クリスマス当日とイブのどっちに騒ぐのが正しいのか、プレゼントをどっちの日にもらえるのかよくわかってない作者からリインフォースをお届けですよ。
過去の世界で事件が起きている中、そんなことは知らないとばかりに、僕は手軽にたくさんの人が食べれるカレーを作っていた。
だけど。
「ありゃ、作りすぎちゃった?」
あまりにも人数が多いので大量に作ってたけど。むう……
ちょっと量が多すぎるな。僕や高町さんや、リンディさんたちが明日食べるとしてもちょっと多そう……
『ふむ。こんな時はまず偉い人に相談ですね!教えて、エロイ人!』
「煮込まれたい、ナンバー?」
「あら、作りすぎちゃったの?」
リンディさんが手が空いてるみたいなので相談してみた。
その様子だと事件は終わったんだろうか。
「大体はね。後は数える程よ。事件も収束に終わってると言っていいわ」
「そうですか。それは良かったです」
「ええ。ところで、ローウェルさんと同行していたはやてさんから「ローウェルさんえげつないです」という報告が来てるんだけど……」
『あれはもはや魔王なので仕方ありません。どうしようにもないですねー』
「そ、そう……なのはさんを管理局にスカウトしたのって間違いだったのかしら……」
高町さんがああなった原因ってあなただったんですか、リンディさんェ……
「ま、まあそれはともかく。そうね。はやてさんのところにおすそわけしようかしら。少し待っていてちょうだい、はやてさんに必要かどうかを聞いてみるから」
それからしばらくすると、八神さんはせっかくあるのならもらう、とのことだった。
と、いう訳で。僕は夜の海鳴の町に繰り出すことになった。
まあ、流石に一人という訳じゃなかったけど。僕には護衛がつくことになった。
偽物は完全に消えた訳じゃないから、仕方ないけどね。襲われたら大変だ。
ただ……
「はじめまして。あなたがハーヴェイさんだな?私は八神リインフォースだ。短い間だがよろしく頼む」
……この人、誰!?
僕の知ってるリインフォースさんと全然違う!
あっちって思いっきり子供だったり妖精サイズなのにこのリインフォースさんは普通の大人サイズ……!?
「わ、訳がわからない……あれがどうしてああなったんだ……?」
「む?どうかしたのか?」
「あ、いや!なんでもないです。はい」
「は?まあ、それならいいんだが……」
変な物を見るような目で見られた。まあ、仕方ないのかな……
……僕からしたらあなたの方が変だけど。
あれがどうしてああなったんだろう……
『人体というかデバイスの神秘ってやつですね!というかいい体ですなぁ、リインフォースさんは。私に手があれば、是非とももみしだきたい胸です!』
「んなぁっ!?」
「ナンバー、後で覚悟しておけよ。あ、リインフォースさん。後でこいつ煮るなり焼くなり好きにしてください」
「え、えええ?い、いいのか?君のデバイスなんだろう?」
「こいつ無駄に頑丈ですから、ちょっとやそっとじゃ壊れませんよ。お好きにどうぞ。うちのデバイスが迷惑をかけます」
「そ、そうか。君は苦労してるんだな……」
リインフォースさんの視線が同情に変わった。
……違う、そういうのを求めてたんじゃない。
「ついたな。少し待ってくれ、今玄関を開ける。その後についてきてくれ」
そんなこんなで、僕らは僕の家……もとい、この時代ではまだ八神さんの家にたどり着いた。
……道中何もなくてよかった。
鍋を抱えたまま僕はリインフォースさんに台所に誘導された。
まあ、道は知ってるんだけどね。
そして、鍋をコンロの上に置いて、これでお仕事はおしまいっと。
その時。キッチンから見える部屋に一枚の大きな写真立てを見つけた。
何枚もの写真を組み合わせて作ったものらしいけど……
「……ん?あれ、これって……」
「ああ、その写真か?夏休みに出会った主の友人とスイカ割りをした時に撮った写真とのことだ。その友人も魔法使いらしい。私も一度会ってみたいんだが機会がなくてな……」
『え、あなた、マスターのことを主って呼んでるんですか。これはアッチ系の匂いがしますねぇ!』
「ここでならお前を潰すことができるな。お前のマスターの許可は得ている。遠慮はなしでいくぞ」
『アアン、やっぱりぃ!!』
