魔法教師はやト!   作:沖彦也

31 / 55
過去編です。
今回の最後あたりに紅き翼がようやく登場します。
宜しくお願いします。



第三十一話「未来を託す。ストロンガー隊壊滅!」

 戦場。魔法と魔法が飛び交い、刃と刃が火花を散らす。

 

 兵士の怒号と砲撃の爆音が重なり、空に響く。

 

 命と命がぶつかり合って、消えていく。

 

 そんな地獄の世界に隼人は立っていた。

 

「おおおおおおおるうううあああああ」

 

 獣のような雄叫びを上げて、刀を振るう。

 

 目の前にいる悪魔を切り裂き蹴散らす。

 

 返す刃で隣の悪魔にも攻撃。

 

 刀は悪魔の血で濡れ、顔も返り血で染まっていた。

 

「どうした! 悪魔ども!! 俺はまだ生きているぞ!!!」

 

 裂帛の気合いで悪魔の軍勢を威嚇。

 

 傍に立つ悠馬と菫も刀を構える。

 

 たった三人の人間が、百を超える悪魔と互角に戦っていた。

 

 その事実に悪魔達は恐怖し怯む。

 

 その隙を逃さず、隼人達は果敢に立ち向かう。

 

「貴様ら悪魔は一匹残らず殺す。殺して殺して殺し尽くす。二度とこの世界に現れるな!!」

 

 鬼神の形相で吼えて、刀を振りかざす。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 

 天震わす鬼の咆哮。刀の切先から爆炎が迸り、飛び舞う火の粉が花びらに変わる。

 

「花の章【灼花繚乱(しゃっかりょうらん)】!!」

 

 吹き荒れる灼熱の花々が悪魔の軍勢を巻き込む。切り裂き、焼き尽くし、消し炭に変える。

 

「へっ。俺も負けねぇぞ」

 

 悠馬が刀を鞘に戻してから、一気に引き抜いた。

 

「鳥の章【鵺鳥(とらつぐみ)】」

 

 刃が震えて、鋭い鳴き声が悪魔を襲う。

 

 衝撃波が通り過ぎた途端、悪魔達は全身の穴から血を噴き出して倒れ伏した。

 

 菫も刀を振りかざして叫ぶ。

 

「風の章【轟嵐旋風陣(ごうらんせんぷうじん)】!!」

 

 凄まじい嵐が戦場に現れる。

 

 黒い風が悪魔達をさらっていき、空へと吹き上げた。

 

「唸れ、【雷霆(らいてい)】!!」

 

 鈴の音が鳴り、菫の持つ刀【雷霆】が目を覚ます。

 

 轟く雷が空へと打ち上げた悪魔達を貫いていく。

 

 こうして、悪魔の軍勢は一匹残らず全滅した。

 

 隼人は刀を鞘に納める。

 

「状況終了。ここはこれで片付いたな」

 

「3番隊が苦戦してるみたい。次から次に悪魔が溢れてくるって。総隊長が加勢に行けってさ」

 

 菫が通信で受け取った指令を伝える。

 

「まぁゴウの野郎の隊だから、そこまで心配はねぇだろう」

 

 悠馬は呑気に言う。

 

「ゲートの本命はゴウの隊か。行くぞ」

 

 隼人達は駆け出した。

 

 

★

 

 

 隼人達が軍に入って三か月。ストロンガー隊は各地を転戦して、獅子奮迅の活躍をしていた。

 

 北に悪魔軍が現れたら蹴散らし。西で拠点が落ちそうならば、援軍として向かい。東から南に物資の輸送をするなら、その護衛任務に就く。

 

 総隊長オーボス・ブルシャーズは、結成式で宣言した通りに各地の戦場へと導いた。

 

 分隊長は結局、結成式で立ち残った者が務めている。

 

 ただし悠馬と菫は、隼人が隊長を務める第五番隊に組み込まれた。理由は三人を分けるより、三人で運用して連携させた方が、強力だからである。

 

 しかし、強力ゆえに他の人間を巻き込みかねない技を持つため、ストロンガー隊第五番隊は隼人、悠馬、菫の三人で構成されている。

 

 そして今、隼人達は「ゲート」と呼ばれる悪魔の拠点の破壊を目的として最前線で戦っていた。

 

 時は魔法歴196年。第二次人魔大戦が始まってから半年が過ぎようとしていた。

 

