海鳴市での、なつやすみ   作:あおい安室

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お待たせしました。
今回、あとがきを書いていたらちょっとしたおまけができちゃいました。
長くなったので活動報告にして投稿します。
どうやってこの作品&ボクが生まれたのかという話です。興味のある方は読んでくれると幸いです。


海鳴市での、はるやすみ:トーマくん

こんばんは、ボクだよ。飲み会終わって高町さんを家に届けて自宅に帰る……つもりが。

 

「気が付くと、この世界にいた、と……」

 

「そう。そっちも似たような感じなのかな?」

 

「はい。俺も気が付くとこの世界にいました。転移魔法とかの感覚はなかったんですが……」

 

気が付くと、密林地帯にいた。そして、そこで出会ったのはトーマ・アヴェニールくん。

15歳の少年で、管理局の関係者らしい。

僕と似たような形で転移されて、気が付くとここにいたんだとか。

 

「えっと……大丈夫ですか?」

 

「う、うん……ちょっと飲みすぎで頭痛いだけだから……」

 

そして、彼のデバイス……厳密には違うらしいんだけど……のリリィ・シュトロゼックさん。

いわゆるユニゾンデバイスらしい。現在はお酒のせいでダウンしている高町さんを介抱している。

それと、どうも二人とも高町さんと知り合いらしい。が。

 

「それにしても信じがたいんですが、本当に二人とも過去の人なんですね」

 

「それを言ったら僕だって正直信じがたいよ。君たちは未来から来たんだって?しかも6年後。想像もできやしない」

 

高町さんとは未来で会ったらしいのだ。しかも、上司と部下という関係らしい。

また、トーマくんがいた時代は話を聞く限り、少なくとも僕のいた時代から6年後らしい。

僕が背負っていた高町さんを見て驚いてたけど、その理由が容姿の違いらしい。さすがに6年も経てば姿も変わるよなぁ。

 

「というか、僕が言うのもなんだけど、そんなにあっさりと信じてもいいの?僕も高町さんも偽物だったりするかもよ?あるいは、これはトーマくんの夢だったりするかもね」

 

「え?まぁそう言われるとそうなんですが、この状況だと頼れるものもあまりないですし……それに久保田さんには会ったことがないですし、高町さんから聞いたこともないです」

 

「うわぁ、それ僕すっごく怪しくない?」

 

「でもそういうことを自分から聞いてきたりしますし、久保田さんは普通に怪しくはないと思ってますよ。勘です。それに高町さんもいますしね」

 

そういってくれるとありがたい。それにしても、ここは密林。どこなのかさっぱりだ。

……ん、待てよ?

 

「ちょっと失礼。ホリデー、この世界がどこかわかる?」

 

『しばらくお待ちください』

 

いつもとは違う、真っ黒な腕時計。その名はホリデー。ドクターから借りた簡単な端末だ。

身分証明としての役割以外にも、通信機能や地図の表示機能など、様々な機能がある。ただしデバイスとしての機能はほぼ無し。魔法は使えなかったりとかね。

ナンバーがメンテナンス中だから、と渡されたのだ。ナンバーは『浮気したらあることないこと言いふらしますよマスター』とか言ってたけど、ないと困るんだから仕方ない。

 

『かなり遠方にある管理局の衛星にアクセス。この世界は第29管理外世界です』

 

「ミッドチルダですらなかった!というかどこ!?」

 

「あー、俺ここに来たことありますよ。昔旅をしてた頃に来ました。この世界はそれなりに古代文明の遺跡があったりするから来たことがあります」

 

「え、本当かトーマくん」

 

「はい。ですが、さすがに密林地帯には足を踏み入れたことはないんですよね……」

 

なんてこったい。

 

「そういえば一つ気になることがあるんだけど。今何年なんだろ?」

 

「はい?どういうことですか?」

 

「いや、僕とトーマくんは生きてる時代が違うでしょ?ということはどっちか、あるいは両方がタイムスリップあことになるんじゃないかなって。だとしたら今は何年なんだろう、と。」

 

「あ、確かに。久保田さんに会うまでその考えには至りませんでした」

 

『先ほどアクセスした衛星によれば現在は新暦66年です』

 

なるほど。僕からしてみれば十年前か。

 

「そ、そんなに昔だったんですか……それにしても高性能ですね、そのデバイス」

 

