ひと夏の遭遇   作:乱数調整

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第2章 大戦
決意


飛んで、撒き散らし、飛び散って。

蓬莱が倒れた。

 

「蓬莱!!」

 

僕は叫んでいた。

 

「目を開けてください!!蓬莱!」

 

「蓬莱!?予想外だよ、こんなの!!」

 

リラもカルマも叫んでいる。あのカルマが叫ぶなんて想像も出来なかった。

 

「誰か、死んだ?」

 

遠くからそんな声がした。

 

「誰が、死んだ?」

 

楽しそうに、否、愉しそうに嗤う声がした。

 

「なんだ、人か。ハズレだな。」

 

ハズレ?人の命を、僕みたいな化物でないものの命を、ハズレだって?

 

「なんだよ、お前。」

 

「ん?俺か?俺はモンタギュー家の次期当主…いや、もう人では無いのだから【デーモン】とでも名乗っておこうかな。」

 

とんちんかんにも聞こえる答えだったが、威圧感は本物だ。

僕が本気を出してもここでは分が悪い。

周りが水だし、おそらく相手の領域も水辺だろう。場所が悪い。

さらに、人である彼らの前で化物になるのか?

失望は免れないだろう。

 

考えろ。

 

考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ━

 

「お願い、戻ってきて!!」

 

僕が迷っているうちにリラが叫んだ。だが、ただ望みを叫んだだけではない。

 

彼女の姿が、変わった。肌は透明な、白いのではなくクラゲのような透明感を持ち、髪の毛は水色に変化した。

 

そして、光った。

 

彼女の手が、そして、蓬莱が。

そして、男が叫ぶ。嬉しそうに、失くしたものを見つけたように。

 

「おお!おぉぉ!!今まで散々探してきたが、まさかこんな所にいたとはな!キスキルリラ!!」

 

「…」

 

リラは気にするそぶりを見せない。

そして、

 

「…ぇ?」

 

蓬莱が目を開けた。

 

「リラ…ちゃん…?」

 

「良かった…成功しました…」

 

「リラ…それは?」

 

カルマが尋ねる。

 

「治癒の祈り、です。私の、化物の私の癒す力。」

 

リラは、泣きそうな顔で言った。

 

「友情ゴッコか?バケモノであるお前が、友情ゴッコをするのか!?実に!実に滑稽な事だ!!」

 

「うるせぇ。」

 

誰が言った?みんなの視線が僕に集まる。僕が、言ったのか?

 

「お前に何がわかる?罵られて、蔑まれて、避けられて生きてきたリラの気持ちが分かるのか?」

 

僕には分かる。だって僕もそうだった。リラもそうだろう。

 

「分からん。」

 

だが男は平然と答える。

 

「わかる必要も無い。分かるなら、そのままそいつと死ね。」

 

分かりあったまま、な。と、男は言った。そして海から何百、いや、何千ともとれる数の龍を出してきた。

 

「逃げてください皆さん!私は化物です。皆さんは巻き込まれたようなものです。私がいるからこんな事が、蓬莱を死なせるようなことがあったんです!」

 

「嫌だね。」

 

「嫌だ。」

 

「嫌よ。」

 

3人の声がハモった。

 

リラは驚いていた。

 

「それよりも、あの龍の種族は?」

 

「記憶の書によるとドラゴン族だね。アクアドラゴンとリヴァイアサンだ。」

 

「ちょっと分が悪いかもしれないわね。」

 

「何故ですかみなさん!?皆さんは人なんですよ!?死んじゃいますよ!!」

 

「いや、僕は人じゃない。」

 

そう言って僕は本来の姿に戻った。

 

「これが僕。焔で敵を殲滅するために造られた化物だ。」

 

そう言って僕は使う。今まで散々隠してきた焔を。

今回ばかりは、誰かを救える、焔を。

 

「トライブパルス」

 

一体のアクアドラゴンに火がついた。それは瞬く間に燃え広がる。水の中だろうが、離れていようが、お構い無しに。

 

「ほら、僕は化物だ。だから、化物と戦う。」

 

「私もよ。」

 

蓬莱が続く。

 

「秘密っていうのはこれだったんだけどね。あーあ、2人もそうか。心配して損しちゃった。」

 

「僕もだよ。」

 

カルマが言う。いつの間にか上半身には紫色の何かがくっついていた。

 

「そして彼らは僕の友達を傷つけた。」

 

そして締める。

 

「さぁ、報いを受ける時間だよ?」

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