕の目には映るんだけど…
それに…。いや、何でもない」
はぁ!?何を言ってんだこいつは。
まず、間違っているのは『一番』という点だ。
由比ヶ浜がいるからな。
そして、気を許しているのではなく、好き放題罵っているだけということだ。
「それには賛同できんが、何をして欲しいかぐらいは聞いてやる。」ニヤリ
ふ、今くらい葉山の上に立っても構わんだろう。
なんせこちらは依頼される側だからな。
「うん。
はっきり言うと雪ノ下さんに直接、
『葉山が雪ノ下さんに告白したいから体育館裏に来て欲しいと言ってた』
と『比企谷が』伝えて欲しい。」
葉山は『比企谷が』の部分をやたらに強調した。
何でそんな面倒なことをしなきゃならんのだ。それに…
「その役だが、俺より適役がいると思うんだが。」
「そんなことはないと思うけど、ちなみに誰かな?」
「由比ヶ浜」
「いや、違うね」
なんなんだよ。
雪ノ下がまともに意見を聞いたことがあるのって由比ヶ浜くらいしか俺は知らねえよ。
しかも、あいつ俺の言うことなんて知り合いよりも知らない人よりも聞かねえしな。
「それなら、俺が適役である理由を言え。
納得したらその依頼を受けてやる。」ニヤリ
気持ちいーーー!
上位カーストの頂点に立つ男の上に立ったぜ。
もはや、俺、カーストの上のムハンマドにでもなるんじゃねえの?
違った。
カーストはヒンドゥー教だから、三大神か。
シヴァ神にでもなろうか。
「分かった…
君には出来れば話したくはなかったけど、確かにそれじゃあ筋は通らないよね。」
ふうーと葉山は大きく息をついて顔を上げ、
「君が雪ノ下さんに直接言うことで、雪ノ下さんに君が彼女のことを好きでないことも同時に伝えれるからだ。
仮に君が雪ノ下さんのことを好きだとしても。」
…。
…驚いたよ、葉山。葉山隼人。
千葉村で話した時にもあいつの表じゃない部分(それを裏だと言うつもりはないが)を垣間見たが、今回は垣間見たなんてもんじゃねえな。
打算的でブラックすぎる部分を見せてきやがったよ。
ブラックホール並だ。
吸い込まれるかと思ったわ。
しかし、気になることがある。
「お前は俺を買い被っているか勘違いしているようだが、まあ今はそれはいい
それより、もし俺じゃなかったらどうしてた?
戸部や大和、大岡ならどうする?
または、お前にとって無害なクラスメイトなら?」
「もちろん同じことさ。」
葉山は目の色を変えずにさも当たり前であるかのように言い放った。
なら…
「それは、お前が好きな人ためなら友達をも省みないような非道なやつなのか。
それだけ雪ノ下のことが好きとでも言いたいのかどっちだ。」
疑問形で投げかけた言葉だが、俺は葉山に選択の余地を与えたつもりはなかった。
無論、後者だろう。
まあ少なくとも葉山を知る誰もが、そう思っている、信じているはずだ。
「そうだね…
どっちも正解かな。」
……そうか。
買い被ってたのは、俺の方だったか。
だが、俺は案外こういうやつは嫌いじゃない。
「そうか。分かった。
雪ノ下にはお前に言われた通りに言ってきてやる。
じゃあな。」
俺は、帰る教室は同じなのだが、敢えて先を行った。
こいつに礼などされたくもない。
葉山は早歩きの俺に小走りで追いつき、肩をつかんだ。
「なんだよ?」
「まだ話は終わってない。」
「俺が雪ノ下にさっきの伝言をすればいいだけだろ?」
「君の気持ちを聞いてない。」
葉山のいつも優しそうな目はその面影を残していない。
「何の気持ちだ?
俺は純粋に面倒くさいと思いました。
これでいいか?」
「君の純粋は相変わらずだね。
違う。
雪ノ下さんのことをどう思っているかだよ
俺は君を陥れようとしてるんだ。
何か思うところはあるだろ?」
ああ、あるとも。
そのお前の黒い部分を世界中に知らしめてやりたいね。
まあ、葉山の欲しがっている返答をくれてやろう。
「俺もあいつもお前が思っているようなことはない
まして俺はあいつに心をズタズタにされてんのに好意を抱くなんてのはあり得ない」
そうだ。雪ノ下も俺に興味なんてないしな。
「そうか。
……。
すまない。」
葉山の返事を背中に受け、奉仕部の教室に向かう。
教室に戻ろうと思っていたが、どうせ教室にいてもすることないしな。
卒業式の後、担任の教師が戻って来るまで30分弱あるらしいからな。
雪ノ下はいつものように読書をしていることだろうよ。
扉を開けると、やはりそこに雪ノ下雪乃はいた。
雪ノ下は一度顔をあげて、興味がないと言わんばかりにすぐに視線を本にもどs…
え!?何?
いつまで、俺のこと見てんの?
俺の顔になんかついてるの?
雪ノ下は俺を凝視したまま目を逸らさない。
こえーよ。
不気味だし早く要件を済ませよう。
「あのs…」
「比企谷くん!」
なんだ!?
急に立ち上がるから心臓がはじけ飛ぶかと思ったわ。
雪ノ下はゆっくり歩いてきて俺の目の前で立ち止まる
「なんだよ…?」
雪ノ下は少し身震いをしているようだ。
「こんなことを言うのは、私としても不本意なのだけれど…」
なんだよそれ。なら言うなよ。
とは言えるわけもない。
雪ノ下は余裕なさそうな様子だし。
ほのかに顔が赤くて上目使いで…
なんだ、その…可愛いし…。
「その…、、、
あ…、」
なんだよ…、早く言えよ。期待しちまうじゃねえか。
これ普通の男子だったら完全に勘違いしてるとこだぞ。
雪ノ下は深呼吸をして、ゆっくり口を開く。
「あ…、ありがとう…。比企谷くん…。」
…。
…。
……………………………。
えっ…?