海鳴市での、なつやすみ   作:あおい安室

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例え夜九時でも、三月三日に投稿できたのならひな祭りを名乗ってよかろうなのだぁぁぁ!

……調子にのりました。


ひな祭りな海鳴市の一コマ。

三月三日。

それはひな祭りの日と書いて、女の子の日と読む。

男である僕にはあんまり縁がない行事なんだけど、今年は別。

娘、つまりヴィヴィオがうちにはいるから、せっかくだし何かしてあげたい。

でも正直なところ、あんまりピンとこない。

ひな祭り、ってなにすればいいんだろう。というか、ひな祭りの意味ってなんだろう。こんな時は、大手検索サイトヤッホオォォォイ先生に聞いてみるとしよう。

そう思い立ったのが三月一日の昼休みでした。そこ、遅いとか言わないで。

 

「ひな祭り、意味……っと」

 

「あら、昼休みに何してるんですか?」

 

「ん、クアットロか。明後日ひな祭りでしょ?それでヴィヴィオに何かしてあげようと思うんだけど、そもそもひな祭りってどういう意味だったかなーって思ってね。今調べてるとこ。お、あったあった」

 

特集サイトを見つけたので、開く。

何々?女の子の健やかな成長や幸せを願う日?へえー、そういう意味だったのか。

 

「ふうん、女の子、ですか……私も入るんでしょうね?」

 

「え?クアットロが?ないでしょ、その外見で」

 

「これでもまだ14歳ですが?」

 

……そういえばクアットロってサイボーグだった。

見た目と年齢が一致してないのを忘れてた。振る舞い方とか大人のそれだからうっかりしてたな。

 

「と、いうわけで。ヴィヴィオちゃんと一緒にこのクアットロちゃんの成長や幸せも願ってくれますよね?」

 

「絶対にノゥ。なぜ人をからかう同僚を祝わねばならないのか」

 

「ええー。ケチ」

 

その後もうだうだ言ってくる同僚をかわしつつ、ひな祭りについて調べる。

ふむ。とりあえず雛人形とちらし寿司を用意しておけばいいみたいだ。

 

「……ほう」

 

「うわ、ドクター!?脅かさないでくださいよ」

 

「おや、すまないね。しかし、面白そうなことを調べているじゃないか。ひな祭りか。私

も娘たちに何か考えておくとしよう」

 

「……ほどほどにしてくださいよ?でないとウーノさんが「またドクターは突拍子もないことを……」って言い出して愚痴り出すんですから」

 

「……善処することを検討しよう」

 

ダメだこの人善処する気がない!

まあ、僕には止められそうにもない。ナンバーズは十中八九被害に遭うのは確定。

僕とヴィヴィオが被害に遭わないことを願っておこう。

 

 

「さすがにちらし寿司は売ってないわね」

 

「ですよねー。翠屋は喫茶店ですし」

 

なにはともあれ、とりあえず仕事帰りに翠屋で桃子さんに相談する。

ヴィヴィオ関連の質問はやっぱり子育て経験のある人に聞くに限る。

 

「でも、ひな人形なら多分家にあったと思うわ。こっちの仕事が一段落したら確認して連絡を入れるわね」

 

「助かります。ひな人形って結構いい値段しますからね。思いきって買うにはちょっとねぇ?最悪、お内裏様とお雛様だけでも用意しようかなー、とは思っていますけど」

 

「親王飾りね。うちにあったのは確か……七段飾り?」

 

「うわ、大きいですね。仮にあったとしても、運ぶのが大変そうだ」

 

「かつ、サプライズにするとなるとこっそり運ばないといけないわね。美由希を貸しましょうか?」

 

「うーん……あ、そうだ。大丈夫です。運搬の人手はあります」

 

そう。あの人たちがいる。

 

 

「と、いうわけでナンバーズが一部出動、と……一言言っていいか?」

 

「なんですかチンクさん」

 

「お前最近ドクターに染まってきているだろう。そんなことのために私たちを呼ぶとはな」

 

『あるいは私ですね!親は子に似る、マスターはデバイスに似るのです!』

 

「地球の良心も消えるときがきたか」

 

チンクさん、それは過大評価です。

翌日。仕事終わりのナンバーズを誘って高町家を訪れていた。

雛人形は結論からいうとあった。七段飾りの豪華なもので、当然ながら一人では運べないし、車も必要になる。そこで頼ったのはナンバーズ。

ドクターを「雛人形の豪華なやつがあるんだけど見たくない?」、とけしかけて何人か借りることができた。

その代償として明日僕の家にナンバーズ+ドクターがやってきてちらし寿司とかを食べることになったけど。

まあ、材料費はあっち持ちだし、こっちの負担にはならないからいいか。

 

「まあ、別にいいんだがな。明日の苦行に比べれば百倍マシだ……」

 

「ん?苦行?」

 

