ひと夏の遭遇   作:乱数調整

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奥の手━搦め手

「ほう、またお前か。さっきは運が良かったな。ただ…女子に守られるとは、何とも情けない奴よ。」

 

フッ、と、嘆息混じりに言う。ムカつく。

 

「あれほどの差を見せられてまだやるのか?そうか、お前は差に魅せられたのだな?ハハハ、よいよい、見せてくれようぞ!」

 

そしてうるさい。

 

「ドン、いけるな?」

 

「おう。」

 

そこで僕はバチバチと右手の上で放電を始める。

 

「ふむ、実に不愉快だ。俺に効かんことは分かっているのに繰り返すか。行き過ぎた無知は教える楽しみ以前に不快だと知れ。」

 

「黙れ。」

 

その一言とともに放電、ただし、一直線に。細く細く練り上げた小規模のイカヅチを叩き込む。奴の胸目掛けて。

 

「そんなものか。細ければ貫けるとでも思っていたか?」

 

ヒョイ、と。奴は少しだけを動いて避ける。だが、

 

「それも想定内なんだよ!!」

 

叫ぶが早いかドンがそのイカヅチの端を掴んだ。

 

【プラズマ】

僕の掴んだ遠距離用の特技。

アアルの追尾弾をまねて作った、僕の奥の手━否、搦め手。

それは今

 

「どりゃァァァァァ!!」

 

ドンの手でゆっくりと奴の体を切るように押し込まれている。

 

「貴様ァ…!!」

 

「動くなよ?下手に動けばもっと被害が大きくなる可能性があるだろ?」

 

そうなのだ。奴には体のどこかに核がある。それを破壊しないがために新しい体が生えてくる寸法なのだ。それは奴にも分かっているようで、全く動かない。

そして、

 

「ゲボッ…!!」

 

奴の体は半分に焼ききれた。

 

「しかし再生してしまえばこっちのもの…!」

 

「お前は再生できないよ。」

 

僕は言い放つ。突きつけなければならない事実を。

 

「なぜだ!?なぜ再生が出来ぬ!?」

 

「簡単な話だよ。僕のプラズマは温度が高いんだ。」

 

「…それがどうした!?」

 

「切り口を焼いて固定すれば、再生出来ないだろ?」

 

そうなのだ。ゆっくりとプラズマを押し込んだのは何もドンが悪趣味な訳ではない。

切り口を焼いて固定するためにゆっくりと押し込んだのだ。

 

「まぁ、悪趣味なだけだったら軽蔑するけどね。」

 

「さらっとひでぇなおい!?」

 

ドンが叫んだ。冗談だよ、冗談。

 

「お前達はどこまでも私の邪魔をする!!どうしてだ!?私はただジュリに会いたいだけなのに、なぜ貴様らは邪魔をする!?」

 

それは渇望。渇望の雄叫びだった。

 

なら僕は、それに答えるだけだ。

 

「お前は蓬莱に攻撃した。人と共存できない、ただの化け物に成り下がった奴は始末する。」

 

それが、僕から彼女への精一杯の贖罪で、ぼくが神様と交わした誓約だから。

だから、

 

「だから僕はお前を受け入れない。相容れないし、理解もしない。せめて終焉に見る景色が温かいものでありますように。」

 

「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

奴はレーザーを乱射した。とっさの事で避けられなかった。アクアドラゴンにもそれは当たる。

 

そして、

 

「え?」

 

僕は絶句した。

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