当時のことをはやてちゃんに話したら「それある意味デートやんか」と言われた。
でもデートって二人きりでするものでしょ?あの時たくさん人いたよ?
……肩を優しくたたかれた。「フェイトちゃんの伴侶が見つかるのはかなり先の話やな」?
……ヴィヴィオにすら将来を心配されてるはやてちゃんの言うことじゃないよ?
私よりも立場ややこしいからそっちの方が難しいと思うなぁ。それにヴィヴィオも……あ、吐血した。
「……うーん、これでいいかなアルフ?」
「いいんじゃないのかい?フェイトは大体黒っぽい服着てたら何でも似合うんだし。あ、そろそろ散歩に行ってくるよ」
その日の朝。あまりおしゃれとかしたことのない私はアルフに見て貰いつつ、服をチェックしてもらっていた。
エイミィさんからもちゃんとしたほうがいいって言われたし。
……あれ、電話だ。こんな時間に珍しい。寮の内線じゃないみたいだし。
「はい、テスタロッサです」
『あ、フェイトちゃん?聞こえてる?』
「あ、ボクくん?……なんか風の音すごいね。どこにいるの?」
『気にしないで。ところでさ、今そっちに向かってるんだけど部屋に入っても大丈夫かな?』
「迎えに来てるってこと?」
『正確にはボクが全く土地勘が無くてわからないだけ。フェイトちゃんの家というか、マンションならナンバーが道を覚えてくれてるし』
「す、すごいねナンバー。私は別にいいよ?ちょうど着替え終わったし」
まあ、厳密にはマンションじゃないんだけどね。
『良かった。じゃ、ベランダに出てくれない?ちょっとどこの部屋なのか詳しくわからなくて。ナンバー肝心なとこを覚えてないんだよ』
「あはは……わかった。電話は切るよ。また後で」
そういって私は電話を切ってベランダに出た。
……あれ?ベランダに出てどうするんだろう。部屋がわからないのかな?
でもそれだと私から部屋の番号を聞けば済むんじゃ?
その時。
「はーい、しゃがんでしゃがんで!」
「え、えええっ!?」
私の目の前の空間がゆがんで赤と青の派手な服を着た少年が現れた。とっさにしゃがんだ私の上を通過して、部屋に入っていったけど……
誰!?
「ふうー……おはよ、フェイトちゃん」
「え、あ、うん、えう……ボクくぅん!?」
派手な少年の正体はボクくんだった。ああなるほど、バリアジャケットだったんだ……って何やってるの!?
「スパイダーマンの真似?あ、通じないか。チェーンバインドってわかる?あれみたいなやつで空中を振り子の要領で移動してたんだよ。一応ナンバーのステルス機能で姿は隠してたから問題ないよ?」
「……正座!ボクくん正座ー!!」
普通にだめだよ!!
「街中での魔法使用は許可証いるとか聞いてない」
「普通に考えてダメにきまってるでしょ!?」
ボクくんどうも地球でも隠れてこっそりあんなことしてたらしい。しかもバリアジャケット抜きで。記憶を失う直前のボクくんはバリアジャケット覚えたから使ってるっぽいけど。
「もう……特別に内緒にしておくけど、このことエイミィさんたちに言っちゃダメだよ?」
「なんで?」
「エイミィさんたち管理局の人だからそういうことした人取り締まるのが仕事なんだよ?」
「……本当にすいませんでした」
わかってくれるのならいいよ。さ、早く行こっか。
「おはよー。まさか二人が一緒にくるとは思わなかったよ。病院行ったらいなくてちょっと驚いたよ」
「割とアグレッシブなのが僕なので。そっちの人はエイミィさんの弟?」
「違う。職場というか、管理局での上司だ。それと僕は君より年上だ」
「あ、それは分かるよ?ボクより身長上だしね。ところで弟さん強がり好きなの?」
ボクくん。全部事実だからね?
「え、本当に?ということはミッドチルダの男の子って身長小さいの?」
「……エイミィ、帰っていいか?」
「気持ちはわからなくもないけど押さえて押さえて!ボクくん、こちら管理局の執務官っていう偉い職についてるクロノ・ハラウオンくん。私の上司だよ、一応。ちなみに14歳だからボクくんの3つ上かな?」
「一応とはなんだ!」
「身長低いから仕方ないんじゃないかな?ところで魔法使えるの?」
「はあ……もういい。魔法は使えるに決まっているだろう?」
「武器は?やっぱり剣とか?刀?はっ!まさかモップ?」
「いや、普通に杖だが。最後のは武器ですらないぞ」
「名前改名しろ!というか時の引き金に謝れぇ!!」
「なんだその理屈は!?」
「……なんか物足りない」
「え、そうかな?」
その後。ミッドチルダの町並みを見て回りつつ、ほどよい時間になったところで昼食をとっていた。
地球で言う洋食?のおいしいお店に来たんだけど、どうも不評らしい。
「おいしいんだよ。おいしいのはわかるんだよ。だけど何かが足りないというか……むむ、表現しづらい」
「現地人からしてみればそういう差はあるんだろうな。しかし、なんなんだ君は。バインドの扱いがすさまじすぎるぞ」
「スパイディなめるな!」
「なんだそれは!?」
……途中、ボクくんが興味を示した施設にあった簡単な魔法を使って攻略するいわゆる遊び用のアスレチックコースで私とクロノとボクくんで競争することになったんだけど。
飛行魔法禁止っていうルールなのにボクくんバインドつかって例のスパイダーマン?っていう飛行方法であっさりクリアしたし。
審判もあれは予想外らしくて戸惑ってた。
私やクロノは身体強化とかフィールド系の魔法で突破してたのに。
というか途中壁に張り付いて上ってたけど、どうやったんだろう。
『私の自作した魔法ですよ、ええ!管理局のちび執務官なぞに遅れを取るものか!』
「おい、そのデバイスの性格はどうなっているんだ」
「あ、貸しますのでどうぞご自由に痛めつけてください」
「……君もおかしいぞ」
「えー?」
普通そこまでデバイスはいじめないよ、うん。で、クロノも普通に受け取って握りつぶそうとしない方が良いんじゃ……
「……あ、そうだ。フェイトちゃん。頼みがあるんだけどいい?」
「頼み?」
「うん。お医者さんから聞いたんだけどね……」
記憶喪失にかかる直前の君をAという人格として、記憶喪失中の君をBという人格とする。
そして、Bという人格がA、つまり記憶を取り戻したとする。すると、Bという人格が経験した記憶が消えることがあるらしいんだ。
だから、Bという人格の君は私にお願いしたんだ。
Aとしての自分にBとしての自分の経験したことを伝えてくれって。
フェイトちゃんっていう女の子と出会ったという大切なことを伝えて欲しい。
そう頼まれたんだ。
だから、私は君と出会ったことを日記にして送ります。
これを受け取ったばかりの君はきっと困惑してると思う。
だけど、私にとっても君との出会いはとってもいいことだったと思ってるんだ。
それだけは信じて欲しい。
いつか私も地球に行くことがあったら君に会いに行くよ。
それじゃ、このあたりで。
フェイトテスタロッサ
「……記憶がない間僕なにやってたんだ本当に……というか、なんで僕転移魔法の事故に巻き込まれたの?」
『私がウーノちゃんを見送りたいっていったマスターにちょっかいをかけた結果です!で、記憶は転移先にたまたまいたなのはさんにがつんとやってもら』
「この馬鹿デバイスがーっ!!」