寒い日の中、リリカルをお届けします。
追伸:BoAとGoD買いました
新歴75年12/2X
「これはどこにおいておけば良いんですか?」
「ああ、その箱は隣の研究室へ運ぶ。入り口付近においておいてくれたまえ」
クリスマスを目前に控えた海鳴の午後。僕はドクターに呼び出されて会社の倉庫の整理をしていた。
昨日そこそこ大きな地震があったからだ。耐震設備こそちゃんとしてたから基本的には大丈夫だったんだけど。
そう、基本的には。
「というかなんで地下に倉庫作ったんですか」
「人には隠しておきたいものの一つや二つくらいあるだろう?しかし、耐震設備をつけ忘れるとは私らしくないミスだ」
会社の地下にある倉庫にはドクターがうっかりして耐震設備をつけていなくて。
結果中の物が崩れたりしてぐっちゃぐちゃになった。
倉庫そのものが壊れていないのはさすがだけど。
『まあこの辺というか地下フロアそのものが魔法技術の塊ですからねぇ。魔法技術は一般人には流石に見せられませんよ』
「え、魔法技術?」
「ああ。私が向こうのラボから運び出した物や、まれにしか使わないが魔法技術の研究室がある」
「……何それ聞いてない」
「言わなかったからね。というかここに出入りできるのが私と君、そしてナンバーズだけであることから察したまえ」
僕そんなに察しよくないです。というかこれまでにここに出入りした回数100を超えてるんですが。
「まあ、下手に触らない限り危ない物は基本的にないから安心したまえ。そういうものも私の開発したケースでしまってあるから問題ない」
「そのケースって、ネタですっごくもろかったり、いざというときに中身を消滅させるための爆発物くっついてたりしませんよね!?」
「なるほどそれはすごく面白いな!後で作るとしよう!」
「やめてくださいよ!!」
そんなある意味いつも通りな会話を交わして。
ドクターは仕事が残っているとかで研究室に戻り。
僕は相変わらず整理を続けていた。
「これでよしっ、と。あー疲れた。後はこの箱を研究室に運ぶだけだね」
『お疲れ様です、マスター。しかしドクターも色々と集めてますねぇ。ジュエルシードとか懐かしい代物を……』
「ジュエルシード?なんか変わった名前だね。何なのそれ?」
『おや、ご存知ないですか。てっきり高町さんから聞いている物かと』
どうしてそこで高町さんが出てくるんだ。
『ジュエルシード事件と言えば管理局の白い魔王の誕生のきっかけではないですか。有名ですよ?あ、PT事件と言った方がいいんですかね?』
「うーん……あ、そうだ、思い出した、あれか!思い出した、ずっと前に高町さんから聞いたことがあった!すっかり忘れてたよ。10年くらい前だもんなぁ」
『やれやれ、手のかかるマスターですねぇ』
「そもそもなんでそのジュエルシードがここにあるの?」
『さあ?どうせドクターのことですからん管理局からかっぱらったんでしょう』
「へぇー……ふーん……」
「……ん?」
いつの間にか隣に誰かいた。
栗色のサイドテールの女性……
「って高町さん!?なんでいるの!?」
「ふふっ、来ちゃった?なんてね」
「なんてね?じゃないって。管理局の仕事はどうしたの?」
「休みとってるよ?まあ今回はヴィヴィオを驚かせようと思って内緒で来たんだけどね」
「お、おう……あれ?でもここって関係者立ち入り禁止なんじゃ?」
「ボクくんに会おうと思ってここに来たら、たまたまスカリエッティに会ったんだよ。それで許可もらってきたよ」
警察みたいな組織の管理局員に許可を出しちゃダメでしょドクター……
「それで、ジュエルシードを渡してくれるかな、ボクくん?」
「あ、やっぱり?」
「当たり前だよ!私だって管理局員なんだからね。……まあ、スカリエッティの逮捕は諦めたけど。もうここまで来ると捕まえるためにいろいろとしなきゃいけないし……」
諦めたんですか高町さんよ。
「とにかく。それを渡してね?」
「まあ、別にいいけどさ……」
もうどうなってもしらない。ドクターから怒られても自己責任ってことで。
ケースを受け取った高町さんは中身を確認する。
中には青い種のような宝石が入っていた。きれいだな、あれがジュエルシードか。
「1、2、3、4……あ、あれぇ……?」
「どうしたの?」
「このケースの中に入ってるジュエルシードが管理局に保管されてるはずの物ばっかりなんだよ……しかも12個。管理局では12個管理してるはずだから、全てここにあることになるし……」
「管理局仕事しろ!」
『ザル警備すぎやしませんかねぇ……』
「わ、私に言われてもどうしようにもないよ!!」
まあ、高町さんに言ってもどうしようにもないんだろうだけど。
「でもなんでそんなにたくさんあるんだろ?」
『ドクターがかっぱらったにしては多いですしね。多分ドクターと取引していた管理局のところから譲渡されて、そのまま渡していたことを、管理局側が隠してたんじゃないでしょうか』
「えええ……そういう不正がこんなところで発覚するなんて……」
「どうする?報告する?」
「うーん……ややこしいことになりそうだし、クロノくんに相談してからかな。あーあ。昔に戻りたいよ。昔なら難しいことを考えずに戦ってるだけでよかったのに……」
「あはは。それが大人になるってことだよ、高町さん……って!ちょっと、その宝石光ってるよ!?」
高町さんが手にしていたケースの中のジュエルシードが急に光り始めた。
な、なんかやばくないか?
「え?……えええ!?こ、これ封印してなかったの!?」
『そのケースが封印の役割果たしてたんですよ!全く、何してるんですか!いいから早くケースを閉じてくだs-』
そのとき。光が強くなって目がくらんだ。ナンバーの声が、急に遠くなっていく。
「ここは……海鳴市の森かな?ああ、びっくりしたぁ……」
『全くですよ!高町さんも迂闊です!ジュエルシードが願望器であることは自分が一番よく知っているはずだというのに……!!』
「うう……ごめんね、ボクくん」
気が付くと、僕らは海鳴市の森にいた。街が見えるから間違いないはずだが。
でもなんかおかしい気がする。建物の並びがどうも記憶と違う。
「ナンバー、ここって過去の海鳴市だったりしない?高町さんさっき昔に戻りたいとか言ってたし。それに、何か街が僕の記憶とはちょっと違う気がする」
『ありえますね。待ってください、ちょっと調べますので……わぁお。マスター、見事に過去ですね。10年くらい前です』
「やっぱりかー。高町さん本当に何やってくれたんだ」
「面目ないです……」
高町さんが珍しくへこんでる。写真にしてフェイトさんあたりに送ってやろうか。
『本当ですよ。どうやって帰るんですか……とりあえずドクターからの救助を待つしか無いですね』
「だよねぇ。どうしたものか。幸いお金はそこそこ持ってるけど。一応聞くけど高町さんはいくらある?」
「財布入れたバッグあっちに置いてきちゃったから無文一です……それにレイジングハートも、ロックかけてこっちに来たから今は使えないし……」
『高町さんマジで使えねぇ……』
「ボクくん」
「あ、了解」
手渡したナンバーの悲鳴をBGMに、僕はこれからどうするかを考えていた……
こうして。
過去の海鳴市での日常が幕を上げた。
はたしてどうなることやら……とりあえず。
「魔力の反応はこのあたりからしたけど……えっ?お、お母さんなの?なんでここにいるの?それにその人って誰……?」
「えっ?えっ?……ええええー!?」
目の前に現れた小さいほうの高町さんの誤解を解くか。
次回は6時間後です。しばしお待ちを。