 人類軍はようやくまとまりを見せ、ストロンガー隊や他の強力な部隊を整えて、反撃を開始した。

 

 その反撃の要となるのが、「ゲート」の破壊である。「ゲート」とは魔界と人間界を繋ぐ悪魔達の通路である。この通路を利用して悪魔の軍勢は侵攻してくる。それを突きとめた人類軍はゲートの破壊を目的として戦闘を開始した。

 

 ゲートは開戦以前に悪魔達が度々現れて設置していたようで、魔法界各地に存在していた。

 

 そのゲートの一つ、メガロメセンブリアの近くに設置されたゲートの破壊にストロンガー隊が加わっていた。

 

 

★

 

 

「オラオラ! 気合い入れろコラ!」

 

 隊員を鼓舞しながら、ゴウは戦う。

 

 特攻服に身を包み、木刀を振るって悪魔を倒していく。

 

「隊長! もう持たねぇっすよ」

 

 いがぐり頭の隊員が悲鳴を上げる。

 

 弱音を吐くのも無理はなかった。

 

 目の前にいるのは千を超す悪魔の軍勢。人類軍が必死にその悪魔達と戦っていた。

 

「馬鹿野郎! 気合いだ。気合いで持たせろ。人類軍も気合い見せてんだろ。それに、もうすぐ援軍が来るぞコラ」

 

「いや、隊長無理ですって、キリないっすよ。他の仲間もヤバいっすよ」

 

 モヒカン頭の隊員も弱音を吐く。

 

「うるせぇ! このゴウ・レッツが率いる三番隊が弱音を吐くんじゃねぇコラ。倒せる相手だけ倒せ。残りは全部俺が引き受けるぞコラ!!」

 

「じゃあよろしくお願いするっす」

 

「隊長、お元気で!」

 

 全隊員が押さえていた悪魔をゴウに託した。

 

「ちょ、おま、多すぎだコラアアアアアアアアアアアアアア」

 

 津波のように押し寄せる悪魔達がゴウに向かってくる。

 

 それでもゴウは何とか捌いていった。

 

「すげー隊長。マジでパネェっす」

 

「これなら大丈夫だな」

 

 隊員達はうんうんと頷いて、残った悪魔達を処理していく。

 

「うおおおお、やべぇ。多いぞコラ。やべぇ」

 

 半泣きになりながら必死に悪魔達と戦う。

 

「やれやれ、相変わらず喧しい隊ねぇ」

 

 凛とした声がした。

 

 優雅に現れたのはアンリが率いる1番隊だ。

 

「さぁ、行きましょうか」

 

 女性が多い一番隊。その姿は戦女神のようだった。

 

「雷撃で一気に数を減らすわ。タイミングはいつものようにお願い」

 

「はい、アンリ隊長」

 

 全隊員が魔力を高める。

 

 それをシンクロさせてアンリが紡ぐ。

 

「撃てぇええ」

 

 鋭く叫んで魔法が放たれる。

 

 それは百条の稲妻となって悪魔達に降り注いだ。

 

「うおおおおおおい。あぶねぇコラ」

 

 稲妻の攻撃に巻き込まれたゴウが、飛び跳ねながら避ける。

 

「あら、ごめんなさい。あんまりにも下品だから悪魔かと思ったわ」

 

「ふっざけんなコラ! マジで殺す気か!!」

 

 若干、攻撃に当たったのか自慢のリーゼントが焦げていた。

 

「あらあら、殺す気ならもっと綺麗に吹っ飛ばしているわ」

 

 しれっと怖いことをいうアンリ。

 

「……いや、もういい。俺が避ければいいだけだ」

 

 それが本気だということを察したゴウは少し泣きそうになった。

 

「隊長! あの雷撃を避けるなんてパネェっす」

 

「痺れるっす。実際少しシビレたっす」

 

 同じく攻撃に巻き込まれた三番隊隊員がゴウを称える。

 

「畜生! こうなりゃ、死ぬまで暴れるぞ! 三番隊気合い入れてけぇ」

 

 やけくそになったように叫ぶと、残っている悪魔に立ち向かっていった。

 

「元気良いわねぇ。でもあの子達が来たみたいよ」

 

 アンリが戦場の彼方を見つめる。

 

 それは三つの颶風。隼人達、五番隊が悪魔達を切り裂きながらゴウ達の下へと駆けてくる。

 