「気にするな。お前は気にするな……明日、絶対に私を見て笑うなよ?」

 

「??」

 

……どういう意味だろうか。

 

『つまり押すなよ、押すなよ、ですね。お姉さんわかっちゃいました。と、いうわけで明日ヴィヴィオちゃんを連れてチンクちゃんを笑い飛ばしてあげましょう』

 

「ナンバー、あなたを天に召したいのですがよろしいでしょうか」

 

……何があるんだろうか。

 

 

そして、当日。

 

「わぁー!すごい、すごいよパパ!全部綺麗だね!」

 

朝起きたヴィヴィオを出迎えたのは、ヴィヴィオが寝てる隙に、僕が頑張って組み上げた七段飾りだった。

こうして喜ぶヴィヴィオを見ていると報われる気がする。

さて、僕も準備しないとね。今日は半日出勤だ。終わったら翠屋によって雛祭りケーキを引き取らないと。

……そういえば、翠屋を訪れる度に、普通にケーキを買う流れになってるような。

恐るべし桃子さん。

 

『あ、マスター。ドクターからメールです。ヴィヴィオを連れて会社に来るといい、だそうです』

 

「え、ヴィヴィオも?なんだろ、何か検査かな?」

 

「……もしかして前にこっそりドクターに仕掛けたイタズラがバレちゃった?」

 

ヴィヴィオよ、何をやっているんだ。後で謝らせなければ。

 

で、会社を訪れると、その大きな玄関ホールには巨大な物体があった。

 

「きょ、巨大雛人形!?」

 

そう。巨大な雛人形。人形一体一体が人間サイズの巨大な七段飾りだった。

社員もみんな驚いてるし。スマホで写真撮ってる人も多いな。

写真とってる人には一般人もいるみたいだし。

 

「ドクター……また突拍子もないことを始めたんだね……」

 

『ですが、感想は?』

 

「すごい!おっきい雛人形も綺麗だね!」

 

ヴィヴィオが喜んでいるのなら何より。

それにしても、この雛人形どこかで見覚えがあるというか。どうみてもナンバーズだよね?

お内裏様はドクターっぽいけど。

 

「ふむ、好評なようで何よりだ」

 

「あ、噂をすればドクター。どうしたんですかこれ?」

 

「ひな祭りの時には雛人形を飾ると聞いてね。どうせなら等身大、つまり人間雛人形をやろうと考えたんだ」

 

「え、もしかして一番上のドクター以外はまさかの本人!?」

 

道理でチンクさんが嫌がる訳だ!何考えてるんだドクター!?

 

「いいや、あれは全部リアルに再現した人形だ。人間でやろうとしたら娘たちほぼ全員に拒否された」

 

「当然ですよそれ!むしろ最初に気づくべき!」

 

「気づかないのが無限の欲望なのさ。まあ、それはともかく。断られてへこんでいるのを見かねて人形ならOKと言われたので、忠実に再現した等身大人形を作ってみた」

 

「どうしてそうなるんだろうか」

 

「完成後娘たちにはしばかれた」

 

「ですよねぇ……」

 

ドクターの思考はわからない……

 

「ちなみに、あの人形達は全ての関節が稼働し、外部操作で表情も変化させることが可能だ。また、自動で動かすことができ、一般的な暴徒程度なら取り押さえることもできる」

 

「無駄な機能じゃないですかそれ!?」

 

「既に一部の層に顔の変更可能なモデルとして四億九千八百万で売れた」

 

「……もう何も言えないです。ここ、笑うとこですかね?」

 

「はは、照れるね」

 

全く誉めてないですよ、ドクター。

その後、普通に仕事をして、帰宅。ナンバーズを含めたみんなで雛人形を眺めつつ、僕と料理のできるナンバーズが作ったちらし寿司を食べましたとさ。

 

 

あ、そうそう。勘のいい人ならお気づきかもしれませんが。

七段飾りの雛人形の数は十四体なんです。

そう。ナンバーズの数は十二人。ドクターを加えても十三人。一人足りないのだ。

では、その一人は誰なのかというと。

 

「あ、パパー。四段目の左側の人形って美由希さんじゃない?」

 

「はは、そんなことないと思うよ?多分人違いだよ。クアットロさんじゃないかな?」

 

『いえ、私も解析してみましたが、あれ美由希さんですね』

 

「……なぜ?」

 

後日、本人に理由を聞いてみたらナンバーズと一緒に雛人形を運んでいる裏で、ドクターがとりあえず目についた綺麗な女性だったからという理由でスカウトしていたらしい。

で、本人は冗談めかして「自分に勝ったらいいですよ」、なんて言ったところ。

ナンバーズに襲いかかられ、敗北したとのこと。

「いくらなんでも魔法+多人数じゃ勝てない」とは本人の弁。

……今度何かプレゼントしようかな?

 




書かなきゃいけないことを思い出したのが昨日の深夜なのは内緒。
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