と、いうわけでスイカ割りだ。
「この布で目隠しをして周りの情報を頼りにスイカを割るんですね?」
「そうだよ。」
スイカ割りはそういうもんだ、と言いかけたけどやめた。止めれた。
「では!行きますね!」
リラが目隠しをしてその場でぐるぐると10回、蓬莱に回される。
「フラフラします…」
「じゃあスタートじゃ!!」
そして誰かがスタートの合図をした。よし、始まった。じゃあ誘導だ。今回嘘をつく役割はカルマに頼んだ。しっかりしてる人が誤誘導するのが1番楽しい。
「リラ!そのまま真っ直ぐ!」
僕は指示を出す。それを皮切りにみんなが誘導を始める。
「リラ、左方向に3°方向転換して60センチの歩幅で7歩半進んで。」
カルマ、指示が細すぎるだろ…リラがあたふたしてんぞ…
「リラちゃんかわいい!!」
蓬莱、いらんこと言うな。リラが真っ赤になって固まっただろうが。
「リラ!とりあえずまっすぐ行け!!」
やっと僕以外にまともな指示が出たか…ドンさんからだったのが残念だけど…
「は!?ドンさん!?」
「どうした?」
「いやいやいや、仕事は!?」
「サボった。」
悪びれず!!
「ってかいつの間に!?」
「いや、スタートの時からだよ。望がスタートコールしてたろ?」
アレ望さんだったのかよ!?
「ほら、お前らが驚いてる間に望がリラで遊んでるぞ?」
焦ってリラの方を向くと望さんがリラで遊んでいた。
「リラ!セクシーポーズじゃ!」
「リラ!もう少し前かがみで!!」
「ええのうええのう、ぐへへへ」
エロ親父かよ!?
「望、仕事。」
ぬっ、とカナイさんが望さんの後ろから出てきた。カナイさん…何者?
「嫌じゃ嫌じゃ!ワシはリラで遊ぶんじゃー!!」
「ただでさえ不穏な影がさしてるってのに遊ぶんじゃないの。」
「はっはっは。望、頑張れよー。カナイに捕まったら逃げられんぞー。その間に俺は逃げられるけどな!!」
「え?ドン、逃げられると思ってんの?」
「え?チョウ、ちょっと待って!それ、料理用の糸だよな?なぁ!?何する気だ?え?何する気だ!?」
「ドンを縛って連れていく。」
「死ぬって!!冗談抜きで死ぬって!!」
「死なないって。死んだらバカ治るじゃん!良かったね!!」
「ちよっ、まっ、まあぁぁぁぁ!!」
何やってんだろうなこの人たちは。
「何があったんですか?」
ごめんリラ、それは僕達にも分かんない。
ドンさん達がカナイさん達に拉致られたあと、ちゃんと(ここ重要)スイカ割りをして、今はそれを食べている。
一つ目のスイカは無くなっていた。
…ドンさん達が食べたのかもしれない。
シャクシャクと瑞々しいスイカを食べていると蓬莱が急に喋り出した。
「私ね、ここに来れて良かった。」
「え?」
唐突過ぎて驚いた。リラも同様に。
「え?って酷くない?」
蓬莱は笑っていた。
「私さ、高校でちょっと浮いてるっていうかあることを知られないようにクラスメイトと距離を置いてるの。」
僕と一緒だ。初日、船に乗る前に親近感を得たのはそのせいか…
「でね、今回のこともすっごく迷ったの。そのある事情がバレたらどうしようって。でもね、みんなといたらバレてもいいやって思えちゃった。みんななら、ありのままの私を受け入れてくれるんじゃないかってね。」
「分かります!!」
「え?」
「分かりますよ!その気持ち!私も最初は乗り気じゃ無かったですもん。私も、秘密がバレたらどうしようかって思ってて。けど、今は楽しいです!無理する必要なんてないですから、今は楽しみましょう!!」
「うん!」
なんだよ、青春の一ページかよって。僕も秘密を知られてもいいやって思えちゃったじゃないか。おかしいよね。僕は化物なのに。
「ねっ、泳ごっか!」
「はい!」
そう言って2人は浜辺に走っていった。
「僕らも」
行こうか、とカルマに言いかけた時に異変は起こった。
蓬莱が、飛んだ。
正確には、弾け飛んだ。
肉が、骨が、内蔵が、血が。
そして、浜辺に落ちた。
『蓬莱!!』
さっきまで笑顔で話していた少女は、冷たい、肉の塊になっていた。