とりあえず釣りをさせてもらおう。
「おっちゃ〜ん!」
「おう!なんだボウズ共!」
ばん!と肩を叩かれる。…いや、後ろから出てきて欲しくないんだけど…
「おじさん、後ろから出てくるのはやめてください。」
カルマが言った。コイツ、僕と考えてること一緒か?
「おうよ、すまねぇな、茶髪の兄ちゃん。…名前は?」
「カルマです。こっちの男の子がアル、でこの女の子が蓬莱。」
「ほう…」
なんか目つきが鋭くないか?まさかバレた?いやいや、ないだろう。
「どうかしましたか?」
「いやいや、茶髪がカルマでチョロ毛ヘッドフォンがアル、ロン毛が蓬莱、だな?」
「チョロ毛言うな」
「ロン毛言うな」
息ぴったりだね、でもなんだろうね、全然嬉しくないね。
「ガハハハハ、すまねぇすまねぇ。、で、どうしたんだ?」
おっと、本題を忘れてた。
「釣りをさせて頂けると友人から聞いたのですが、可能でしょうか?」
カルマ、お前優等生かよ…
「おう!出来るぞ!おい、望!望〜!!いるか!?出てこーい!!」
「なんじゃ船長…そんなでかい声を出さんでも聞こえとるわい…」
…なんか面倒くさいんだけどオーラ全開の女の人が出てきた。
「おう、望。コイツらが釣りがしたいんだとよ。」
「へぇ?釣りがのぅ。面白いことを言いよるわ。お前達が、か。」
…なんか刺があるんだが…
「そんなに僕達は若いですか?」
カルマの優等生発言にはさすがにもう慣れてきたな。
「いや?そういうことを言っているのではないのだがのぅ。」
けけけ、と望さんは笑った。いや、すげぇ気になるんですが…
「気にすんな気にすんな。望はよく訳の分からないことを言ってるからな。おい望!客さん困らせてんじゃねぇぞ〜!」
「けけけ、怒られたわい。おお怖い怖い。」
笑いながら望さんは消えていった。いや、幽霊的な意味ではなくね?もちろん釣竿を持ってきたんだけどね?
「さ、皆の者、これでバンバン釣ってくれぃ。」
…何故か針が真っ直ぐのやつばかり…
「あの…」
「ん?なんじゃ?」
「針が曲がってないんですけど…?」
「ああ、そうじゃな?」
え?自覚ありですか?
「わしは魚は食えんからの。考え事をするにはそれで十分じゃ。」
いやいや、けけけ、じゃないよ…
「望!こいつらは考え事じゃなくて釣りがしたいんだよ!!」
「…なんじゃと?」
「お前は…コイツらが釣ってくれりゃあ俺達は何もせずに金を稼げるじゃねぇか!?」
あ、そういうことか…あくまでも利用する訳だ…
大人って怖い…
「しかしドンよ。」
「なんだ?」
「こんな速度で進んでおったら釣りが出来んじゃろう?」
『あ、』
全員の声がハモった。
「気がついて無かったんかい…」
ここに来て初めて望さんがため息をついた。
アルさんが入室しました
カルマさんが入室しました
蓬さんが入室しました
蓬「リラちゃん…」
アル「リラさ…」
リラさんが入室しました
リラ「はい?どうかしましたか?」
アル「船長さんっていつもあんな感じなのか?」
リラ「あんな感じ、とは?」
蓬「釣りが出来なかったのよ」
リラ「え!?」
カルマ「説明するとね」
カルマ「船のスピードからすると釣りは出来なかったんだけど」
カルマ「船長さんはそれに気がついてなかったみたいなんだよ」
リラ「船長さん?」
リラ「ドンさんですか?」
アル「そうそう」
リラ「あの人はちょっと抜けてますから…」
リラ「私が釣りをさせてもらったのは船がこっちに来てからなのを忘れてました…」
僕らはそこでハモった。
「ダメだこりゃ…」