第1章 案外俺の卒業式は間違っていない。 作:あらがき@北宇治高校
特に意味もなくペンネームを変えました。
pixivでも『あらがき@材木座以下のss』というユーザー名で投稿しておりますが、こちらにも投稿させて頂きます<m(__)m>
ただ、pixivに投稿しているものに若干の修正を加える場合もありますので、ご了承ください。
まだ勝手が分かっておりませんので、取るに足らない部分は多々あると思いますが、よろしくお願いします。
⑥打って変わって、雪ノ下雪乃は立ち向かう。
「姉さん…」
こちらに向かって顔立ちは雪ノ下そっくりの美人がにこやかに手を振っている。
そして、彼女の後ろには「あの」高級車が止まっている。
まぁ、もう何もないがな。
雪ノ下は陽乃さんと目を合わせようとしない。
「あら!比企谷くんもいるじゃない!由比ヶ浜ちゃんも!」
「どうも」
やっぱり俺はこの人が苦手だとつくづく思う。
何を考えているか分からないだけならまだいいが、誰に向けてでもない軽い口調で放つ凶器のような言葉には本当に参る。
「こんにちは。」ペコ
由比ヶ浜は花火大会の時に言われたことのせいで、少し陽乃さんに苦手意識を持っているようだ。
「いやー、みんな卒業おめでとう!」
「ありがとうございます!」
「どうも」
雪ノ下は冷ややかな目を向けた上で気だるそうに口を開く。
「姉さん、何の用かしら?」
「雪乃ちゃん、そんな怖い顔しないでよー。
実はね、雪乃ちゃんが高校も卒業したことだし、お母さんが今後のことについて話したいそうよ。」
「…」
「行こっか。」
雪ノ下は下を向いたまま動かない。
握り締めた手が僅かに震えている。
雪ノ下は多分、たこパを優先したいのだろう。
ついさっき、由比ヶ浜にあれだけのことを言われて、雪ノ下もそのことを心底喜んでいた。
だが、雪ノ下には陽乃さんより怖いという母親の命令を断るほどの理由がない。
かといって、この場で陽乃さんに辻褄を合わせてもらえるような説得が雪ノ下に出来るのだろうか。
俺に出来ることは…
「陽乃さん!」
「どうしたの?
比企谷くん?」
この人を相手にすると、一度決めたことが揺るぎそうになる。
「いやぁ、なんつーんすか…
今日は俺と雪ノ下のデートなんですよ。
そこは少し空気を読んで頂けるとありがたいというか…」
「え!?
ゆきのん、ヒッキーと付き合ってたの?」
まぁ、由比ヶ浜には後でちゃんと話してやればいい。
「まぁ、なんだ、それは…」
「比企谷くん、いいわよ」
「いや、s…」
「いいのよ。
いつも、そうやってあなたは…」
雪ノ下は深呼吸をして陽乃さんを真っ直ぐ見つめる。
「姉さんっ!ごめんなさい。
今日はとても大切な用事があるの。
だから、今日はその話し合いには行けないわ。」
「比企谷くんとのデートだもんね( ̄▽ ̄)」
雪ノ下は目をつぶり、首を横に振る。
「いいえ、違うわ。
比企谷くんがデートって言ったのは、多分姉さんに納得してもらうため…
そうすれば、最悪、比企谷くんのせいにしても筋が通ってしまう…。
でも、比企谷くんに助けてもらうだなんて、私のプライドが許さないわ。」
そうですかい。
まぁ、確かに余計なお世話だったかもしれんな。
「今日は、私たち3人で卒業パーティーをするの。
私の大切な居場所だった奉仕部のメンバーで…
私が高校生活で一番多くの時間を過ごした友達との大切な時間…。
それは、今日でないとだめなの…。
母さんにはきちんと説明して、埋め合わせするように私から頼んでおくわ!
だから…今回は…その…」
その口調は雪ノ下にしては幼く、駄々をこねる子どものようだった。
「…」
陽乃さん怖ぇーよ。あなたが黙ると身の危険を感じる…。
どこぞの○っぺいさんみたいに死なないでくれよ。
「雪乃ちゃんがねぇ…。
雪乃ちゃんも変わったなぁ…( *´艸`)
いいわ。
まぁ、お母さんには私からも言っておくし。」
「ありがとう、姉さん。」
雪ノ下は深々と頭を下げた。
「そんな、改まっちゃって。
雪乃ちゃんがあたしにお礼を言うなんて何年振りかしらね。
まぁでも、それならしっかり楽しんできてね!
