「バカッ!!」
あたしはカナイへ糸を伸ばす。
戦ってたから切れるやつだけど知るもんか。加減すればきっと何とかなる。
「…チョウ?」
怪我はない。…けどっ、
「バカッ!!アンタ何死のうとしてるの!?」
「チョウ…」
「一人で突っ込んで、攻めを切らしたらすぐに諦めて!!アンタ何がしたいの!?アルの仇討ちするんじゃなかったの!?」
「アルはもういないんだよ!!僕の生きる意味はあの時から無かったんだ!!アアルがいないと僕の戦い方は通用しない。遠距離から援護が無いと…」
「それがバカだっつってんの!!アンタ遠距離使えるようにしたじゃない!?エナジーバーストだけで全部やろうとすんな!!」
「それでも…それでも長年続けてきたものはそう簡単に変えられないだろ!!」
「だからっ…」
あたしは言ってやる。このバカ野郎に、言ってやるんだから!
「だからあたし達がいるんでしょうが!!」
カナイがキョトンとした。なぜだ。
「ドンは拡散弾に加えてウェーブまで出せるようになった!!あたしはホーミング使えるようになった!!望に至っては釣竿ブンブン振り回すだけだったのにホーミングと衝撃波にした!!あの脳筋がだ!!長年のものを捨てて来てんだ!!お前だけ出来ないとか言うな!!」
言ってやった。カナイに。ウチで唯一公にドンに文句を言えるカナイに。
「それでも」
カナイが口を開く。
「それでも僕は変えられない。」
そう言って立ち上がる。
ダメだ。
あたしじゃカナイを止められない。
「でもっ…」
「後ろ、任せたよ。」
そう言ってカナイは
火がついた
「は?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
僕は驚いた。しこたま驚いたとも。
もう一撃アクアドラゴンにトライブパルスを放ったら、カナイさんに火がついた。
「アル!!カナイさんはドラゴン族です!!」
マジで!?
「うん、記憶の書で見る限りそうっぽいね。」
カルマが言う。
遅せぇよお前らぁぁぁぁ…
うわ、カナイさんこっち見てるよ…ガン見だよ!?
「アル?何?」
話しかけられたぁぁぁぁ!!
の、ノリだ。ここはノリで切り抜けるしか無い…
「カナイさん!!あなた何やってるんですか!?」
「何って?」
「敵陣に1人で突っ込んで、自分の身が心配じゃないんですか!?」
「僕にはもう心配する人もしてくれる人もいないよ。」
「ドンさんが!!」
「へ?」
「望さんが、チョウさんが、リラが!!みんなが心配してくれる!!」
カナイさんはキョトンとしている。なぜだ。
「一番冷静だったあなたが、簡単に全てを諦めないでください!!」
はっ、と。カナイさんが目を見開く。どうしたんだろう?
「…アル…………」
「へ?」
突然名前を呼ばれた。よく分からん。
「ううん、ごめんね、アル。」
カナイさんが言った。そして、
「じゃあ背中は任せたよ。アクアドラゴンも。ドン!」
「あんだよ!?」
「行くよ。」
ドンさんがこぼれんばかりに目を見開いて、次の瞬間、笑った。
なら、
「カルマ!!蓬莱!!リラ!!」
「なんだい?」「何?」「何ですか?」
「行くよ。」
『おう!!』
「それと…」
『それと?』
「なんとかごまかせた…」
『オイ…』
「簡単に全てを諦めないでください!!」
『アンタが諦めてどうすんの!!』
声がした、気がした。
「…アル………」
かつての仲間の、友の声がした気がして、僕は呟いた。
「へ?」
少年はキョトンとしている。無理もない。向こうからしたらわけがわからないだろう。
「ううん、ごめんね、アル。」
不思議な少年だ。彼はたまにドキッとさせるほどアアルに似ている。
彼なら頼めるかな、僕の後ろを。リラや望や、みんなを。
なら、
「じゃあ背中は任せたよ。アクアドラゴンも。」
彼は驚きと不思議の入り混じった様な顔でこっちを見ていた。苦笑まじりにもう1人。
「ドン!!」
「あんだよ!?」
酷い返しだな…変わんないと思ってたドンすら変わってたんだ。僕が変わらないでどうする。
「行くよ。」
ドンの顔はあえて見ない。失望されてるかもしれないから。そしてそれ以上に、信頼しているから。
「おう!!」
応えがきた。ならもう心配することは無い。ドンともう1度だ。2人なら『アレ』も使える。
海を穢す不届き者に鉄槌を下さんがために。