海鳴市での、なつやすみ   作:あおい安室

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後少し。もう少しだからもう一頑張りしてみよっか。
最終回まで後2回。個人メイン回の最後はなのはさんメイン回で締めくくるとしよう。
お楽しみください。


8/29

ドクターことジェイル•スカリエッティ。

相変わらず僕はドクターと呼んでいる。今も昔も変わらない……

いや、ちょっぴり密接になったかな?

さてさて、8/29だ。あの日は……あっ。あれか!

 

 

 

「全く!どうしてこうなったんだろうね、ナンバー!」

 

『高町さんの何かに火を点けたマスターが悪いっ!』

 

「ま、待ってよー!っていうか早いよ!」

 

早朝の海鳴市。

山の中を駆けるスパイダーマンなバリアジャケットの僕。そしてそれを飛行魔法で追いかけるなのはちゃん。

朝、何の気なしにドクターがチューンナップしてくれた魔法を使いたくなって僕は山

を訪れていた。

そしてそこにはもちろんあの人がいた訳で。

 

「あ、おはよう!よかったら一緒に特訓しない?」

 

『お久しぶりですね』

 

そう。レイジングハートのマスター、高町なのはちゃんである。

魔法の特訓を今でもやってたことに驚きつつ。

 

「いや、いいよ。僕は僕でやるからさ」

 

誘いを断ったんだけど。

 

「ええー……一緒にやったら楽しいよ?」

 

食い下がられた。

 

「そうだね。確かに楽しいかもしれないね。だが断るっ!絶対に厳しいだろうし!」

 

そう言ってナンバーを起動して、いつもの飛行方法で逃げたんだけど。

 

「もう、待ってよー!!」

 

魔法少女の衣装になって追いかけてきた!?

なんでさ。

 

 

 

「全く、しつこいなぁ……というか、他人に見られてないよね?」

 

『問題はないかと。ただ、いい加減止めるとしましょう。じれったくなって攻撃してきそうですし。こんな方法なんてどうでしょう?』

 

……なるほど。それは面白い。

魔法のテストにもいい!

 

「なのはちゃん!新作魔法、行くよ!」

 

「ええっ!?そ、そこまでして逃げたいの!?」

 

「僕をやる気にさせたなのはちゃんが悪いっ!」

 

僕はなのはちゃんと比べるとやっぱりだけど、直線速度や小回りでは負ける。

飛行方法があれだからね。

だけど、利点もある。

 

「いよっ、と!!」

 

「にゃっ!?」

 

カーブでの速度は僕の方が若干速い!

何度もカーブを繰り返すうちに広げた差をここで0にする。

なのはちゃんの、後ろを取る!

木を中心として円を描くように!

 

「ってあいたっ!」

 

「ふにゃあっ!!」

 

ただ、問題が一つ。速度が出過ぎた。

魔法の展開が間に合わなかった……粘着性のあるフローターフィールドでなのはちゃんを捕まえるつもりだったのに。

なので見事に激突した。

 

「っー!?ナンバー、急速展開!」

『フィールドですねわかります』

 

直後、僕は落下しかけたけど急いでフィールドを展開して床を作って着地した。

なのはちゃんは……空中でおでこ押さえてうずくまってる。

器用な……

 

「うう……痛いの……」

 

「ごめんね。魔法の展開が遅れた僕も悪い」

 

「ううん。追いかけた私も悪かったし……うう、まだズキズキする……」

 

「あー……ナンバー、治癒魔法用意」

 

そう言うと僕はフィールドを複数展開し、なのはちゃんの近くに寄る。

そして治癒魔法を使う。ナンバーから適性があると言われて良かったよ。

 

「あ、ありがと……本当に色んな魔法が使えるんだね。すごいなぁ」

 

「いやいや。ナンバーが色々と助けてくれるおかげだよ。僕はまだまだ未熟者」

 

「そんなふうに言わなくていいよ。私は基本的に飛行魔法とバインド、それと射撃系の魔法しか使えないから」

 

……えーっと?飛んで、縛って射つ?

 

「もうちょっと魔法少女らしくするべきだと思う」

 

「何その評価!?ヒーローみたいな格好してる君には言われたくないよ!!」

 

「縛りあげてやろうか」

 

誰が好んでこんな格好をするものか。

 

 

 

その後。多少魔法で戯れて、朝食の時間が近くなってきたので帰ることにした。

 

「……ねえ。君ってこれからも……夏休みが終わってからも魔法を使うの?」

 

帰り道。なのはちゃんが唐突に僕に質問してきた。

 

「当然。僕も魔法は気にいってるしね。なのはちゃんはこれからも特訓を続けるんでしょ?」

 

「うん。私ね……ちょっと、考えてることがあるんだ」

 

考えてること?

 

「うん。私ってすっごく魔法の才能があるって言われたことがあるの。だから、いつかこの才能を誰かのために使えたらいいなあって思ってるんだ」

 

「……そっか。すごいね」

 

将来、か。魔法を役立てるという発想はなかったな。

ずっと趣味で終わらせるつもりだった。

 

「ねぇ、君はどうするの?もしよかったら、私と一緒に魔法を使える仕事をしない?」

 

「うーん。その気持ちはありがたいけど……僕は多分、そういう道は選ばないんじゃないかな」

 

「えっ、なんで?理由を聞いてもいい?」

 

「なんと言ったらいいのかな……僕はこういう1日が好きなんだよ。友達と話して、遊んで、ご飯を食べて、眠る。

こういう当たり前の1日が好きなんだ。そこにはほんのちょっとの彩りとして魔法があったら僕は十分なんだ」

 

「……そういうのってなんか素敵だね。私もそういうの、好きだよ」

 

「でしょ?さて、と。今日も1日、何をして過ごそうかな?」

 

「あ、私もついて行っていい?」

 

「もちろん。ご飯食べたら翠屋前に集合しよっか」

 

「うん!」

 

こうして。今日という1日は当たり前のように過ぎて行く。

そして、別れの時も近づいてきた。

だけど、もう少しだけ時間はあるんだ。今日も1日を楽しむとしよう。

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