「これ?生憎とデバイスじゃないよ。稼働するのに魔力は使ってるけど魔法は使えないし。ま、メイドインドクターだし、これくらいはね」

 

「ドクター?」

 

「あ、わからないか。ジェイル・スカリエッティっていうんだけど知ってる?」

 

「ジェイル・スカリエッティ……えええぇぇ!?」

 

なんでそんなに驚くか。リリィさんもおびえてるぞ。

 

「だ、だってジェイル・スカリエッティといえばJS事件の主犯格ですよ!?俺の時代より前に高町さんたちが逮捕した犯罪者ですよ!?」

 

「はい?逮捕?何の話それ?今日も元気に地球で高笑いしながら新製品作ってるよ?」

 

「新製品!?しかも高町さんたちの出身世界の地球で!?」

 

……なんだ、この微妙に噛み合わない感じ。何か。何かが盛大にずれている気がする。

 

『Mr.ボク。忙しいところ申し訳ありませんが、この時代のドクターより通信が入りました。つなげましょうか?』

 

ホリデーがそう言ったので、いったんトーマくんとの会話を切り上げる。

トーマくんも納得いってないみたいだけど、ひとまず後でその辺は話し合おう。

 

『やあ、久しぶりだね、未来のボクくん』

 

通信をつなぎ、空中にディスプレイを投影する。今も昔もさほど変わらないドクターの顔が映し出される。

 

「どうも、久しぶりです。過去のドクター……でいいんですよね?」

 

『ああ。元気そうで何よりだ。ところで、そこの青年は誰だい?知り合いかな?』

 

「彼はトーマ・アヴェニールくんです。僕のいた時代より6年先の未来からやってきたそうです」

 

『ほう、君よりも未来の時代か。面白い。私はジェイル・スカリエッティ。ドクターとも呼ばれている。よろしく頼むよ、トーマくん』

 

「は、はい……よろしくお願いします」

 

相変わらず緊張しているトーマくん。いったい何があったんだか。

 

「それはそうと聞きたいことがあるんです。またこうして過去にやってきたわけなんですが、どうして過去に来たのかわからないんです。今回は心当たりが何もなくて。道路で信号待ちしてたくらいですし」

 

『それについてだが、こちらに来て話さないか?今回のタイムスリップには問題がかなり多くてね。君の時代のヴィヴィオくんもこの時代にいたりするのでね』

 

「え、ヴィヴィオも?なんで地球でお留守番させてたヴィヴィオまでいるんですか……」

 

『私に聞かれても困るのだが。ただ、一つ言っておくなら私は何もしていない』

 

そういわれてもあまり信用できないんですが、ドクター。

 

『それどころか、今回の事件の犯人もすでに見つけているから安心したまえ』

 

「あんまり安心できない……どうせドクターのことだからその犯人のデバイスとか分解して高笑いしてるでしょ……」

 

『おや、よくわかったね。デバイスではないが犯人がロボットに近かったので犯人ごと分解したところだ』

 

何やってるんですかドクターっ!やっぱり過去でも相変わらずですかっ!!

 

『ま、後の話はラボでゆっくり聞くとしよう。迎えを出す、しばらく待っていたまえ』

 

そこで通信が切れた。迎えが来るという話だから、しばらく待てばいいか。

 

「……あの、一つ聞きたいんですが。久保田さん、本当に過去の人なんですか?あのジェイル・スカリエッティとあそこまで親しく話してたりとか、信じられないことが多すぎます」

 

「それを言ったらトーマくんが本当に未来の人なのか怪しいんだけど。ドクターが逮捕されたっていう話を聞いたことがないし」

 

僕とトーマくん、二人とも考えこむ。どういうことなんだろうか、これは。

 

「まあ、一つだけ言えることがあるよ」

 

「なんですか?」

 

「絶対にリリィさんから目を離さないこと。魔法に詳しくない僕でも、なんとなくトーマくんとリリィさんが特殊なのが話を聞いて分かったから。ドクターのことだ、未来に帰る代金として分解させてくれ、あるいは解析させてくれとか言うだろうし」

 

「え、ええええぇ!?と、トーマ、絶対にそうならないようにしてよ!?」

 

「と、当然だって!さすがにあのジェイル・スカリエッティにリリィを渡したりなんかしないから!」

 

……本当、トーマくんの世界のドクターは何やらかしたんだろう。二人のおびえっぷりとかがすごいんですが。

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