神化━侵禍
【チェインメテオ】
【コンボ数 284コンボ】
突然私の前に降り立った絶望。
いや、
これは違うか。
死と絶望は初めから私の隣に居たんだ。
「気絶させられればメテオは止められる!!気絶持ちは居ねぇか!?」
「そんな者がウチのクルーにおる訳がなかろう!!」
「わくわくの実はどうした!?」
「付けられるのはワシとドンだけでそれもめんどいからいいと言っていたであろう!!」
まさに阿鼻叫喚。
逃れられない死の宣告。
「お前達は俺の邪魔をした。俺はただジュリに会いたいだけなのに、なぜ邪魔をした!?」
デーモンの絶叫。慟哭。痛哭。
私には痛いほどわかる。私もまた会いたい。
お父さんに。
お母さんに。
でも、
「僕の『記憶の書』でも予測しきれなかった…あれは何なんだ?」
「とりあえず今はいい!!僕らのミスだ。僕らで削りきるよ!」
今は彼らがいる。同じ秘密を共有する人たちが。
こんな時に不謹慎かな?
でも、私は嬉しかったんだ。
なら、
私もプラズマで支援するだけだ。
私のプラズマはカナイさんのものより威力が高い。
「アル!これを…」
「させるかァ!!」
レーザーを放たれる。辛うじてかわしたがプラズマは途絶えた。
「もういい。」
デーモンが話し出す。
「もういい。ジュリに会えないなら、こんな世界」
滅ぼす。
と、そして
「キシャァァァァァァァァァァァ!!」
デーモンが撃った順番にアクアドラゴンにメテオが落ち始めた。
「あと二分だ。後二分でお前達は死ぬ。」
ダメだ、そんなこと、
「絶対にダメだ!!」
私は叫んだ。
「絶対にダメだ!!」
リラが叫んだ。
そして、光る。
透明のヴェールを纏ったかのように見えたが、次の瞬間にはそれを僕は忘れていた。
星が、落ちてきた。
本当に、比喩抜きで。
それはそれは大きな、【メテオ】だった。
そしてそれは
「な!?なんだこれはァ!!」
デーモン目掛けて落ちていった。
そしてデーモンはそれを、
「こんなもの、こんなものォォォォォォォォ!!」
「受け止めた!?」
そう、受け止めた。が、今にも潰れそうだ。
「ま…けっ……ない!!」
リラが叫ぶ。
そして、押し切る。
「こんなことが!?こんな事がァァァ!!」
土煙、水飛沫と共にデーモンは見えなくなった。
「何が…あった…?」
「…僕には分からない。」
僕達はデーモンを押し切ったことよりも、あることに気が向いていた。
リラだ。
リラが叫んで、それに呼応するようにメテオが降ってきた。
ドンさん達の話を聞く限り、そんなことは出来そうもなかったのに。
「…獣神化……」
ドンさんがポツリと呟いた。
「獣神化?」
「あぁ、お前ら、“進化”と“神化”については分かるな?」
うん、それは分かる。
進化は己の限界を超えることを渇望し、努力したものが行き着く境地。
神化は自らを森羅万象と同調させて、擬似的に神と相成る極地。
では、“獣神化”とは?
「獣神化は運命を変えることを渇望し、森羅万象を従えた姿だ。力を得る反面、力に振り回され獣と成り果てる可能性もある。それを…それをリラは理性を保ったままやった。やりやがったんだよ!お前らと会って、あの子は変わったんだ!!ふさぎ込んでいたあの少女がだ!!」
信じられるかよお前ら!!と、ドンさんはハイテンションに船員に叫ぶ。
船員は皆一様に喜んでいた。
当のリラは、
「さすがに…少し疲れました…」
と、微笑みながらに言っている。
「リラちゃん可愛い!!」
蓬莱がリラに抱きついた。
蓬莱のこのやり取りも随分と久しぶりに見た気がする。
「よくも…」
ボコリ、と音がした。
腕が、頭が、足が、腹が、全身が、総毛立つ。
「よくもやってくれたなぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
デーモンは、まだ生きていた。