さあ、いよいよ最後の日だ。
海鳴に別れを告げたあの日を、僕は忘れない。
まあ、それから後に僕は戻ってくることになるんだけど、それはまた別の機会に話すとしよう。
さあ、8/31だ。
「……朝、か」
目が覚める。夏休み最後の日だけど、特に変わったことはない。
軽いストレッチと朝食をとり、荷物を確認する。
……うん、大丈夫。お土産もちゃんとある。
『マスター、準備はよろしいですか?』
「うん、大丈夫だよ。一応聞くけどナンバーは?」
『いつでも準備、できてます!』
「あはは、頼もしいね」
『ええ。なんたってマスターの相棒ですから!』
ナンバーがいつもこんな調子だったらいいんだけどね。
さて、行こうか。
駅に着いた。なんだか1ヶ月前に僕の住んでいた街を離れてここに降り立ったのがつい昨日のようだ。
「……かえでさん。1ヶ月間ありがとうございました」
「ううん、こちらこそ。こっちも楽しかったよ」
電車が来るまでもう少しだけ時間がある。
なのはちゃん達は……あっ、見えた。向こうの方からやってきてる。
……こっちを見つけたなのはちゃんが手を振った瞬間に転んだ。
で、それを助けるすずかちゃんとアリサちゃん。
すっごくいつも通りで安心した。
「もうっ!なのはったら何時までもどんくさいわね!」
「ご、ごめん……これでもちょっとは運動神経よくなってるんだよ?」
「……なのはちゃん。もしかしてまだ寝ぼけてる?」
「……最近すずかちゃんといいアリサちゃんといい身の回りの人からよくからかわれるのはなんでだろ……」
なのはちゃんの持つ何らかのエネルギーが働いてるとか?
ドクターにその内頼んでみようか。
「後5分くらいか……そうだ今のうちに色々とお礼を言わないとね。すずかちゃん。本の話とかありがとね。楽しかったよ」
「私もだよ。肝試しとかも楽しかったね」
「……ノーコメントで。アリサちゃんは……何かあったっけ?」
「しばくわよ」
「冗談だって。勉強とか教えてくれたから助かったよ。僕も結構苦手なところはあったしね」
「……ふんっ、次に会う時までにその苦手なところ直しなさいよ」
あ、そっぽ向いた。ちょっと可愛い。
「なのはちゃんには……本当に感謝しかないかな。ここに来たばっかりの僕と友達になろうって言ってくれたり、二人を紹介してもらったりとか。本当に、ありがとう。なのはちゃん」
「ううん。こっちも本当に楽しかったよ。お礼を言いたいのはこっちもだから」
「そっか……それなら良かった」
『まもなく、3番ホームに電車が到着します。危ないので線の内側にお下がりください……』
「あ、電車来たみたいだよ」
駅のアナウンスを聞いて、僕は下ろしていた荷物を背負いなおし、チケットがあることを確認する。
「わかりました、すぐ行きます。それじゃ……またね、3人とも。いつか必ず戻ってくるよ」
「約束だよ。その時までに面白い本探しておくね」
「アンタこそむちゃして体壊すんじゃないわよ」
「うん、私もその時を楽しみにしてるね……元気でね」
3人とかえでさんに見送られた僕は電車へと向かう。
……その途中、ほんの少し涙が流れた気がした。
やっぱり、ちょっと心にくるものがあった。
なんだろう。たった1ヶ月だけだったのに、あの3人とはずっと前からの友達だったような気さえしてきた。
あそこにはいないヴィータちゃんやはやてちゃんとも、だ。
……早く、また会えるといいな。
電車に乗って、窓ごしに見えるあの手を振っている3人の姿を見ながら、僕はそう思った。
……きっと、これからの僕にとって。この夏休みを上回る程の夏休みはないだろうな。
3人に見えていたかどうかはわからない。だけど、僕は。
あの3人が見えなくなるまで、電車の中から手を振り続けた。
沢山の楽しい思い出をありがとう、みんな。
ああ、本当に楽しい夏休みだった。
『……マスター、マスター』
「何かな、ナンバー?」
『いい人たちでしたねー』
「………うん。」
この話で海鳴市での、夏休みは一旦終わりとなります。
但し、まだ空白期間を描いた番外編や少しだけですがエピローグが残っています。なのでまだこの作品を完結表記にはしません。
それらは時間的に考えて恐らく来週あたりに投稿できると思います。
……本当に今年の夏休みはこの作品を投稿していて楽しかったです。
色んな感想や情報源を頂けたことに対しては本当に感謝です。
読んでいて面白かったり、嬉しかったりと。色々な感想がありました。
また、僕のリアルでの都合で投稿が遅れたり、お休みしてしまったりと迷惑をかけて申し訳ありません。
読んでいただいた皆さん、本当にありがとうございます。もう少し続きますので、お待ちください。