それじゃ、比企谷くん、由比ヶ浜ちゃん。
雪乃ちゃんをよろしくね (>∀・)」
じゃあと言って陽乃さんは颯爽と車に乗り込んだ。
「よかったのか?お前のk」
「いいのよ。行きましょう。」
また、さえぎってきやがった。
俺に喋らせないつもりだろこいつ。
そういうことで、俺らは近くのスーパーで材料を買って、雪ノ下の家に向かった。
ビニール袋の中はとても一晩の材料とは思えないほどのむちゃくちゃ加減だ。
とりあえず、由比ヶ浜に極力手伝わせない方向で進めないと酷いことになるのは目に見えている。
「ゆきのーん」
「なにかしら」
「ゆきのんの家ってたこ焼き器あるの?」
「あるわけないだろ。
パーティーするほど友達いないし、一人でたこ焼き作るやつなんていねえし。」
雪ノ下は鋭く冷ややかな目で俺を睨む。
「あるわ。
だって、由比ヶ浜さんが以前、たこ焼きパーティーをしたいと言っていたもの。」
お前、どんだけ由比ヶ浜のこと…って、そんなのはもう分かり切ったことか。
「わーゆきのん覚えててくれたのー!?
ゆきのんだーいすきー(^^♪」ギュッ
雪ノ下はまんざらでもない顔をしている。
仲睦まじいのは結構だが、あまり公衆の面前でイチャイチャすると周囲の目が痛い…。
そんなこんなしているうちに雪ノ下の家に着いた。
「申し訳ないのだけれど、部屋の片付けと着替えをしたいから少し待っていてもらえないかしら。」
「うん!」
「ああ、わかった」
そういうと両手いっぱいに材料の入った袋を持つ。
「いいよ!ゆきのん!私たちが後で持っていくから!」
「よくないわ。
生ものもたくさんあることだし、早く冷蔵庫で冷やした方がいいもの。」
「でも、一人でそれを持つのは…」
そう言いながら由比ヶ浜は俺を横目に見る。
「あぁ、分かったよ。
ほら、雪ノ下。」
俺は離しそうになかった雪ノ下の荷物を半ば強引に奪う。
すると、雪ノ下は諦めた様子で厳重そうなエントランスに向かった。
「由比ヶ浜さん、ごめんなさいね。」
はい、俺には何もなしっと。
「全然いいよー
用意できたら、メールしてね。」
「ええ、分かったわ。」
なんとも高級感の漂うエレベーターの中には俺と雪ノ下の二人…
「ねぇ、比企谷くん。」
ビクッ!「な、なんだよ」
突然話しかけてくるからびっくりしたじゃねえか。
「あなた…。
無理しないで。
前にも言ったはずよ…。
少なくとも私には…」
そう言いかけたところでエレベーターがの扉が開く。
「あぁ、適当にな」
今はとりあえずこう言うしかない。
雪ノ下の家の前に着いた。
「ありがとう。」
「食材、冷蔵庫に入れとくぞ」
「部屋、少し散らかってるから…」
「んじゃ、おr」
「ま、まぁいいわ。
上がってちょうだい。
その荷物重いから。」
嫌なら別にいいんだが。
「そうか。
お邪魔します」
雪ノ下の部屋は散らかっているどころか、必要最低限のものも揃っていないように思えるほど片付いていた。
「冷蔵庫はそっちね。」
雪ノ下は一人暮らしには広すぎるキッチンの方向を指差す。
「はいよ」
俺は食材の種類ごとに整頓されている冷蔵庫の中に既存の法則に従い食材を詰め込んでいく。
と、明らかにこの家に不必要なものを見つけた。
「あいつ…なんでこんなもん持ってんだよ」
猫缶だ。
まさか、猫が好きすぎて猫缶食ってるんじゃねぇだろうな?
まぁ、それは置いといて、さっさと用事を済ませよう。
食材が多かったのと、この家の勝手が分からなかったこともあって随分と時間がかかってしまった。
リビングに戻り、部屋全体を見渡すと大きすぎるテレビの下に2ヶ月前の誕生日に由比ヶ浜があげたパンさんのぬいぐるみと俺が雪ノ下にくれてやった誕生日プレゼント兼合格祈願のお守りが大切そうに飾ってあった。
しかし、雪ノ下は何をしてるんだ?
もうかれこれ20分は経った気がするんだが…
ま!さ!か!
シャワーを浴びているのか!
だとしたらヤバい。
俺も由比ヶ浜のところに戻ろう。
殺されかねない。
俺はリビングを後にして玄関に向かおうと扉をあけt…
「「えっ…」」
見事にハモった。
お互いがその存在を予想していなかったからだろう。
そして、何がまずいかって…
雪ノ下雪乃がタオルを巻いただけの格好であることだ。