外していたナンバーを握り潰そうとするリインフォースを尻目に、僕は写真に見入っていた。
懐かしい。
スイカ割りの時のやつの写真があったとは。いつの間に撮ってたんだろう。
剣にスイカの汁がついちゃったからって水道で洗ってるシグナムさん。
スイカを頬張るヴィータ。
スイカに塩を振りつつ、砂糖を構えてニヤリとしてる八神さん。何やってるんだ。あれの犯人あなたか。
ザフィーラさんもスイカ食べてるな。食べ方ワイルドだ。
そして、顔をしかめるシャマルさん。砂糖スイカ食べてたんだっけな。
最後に、スイカを食べてる少年の写真。
何もかもが懐かしい。もうあれから十年も経ってるんだよなぁ。
「むう……固いな、このデバイスは。返すぞ、ハーヴェイさん」
『フヒヒィ……なかなかに刺激的でしたよぉ……』
あ、リインフォースさんが帰ってきた。
やっぱりナンバーにはヒビ一つ入ってなかった。相変わらず頑丈なことで。
そして、ナンバーを受け取ろうとした時。
「……ん?ちょっと待てよ?」
ナンバーを手に持ったまま写真と僕を交互にリインフォースさんは見る。
……あ。しまった。
あの写真にも確か……
「やっぱりだ……写真と全く同じ腕時計だ」
ナンバーが写ってたんだった……
「……驚いた。あなたがまさか、時間渡航でやってきた主の友人だったとは」
未来から来たことが、あっさりバレた。
弁明しても意味がなさそうだし、本当のことを話した。
今後は過去の世界でナンバーを身につけるのは止めた方がいいかな……
「なあ。未来から来たというのならいくつか聞きたいことがあるんだがいいか?」
「あー……それなら僕も聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「なんだ?」
「えっと。僕の知ってるリインフォースさんって、すっごい子供なんですよ。多分この時代から僕が海鳴に来るまでの間に何かがあったんだと思うんですけど、何か心当たりってあります?」
「小さい子供の私……?ああ、なるほど。そういうことか。大体理解した。恐らくそれは私の後継機だな。だから外見は私を小さくした感じなのだろう」
「後継機?」
機械でもないのに、なんでそんな話が出るんだろう。
「む?聞いてないのか?私はユニゾンデバイスというデバイスの一種なんだ。だからある意味機械の一種であるとも言える」
「……ナンバー、この人って頭おかしかったりしない?」
『ブフゥッ!!』
「なぜ本当のことを言ったらそういう扱いをされるんだ……」
……なんか納得いかない。
「……という訳だ。理解できたか?」
「大体はなんとか……」
『うちのマスターがユニゾンデバイスのことを知らなくてすみません』
とりあえず。リインフォースさんに散々説明してもらってなんとか理解はできた。
凄まじいデバイスもあったものだ。
「あれ?じゃあ僕らの時代でこっちの大人リインフォースさんは何してるんだろう?」
「……おそらく、その時代の私はもう消えているのだろうな」
……はっ?消えている?
「……実はな。私の体にはもう時間がないんだ。詳しく話すのには少し長くなるが、私は後数ヶ月もすれば消えてしまうんだ」
「えっ……そ、それってつまり……」
『死、ですね……なるほど、マスターがあなたに会ったことがない訳です』
……八神さん、そんなことまで経験してたのか。
……見る目がなんだか変わったな。
このあたりのことってなのはちゃんは教えてくれなかったけど、そうか、そういうことだったのか。
「それでな。未来を知るお前に聞きたいんだ。未来の主は……はやては、幸せだろうか」
……その質問は、普段からこういう雰囲気とは無縁な僕にはちょっとばかり重かった。
だけど、ここは。
「はい。幸せみたいですね。八神さんは今日も元気ですよ」
ちゃんと、答えないとね。
その答えにリインフォースさんは満足したのか、満面の笑みを浮かべて、
「そうか」
と。嬉しそうに言ったのだった。
なお。
『まあマスターの娘にはオバちゃんと呼ばれてますけどね!』
「ええっ!?」
「ナンバー、余計なことは言わなくてよろしい!!」
このことでしばらく質問攻めに会ったのはまた別の話。
次回も6時間後です。多分次回は普通に日常やってます。で、最終話は23:59に投稿かな。お楽しみに。