 それを確認したゴウは指令を飛ばす。

 

「おう、お前達! 今度は洒落にならねぇぞ! 死にたくなきゃ全力で下がれコラァ!」

 

 三番隊は慌てて引き下がる。

 

 一番隊も道を空けた。

 

「隼人。とっとと蹴散らせコラ」

 

「頼んだわよ。隼人ちゃん」

 

 二人はすれ違いざまに檄を飛ばす。

 

「任せろ」

 

 隼人は短く返事をすると、刀を引き抜く。

 

「悠馬、菫。合わせろ」

 

「応」

 

「ええ」

 

 三人は気を高めると一気に技を繰り出した。

 

「「「三位一体【鳳凰天武花嵐(ほうほうてんぶはなあらし)】」」」

 

 燃え盛る炎の巨鳥が三本の刀から出現して羽ばたく。

 

 翼から降り注ぐ火の粉が燃える花へと変わる。羽ばたく風が灼熱の嵐を起こして吹き荒れる。

 

 花の嵐の中を美しく舞う鳳凰の姿。見る者を魅了して、喰らう者を灼熱地獄へと叩き落とす。

 

 澄んだ鳴き声が戦場に響き、悪魔達を一掃していく。

 

 あっという間に千を超す軍勢が崩壊して、ゲートの姿が見えた。

 

 仰々しい門が空中に浮いている。禍々しく空間を歪め、その奥から悪魔達が次々と溢れてきていた。

 

「ゲートが見えた。ブチ込め!コラアアアアア」

 

 ありったけの遠距離攻撃でゲートを攻撃する。

 

「私達も行くわよ」

 

 強力な魔法攻撃をゲートに打ち込む。

 

 だが、それでもゲートは壊れない。

 

「くそ、まだ足りねぇかコラ」

 

「安心しなさい。他の隊も来たわ」

 

 後方から魔法や気の遠距離攻撃が飛んでくる。

 

「二番隊。到着だ」

 

 村雨重蔵が駆け付けた。

 

 白いフードを目深にかぶったギンガ・ベルンハルトと白衣のアニエス・バートマンも来た。

 

「……」

 

 無口でほとんどしゃべらないギンガは、無言で魔法攻撃を開始する。

 

「やれやれ相変わらず無口ですね。えーとギンガさんに代わって言いますけど、四番隊到着です」

 

 アニエスが苦笑いして魔法を繰り出す。

 

「ふん。お前ら気合いを入れろ。ストロンガー隊は最強だ」

 

 堂々とした声。

 

 総隊長のオーボスもやってきた。

 

「ストロンガー隊の力を悪魔に見せつけろ。総員全力発射!!」

 

「「「「「応」」」」」

 

 ゲートに総攻撃。

 

 他の人類軍も加わってさらに大きな攻撃となった。

 

 ゲートを死守しようと悪魔達も必死になる。

 

 だが、少しずつ人類軍が押していき、やがて、ゲートにヒビが入る。

 

「いけええええええええええ」

 

 誰が叫んだのか。それは分からない。しかしそれが契機となって一層強い攻撃がゲートへと集まり破壊していく。

 

 そして攻撃の光に飲み込まれたゲートはそのまま消滅していった。

 

 

★

 

 

 メガロメセンブリア付近のゲートが破壊されたおかげで、人類軍はようやく悪魔軍に逆転した。

 

 防衛から攻撃へと転ずることが可能となり、次々とゲートを破壊していった。

 

 ストロンガー隊もゲートを次々と破壊して、その強さは世に轟いた。

 

 しかし、その強さは長くは続かなかった。

 

 ストロンガー隊崩壊は突然やってきたのだ。

 

 メガロメセンブリアのゲート破壊から二か月後。結成から五か月後のことである。

 

★

 

 隼人は夜空を眺めていた。ここはモーリティス大森林。人類軍の拠点。

 

「なんだ、こんなところに居たのか」

 

 やってきたのはオーボスだった。

 

「あ、総隊長。こんばんは」

 

 手には熱いコーヒーが入ったマグカップが二つ。

 

 その一つを隼人に渡した。

 

「ありがとうございます」

 

「いや、気にするな。それより夜空なんか眺めてどうしたんだ」

 

 普段のオーボスは厳めしい顔だが、今日は穏やかな顔をしている。

 

