ロミオとジュリエットは光り輝いて、消えた。
夜に向かって群青に染まりゆく空に、消えていった。
「愛する人がいるのなら、どこだろうと構わない…ですか。私も、そうだといいな。」
「ん?リラ、なんか言った?」
「ふぇっ!?い、いいえ、なんでもありません!」
リラが何か言った気がしたんだけど…まぁいいか。
辺りは夕闇に染まりつつあった。
これから、夜が訪れる。
その中で話し出すものは、誰もいなかった。
「じゃあ、みんなの様子を見に行ってくる。」
「今から、ですか?」
初めに話し出したのはカナイさんだった。
家族である海の生き物達の様子を見に行くのだろう。
それに対してリラが反応した。明日でもいいのではないか、と言外に告げていた。
「ああ、今からだよ。みんながどうしてるか気になるし、海がかなり荒れたからね。肥やしは散らばしておいたけど、生活区域が変わってても困るし。」
「じゃあしばらくの間お別れですね。」
僕は言う。
『は?』
ドンさん、望さん、チョウさんの声が重なった。…いや、【は?】って酷くね?
「いや、明日には戻ってくるよ。…じゃ、久しぶりに呼ぶか。」
「誰を呼ぶんですか?」
「鯨。」
鯨?と僕含む四人組が首をかしげた。
「そう、鯨」
ドパァァァァン!と水面から出てきたのは…
あー、うん、クジラだわこれ…それ以外になんて言ったらいいか分からないくらいのクジラだった。
「元気にしてたか?鯨?」
ってか「鯨」が名前かよ…カナイさん…
「カナイは海を家族として見ておる。…見てはおるが、名前はつけんのじゃ…一応このクジラがカナイの兄弟みたいなものなのじゃが…名前はないのじゃ。」
なんだよそれ…
「じゃあ、みんなの様子を見てくるからその間よろしく。」
「おぉ、行ってこい行ってこい。…へっへっへ、カナイがいなくなるってこたぁなんでもやりたい放題じゃねぇか…!」
「行ってくるが良いぞカナイ。じっくり隅から隅まで見てくるのじゃぞ?時間はかかっても良いからな!」
酷いな…仲間じゃないのかよ…仲良さげだったじゃんか…
「カナイ、こいつらはあたしとアルで監視しとくから安心して行ってきてね〜。」
なんかしれっと巻き込まれてる!?なんでさ!?
「いいじゃないですか、楽しそうですし。」
微笑みながらリラが
「任せていただいても構いませんよ?」
優等生セリフで蓬莱が
「ま、僕らに出来ることならやりますよ。」
若干笑ってない目をしながらカルマがそれぞれ言った。
「ん、じゃ、任せた。」
クオォォォォォォォン!!
クジラが一声鳴いて海へと漕ぎだした。
…ちなみにスピードが速すぎて速攻で見えなくなった。
「ひゃっほう!!カナイがいないなんて何年ぶりだ?遊ぶぞ!」
「カナイがいない…あぁ、なんと甘美な響きであろう!わしは自由じゃ〜!!」
あはは、うふふ、と言いながらドンさんと望さんが走り出…
「甘い。」
すことが出来ずにチョウさんの糸で捕縛されていた。
「やめろ〜!俺の自由を奪うな〜!!過剰労働反対!!」
「放すのじゃ!!わしはまだ何もしておらんのじゃ!!四不象!!スープー!!」
「ゼウ爺の勅命なんだからしょうがないでしょうが…望、四不象は女媧との戦い後に神界にいるぶきっちゃんに渡したでしょ?ってか会いに行ってもないし…」
「わしは【最初の人】じゃぞ!?ええい放せ!
「拘束してるでしょうが…」
「
「あたしの糸は宝貝じゃないの。ったく…行くよ」
「「いーやーだー(じゃー)!!」」
ズルズルと引きずられながらどこかに連れていかれるドンさんと望さん。
取り残されて呆然とする僕ら。誰も話さず、何も言わず、ただただ静かだった。
けれど、不思議と悪い気はしなかった。何故かは分からないけど、とても気分が良かった。
「今夜、」
静寂を切り裂いて声を発したのはリラ。そして彼女は言い切った。
「今夜、星を見に行きましょう!」