海鳴市での、なつやすみ   作:あおい安室

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この話に出たりんごフィナンシェは実在します。東北のおみやげとして有名です。
夏に一度デパートのイベントか何かで食べたことがあるんですよ。
本当にうまかったのでぜひみなさんもおためしあれ。


8/4

こうして僕は彼女に再会したわけだが。

あの高町ちゃんのお兄さんこと高町恭也さんと出会ったことも忘れてはいけない。あの人、僕を高町ちゃん……いや、高町さんと言い直しておこう。さすがにこの年でちゃん付けはね。

当時の高町さんが男の子を連れてくるのが珍しくてついにらんでしまったそうな。

さて、8/4だ。お楽しみあれ。

 

 

 

翌日。高町ちゃんとお茶会に行ってくると言ったら、かえでさんにひきつった顔をされた。

何かあったのだろうか。聞いても教えてもらえなかったから、とりあえず行ってくることにする。

後何かお土産を持って行けと言われたんだけど、雪子さん、さすがにワインはまずいですよ。

かえでさんから渡されたりんごフィナンシェなるものを持って行くことにする。

父親から送られたものとのこと。

まだ顔も知らないかえでさんのお父さん、ありがとうございます。

 

 

 

「……これはない」

 

高町ちゃん……となぜか高町ちゃんのお兄さんと合流して、お茶会の開かれるというすずかちゃんの家を訪れたんだけど。

これはない。全く予想しなかった。

なんですずかちゃんとやらの家はでっかい屋敷なんだ。

 

「?どうかしたの?」

 

「……なんでこういう家に住んでる人と友達なの?」

 

「にゃはは……いろいろあったの。そろそろ行こっか」

 

いろいろありすぎないかな!?……高町ちゃんとのつきあい方、考えるべきかも。

 

 

 

「おーよしよし。この辺りかな?」

 

膝の上に乗っかってきた猫をなでてやる。あごのあたりを優しくしてやると猫は眠そうにし始めた。

 

「わ、手慣れてるんですね」

 

「僕のおばあちゃんが猫を飼ってて。よく撫でてたから」

 

「そうなんですか。ちなみにどんな猫なんですか?」

 

「そうだな、品種は聞いたことは無かったけど確か毛の色が……」

 

お出迎えにメイドが出てきた辺りで、もう思考を半分放棄していた僕は、この屋敷で飼っているという猫を撫でていた。おかげで少し落ち着いた。

そして、そんな僕に猫の話をしているのは高町ちゃんの友達のすずかちゃんこと、月村すずかちゃんだ。

なんというか、お嬢様を形にしたような子だったけど。思っていたよりも話しやすくて安心した。

あ、おみやげはそれなりに好評で、この屋敷のメイドさんが出してくれた紅茶と良く合います。

……というか、普通の女の子はお茶会なんてしないことになんで気づかなかったんだ僕。普通におかしいってことに気づこうよ。

 

「……納得いかない」

 

「?どうしたの?」

 

「あのなのはが男友達を連れてくるのが、なんとなく納得いかない」

 

「えええ!?わ、私だって男の子の友達はいるの!ユーノくんとかクロノくんとか!」

 

「ユーノはフェレットでしょうが!それにクロノって誰よ!!」

 

そして。高町ちゃんと戯れているのはアリサ・バニングスちゃん。

まさかの外国人が出てくるとは……まあ月村ちゃんも髪の色は紺色っぽいからちょっと日本人なのかあやしいけど。

最初会った時は驚かれた。高町ちゃんは僕のことを「新しく出来た友達」としか伝えていなかったらしく。

男の友達だとは想像すらしていなかったとのこと。高町ちゃんその辺りしっかり説明しておいてよ。

 

「ところで、さっきの話を聞く限りこの中の誰かがフェレット飼ってるんですか?」

 

「ちょっと前までなのはちゃんが面倒を見てたんだよ。私たちが塾に行く途中に見つけた怪我をしてたフェレットなんだけどね。今は持ち主のところに帰ったんだってさ。フェレットに興味あるの?」

 

「前に地元の商店街で見かけたことがあったんですよ。それでちょっとだけ興味があるんです。最後に見たのはいつだったかな……まあいいか。それでちょっと月村ちゃんに聞きたいことがあるんだけど、そのことって高町ちゃんから聞いてる?」

 

「いえ、聞いてないです。その、なのはちゃんちょっと抜けてるところがあるから……」

 

友達からもその扱いですか、高町ちゃんよ。

 

「実は僕、宿題の読書感想文用の本を家に忘れちゃって。聞きたいことっていうのは海鳴市の図書館って海鳴市に住んでいない僕でも使えるかどうか。それと本に詳しいって聞いたから何かおすすめないかなーって」

 

「なるほど。海鳴市の図書館っていうのは風芽丘図書館のことだと思います。ただ県外の人に図書館のカードは発行してなかったような……」

 

「そうか。それなら仕方ないか。お小遣い使って何か本を買うよ」

 

「本なら私が貸しましょうか?」

 

「……月村ちゃん。その気持ちはありがたいんだけどさ。ちょっと今の僕の状況を思い返してみようか」

 

「?」

 

「たまたま会った女の子と友達関係になって。で、誘われるがままにこうしてお茶会に参加している訳だ。別に何か変わったこともしてないのに、だよ?この状況だけでも普通はおかしいって」

 

「そうですか?」

 

「それに初対面の君から本とか物を借りるのも気が引けるし。それに君も高町ちゃんと同じ小学3年生でしょ?一応僕も5年生だからね。年下の子から物を借りるとなったらなおさらだよ」

 

「えっ」

 

……何その「えっ」って

 

「そ、その……私の同級生の男の子くらいの身長だったので同じ3年生なのかな、と」

 

泣いた。周りの目を気にせずに泣いた。

そうか。僕はやっぱりこっちに来てもそういう扱いか……

それを猫にまで慰められる自分とは一体……




主人公が小さいという描写をするに当たって平均身長を調べてみたところ、小学3年男子で130cm台、5年で140cm台なので10cmほど差があるそうです。
ちなみになのはさんは原作こととらいあんぐるハートによると129cm。
……これの主人公、何か病気わずらってたりしないのかな?

2018年2月2日、少し改稿。
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