「ええ、色々考えていたんです。悪魔って何だろうって」

 

「ふむ。そうだな。何なんだろうな」

 

 二人して考える。

 

「俺は悪魔に両親と師匠を殺された。戦場で戦う悪魔も殺気をはらんで襲ってくる。アイツらは命を奪うことを至上としている。おかしいでしょ、生き物として」

 

「確かに、育てることや守ることなんて考えていない。奪い、殺し、喰らう。生き物として欠陥かもしれないな」

 

 オーボスはさらに続ける。

 

「だが、上級悪魔や魔王級と呼ばれる悪魔は理性や独自の理念に則って活動していると聞く。今回の戦争も魔王級の悪魔が仕掛けたとされている」

 

 隼人はオーボスを見た。

 

「じゃあ、この戦いに目的があると?」

 

「うむ。おそらくあるんだろう。それも人間を滅ぼすとか単純な理由じゃない。もしそうなら、ゲートをこんな辺境に置くはずがない。奴らは神出鬼没。その気になれば首都や中枢部分にゲートを設置して一気に殲滅してくるだろう」

 

 敵は常軌を逸した相手。どれだけ足掻いても悪魔の方が上手なのは明らかだった。

 

「なんだろう。アイツらの目的って」

 

 隼人は夜空を見上げて考える。

 

「さぁな。しかし、お前ならそれを見つけられるかもな」

 

「どうしてですか?」

 

「お前は強い。その歳で悪魔と戦える力を持っている。その強さが、何かを成し遂げてくれそうな感じがするんだよ」

 

「ほめ過ぎですよ。俺はまだまだです。ゴウのようにタフじゃないし、アンリのように魔法も強くない。重蔵のように剣術も上手くない。他にもまだまだ足りないことだらけだ」

 

「だが、未来がある。その未来がお前を強くする。今、ゴウ達が強くても、未来は分からない。まだまだ強くなる可能性を秘めているのは、お前が率いている五番隊だ。だから諦めずに頑張れ」

 

 そう言って大きな手で頭を撫でる。

 

「まだ、強くなるか。頑張ってみます」

 

「おう、その意気だ。未来のストロンガー隊はお前に託すぞ」

 

 背中を叩き、オーボスは立ち去った。

 

 隼人も残っていたコーヒーを飲むとその場から去った。

 

 そして翌日。悲劇は起こった。

 

 いつものように、戦場で戦っていたストロンガー隊。

 

 ゲートを発見したとの報を受けて、全分隊を集めて、ゲート付近まで攻め入った時だった。

 

 悪魔達が突然、道を空けて一斉に引き下がったのだ。

 

「なんだ、一体」

 

 隼人達は立ち止まって警戒する。

 

 不気味に静かだった。

 

「総員油断するな」

 

 オーボスが辺りを見渡す。

 

「ん? ゲートから何か来るぞ」

 

 重蔵が何かに気付いた。

 

 その瞬間、全員の体に怖気が走った。

 

「人間諸君。初めまして」

 

 ゲートより現れたのは一体の悪魔。

 

 透き通るような銀髪。人間のような顔立ち。頭に付いた角が天に逆らうかのように捻じれ曲がっている。

 

「私の名前はクリスタ・アールベント・モンパティ・ヨルマゲ・シェン・ググラガ。親しみを込めてググラガと呼んでくれたまえ」

 

 良く通る声が戦場に響く。

 

 オーボスが険しい表情で言った。

 

「ググラガだと? まさか魔王級『天仇なす角』のググラガか!」

 

「ま、魔王級だとコラ……」

 

 流石のゴウも冷や汗を流す。

 

「いかにも。そのググラガだ」

 

「魔王級と言うことは、この戦争を起こした元凶!」

 

 隼人はググラガの気配に震えながら叫ぶ。

 

 ところが、ググラガは首を横に振った。

 

「いいや。それは違う。私はただの付き合いだ。元凶ではないよ」

 

「なんですって」

 

 その言葉にアンリは驚愕した。

 

 魔王級の怪物が少なくとも二体いる。その事実は絶望だった。

 

「八面六臂の活躍をしている部隊がいると聞いていたが。ふむ。良いな。相手をしてもらおう」

 

 何が気に入ったのか、ググラガはにこやかに笑うと、特大の邪気を発して戦闘態勢を取る。

 

