……というかナンバー、どこに向かってるんだろうね。
僕にとっても謎。
ちなみにあの赤い自転車。大人になった今でも現役だ。
流石に僕が乗ることは出来なくなったけど、知り合いの子供が乗っている。
大切にしてくれているなら何よりだ。
ウーノさんは……ノーコメントで。あの人それなりに会うことはあったけど未だによくわからない……
いや、いい人なんだけどね。その……なんでもない。
翌日。昨日はウーノさんという謎の人物と出会った訳ですが。
「それでは案内をよろしくお願いします」
なぜか今日も一緒にいる。というか。
一緒に住んでいる。なんでさ。それに何をしている人なのかまだ教えてもらってないし。
昨日はずーっとナンバーと口喧嘩してたから。
『というかなんですかその身分証明書といい、肩書きといい。どこからもって来たんですか』
「私が一晩で作りました。何か問題でも?」
そういってウーノさんは免許証とフリージャーナリストと書かれた名刺を見せてきた。
昨日、お盆休みということでかえでさんのお父さんが帰ってきたんだけどウーノさんをなぜか連れてきていた。
なんでも仕事先で会った人で、海鳴市を取材したいと言ってきたので連れてきたんだとか。
妻の雪子さんから白い目で見られてたけど、ウーノさんが私にはちゃんと結婚相手がいますとか言ったのでどうにかなった。
ちなみに今日は夏目家の人はみんなお墓参り。僕のはウーノさんを案内することになってるんだけど。
『マスター。ウーノちゃんが知らない内に犯罪に手を染めていました。
これは弱みを握りましたよ』
「は、犯罪行為って……
というか昨日から疑問に思ってたんだけど、ウーノさんって何者なのさ?ナンバーの知り合いみたいだけど」
『あー……ネジの外れた妹です』
「ネジが外れているのはあなたでしょうに。
それに何度もいいますがあなたは私の姉ではありません」
「……全く意味がわからない」
連想はできないこともないけど。
「もういいです。あれに任せていてはらちが飽きません。
私はあなたにナンバーを渡したドクターの言わば部下のようなものです。ナンバーとは面識も当然あります」
「ええっ!?まあナンバーと会話してたからそんな気はしてたけど……一応聞きますけど証拠あります?」
「ふむ。ドクターの写真と魔法。どちらがいいですか?」
そして、ウーノさんに僕は両方ともを見せてもらうことにした。
……どっちも本物だ。
「わかりました。信じます。ところで妹とかって……」
『だって私、ウーノちゃんが培y』
「黙りなさい。これ以上話をややこしくしないでください。このポンコツの言うことは聞かないでください」
あ、はい。
「それで、ウーノさんは海鳴市の取材に来たんでしたっけ?でも僕市外の人間だしなぁ」
「?そんな訳がないでしょう」
はい?
「フリーのジャーナリストというのは嘘ですし、あの人と仕事先で会ったというのは魔法で勘違いさせているだけです……
どうかしました?」
「ナンバー、この人ヤバくない!?」
『何を今更。ウーノどころかドクターも大体こんな人ですが』
えっ。
「……なるほど。これは美味ですね。ぜひドクターにも振る舞いたいです」
「でしょ?」
まあ話してみるとそこまでヤバくはなかった。
なんでも普段から働きすぎだろうということでドクターから無理やりナンバーの様子を見に行けという任務、もとい休暇に出されたらしい。
でもウーノさん曰わく、ドクター含めて家?というか研究所に家事ができる人が少ないらしく、本人としてはすぐにでも帰りたいらしい。
でも転移魔法だっけ。いわゆるワープの魔法で研究所に帰れないようにされたらしい。
ドクター、やりすぎなんじゃ……
……せめて少しでもこの休暇を楽しんでもらおうと思う。
今は商店街にあるレストランに招待している。
「ところで、なんでメガネかけてるんですか?」
「ああ、これですか?ドクターにテストしてくれと頼まれていた物です。簡易的なマジックアイテムですね」
「そうなんですか。ちなみにどんな効果があるんです?」
「認識阻害という魔法を常にかける効果と魔力の流れを見る効果です。
後者はまだ試作段階な上に実用性も不明ですが。
前者は手っ取り早く言うなら人に顔を覚えられなくする魔法です」
「へええ。でもそれって僕や夏目家の人にも効果あるんじゃないですか?」
「こちらが許可した人には効果は働きません」
便利だな、魔法って。そういうのもっとナンバーが教えてくれたらいいのに。
「さて、そろそろ違う場所に行きませんか?」
「そうですね。お勘定お願いします」
……そういえば、ウーノさん結構日本に馴染んでるな。ちょっと不思議。
「よっ。こんなところで何してるんだ?」
商店街をウーノさんに紹介しつつぶらついているとアイス片手の赤い髪の女の子に会った。
「誰かと思えばヴィータちゃんか。一昨日きやがれ」
「あ?喧嘩なら買うぞ」
ごめん、つい言ってみたくなっただけ。
「ヴィータ?その子は知り合いですか?」
「まあね。一応友達かな。あ、ヴィータちゃん、この人は僕の住まわせてもらっている家の人の知り合いの人だよ」
「はじめまして。ウーノと申します」
「おう、よろしくな。で、何してんだ?」
「ちょっと町の観光かな。ヴィータちゃんは?」
「ゲートボールやった帰りだな。ってなんだその顔は」
「……なんか老けてるなーと」
「怒るぞ」
冗談だって。
「……むぅ?」
「ウーノさんどうかした?」
「いえ、何か不穏な気配を感じたといいますか」
「気配?そんなの感じねぇけど」
「気のせいじゃないの?あ、そうだ。次はアイス屋さんにでも行くんだけどヴィータちゃんも一緒に行く?」
「お、いいなそれ。よし、アタシも行くぞ」
そして、僕らがアイス屋さんに向かおうとしたその時だった。
「キャァァァ!!」
「何だ!?」
「あっちの方から聞こえましたね……私が見てきますので二人はここで待っていてください」
そう言ってウーノさんは一人、叫び声の聞こえた方向に向かった。
帰ってきたウーノさんが告げた言葉を聞いた僕達は驚いた。
それから数時間後。海鳴市に一つの号外が配られた。
海鳴市に、通り魔が出現し、人が殺されたという記事だ。
と、いう訳で。ここからちょっとだけ彼らの戦いが始まります。
お楽しみに。