「さぁ、存分に戦ってくれ」

 

 告げた瞬間、戦場に激烈な爆発が起こった。

 

 辺り一面を吹き飛ばし、猛烈な衝撃波が周りの全てを蹴散らしていく。

 

「た、たいちょわああああああああああああ」

 

「ぎゃあああああああああ」

 

「うわあああああああああああああ」

 

「ひいいいいいいいいいいいいいい」

 

 悲鳴が爆発でかき消され、隊員が次々と消し飛んでいく。

 

「ぐおおおおおおおおお」

 

 隼人はとっさに防壁を張って耐えた。仲間たちを助けたかったがそんな余裕はなかった。

 

 やがて、爆発が収まると、そこは更地になっていた。

 

 隼人と同じように防御して耐えたのは、隊長格の面々だけだった。

 

 残りの隊員はもうどこにもいなかった。

 

「おや。強すぎて、ゲートが壊れてしまったな」

 

 ググラガは涼しい顔で壊れたゲートを見た。

 

「なんて、強さだ」

 

 攻撃に耐えた隼人達は、たった一撃で満身創痍だった。

 

 唯一、戦えそうなのは総隊長のオーボスだけ。

 

「お前達に最後の命令だ」

 

 オーボスは静かに告げる。

 

「撤退しろ。こいつは俺が押さえる」

 

「ちょっと、待ってください。総隊長。アレは無理です」

 

 菫が引き止める。

 

「そうね。菫ちゃんの言うとおり。アレは全員で戦っても勝てないわ」

 

 アンリは青ざめて言う。

 

「けど、やるしかねぇなコラ。死んでもコイツだけは何とかしねぇと」

 

 木刀を杖にしてゴウは立ち上がる。

 

「いや、俺だけで十分だ。お前達は撤退して未来に賭けろ」

 

 オーボスは構える。

 

「総隊長の座は隼人に譲る。未来ある若者を中心に強くなれ。良いな」

 

 そういうとオーボスはググラガに立ち向かっていく。

 

「おおおおおおおおおおお」

 

 強烈な拳を見舞う。

 

 ググラガはそれを片手で受け止めると言った。

 

「良いな。お前は強い。少し相手をしよう」

 

 オーボスとググラガの戦闘が始まる。

 

「くそ、加勢するぞ」

 

 悠馬は立ち向かおうとした。

 

「まて、悠馬。逃げるぞ」

 

 隼人は手を掴んで引き止めた。

 

「けど、隼人!」

 

「ググラガが総隊長に興味を持っている今なら、逃げられる」

 

「確かに今ならば行けるな」

 

 重蔵が立ち上がる。

 

「おい、重蔵テメー、マジで逃げるのかよコラ」

 

「いい加減にしろ。ゴウ」

 

 滅多に話さないギンガが言った。

 

「我々は生き残って奴の存在を伝えるのだ。それがストロンガー隊最後の務めだ」

 

 アニエスが壊れたメガネを捨てると言う。

 

「無口で滅多に言葉を発しないギンガさんが言うと、重みが違いますね。皆さんを一時的に強化します。それで逃げましょう」

 

 言うが早いか、アニエスの魔法で身体能力が上がる。

 

「よし、行くぞ!」

 

 未だ、激闘を繰り広げるオーボスを残してストロンガー隊は敗走した。

 

 途中、悪魔の軍勢が襲い掛かってきたが、何とか蹴散らして拠点まで走り抜けた。

 

 拠点にたどり着いたときには、悪魔軍も撤退し戦闘は終わっていた。

 

 こうしてストロンガー隊は壊滅した。

 

 戦闘のあとオーボスの捜索が行われたが、遺体は発見されなかった。生きている望みは皆無だった。

 

 そしてググラガは各地に現れて、その力で根こそぎ吹き飛ばし戦場を地獄に変えた。

 

 それは逆転した人類軍を再び劣勢に追い込むには十分な力だった。

 

 

★

 

 

 だがその劣勢の中、ググラガを抑え込む者達が居た。

 

 己の強さを誇りにし、軍には属さず世界を自由に駆け回る戦闘集団。

 

 千の魔法を使う少年に率いられたその集団の名は「紅き翼」

 

 ググラガの出現。紅き翼の台頭。

 

 第二次人魔大戦はより激烈な戦いへと変化していくのだった。

 

 

 

つづく

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。