魔法科高校の劣等生<The Legend of Amazons>   作:kakki-az

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お待たせしました!
今回は幕間みたいな感じです。
それではどうぞ!


第十六話《予兆》

辰巳と沢木との挨拶をした後、本部室の片づけが終わり千翼達は生徒会室に戻る事に―

 

一方、生徒会室では―

 

あずさからワークステーションの操作を教わっていた深雪が、ふと真由美が立ち上がるのを見かけた。

 

「会長、どちらへ?」

「ちょっと新人風紀委員の二人の様子を見にね。もしかしたら摩利が二人にあんな事やこんな事をしてるかもって思うと気になるじゃない」

 

それを聞いた深雪は絶望した顔になっていた。それを間近で見たあずさが深雪の横で涙を浮かべて怯えていた。

 

「...別にそういうことはしてませんよ」

「会長、妹に変な事を吹き込まないで下さい」

 

真由美の声が聞こえていたのか本部室に繋がる扉から千翼と達也が出てきた。深雪はパッと笑顔になった。

 

「君達、おねーさんに対する扱いが少しぞんざいじゃない?」

「そういえば気になったんですけど、会長は達也といつ知り合ったんですか?」

 

千翼の問い掛けを聞いた真由美は段々と邪な笑みを浮かべた。

 

「そうかぁ、そうなのかぁ.....ウフフフフ」

(あれ?もしかして俺...余計なこと言っちゃった?)

 

真由美は小悪魔という言葉がピッタリな笑顔を浮かべると―

 

「遠い過去に出会いを果たしていた私達!二人は運命の悪戯に引き裂かれる!しかし!また!!惹かれ合い、入学式のあの日に再び巡り合ったの!!」

 

真由美はそう言ってはいるが、千翼には完全に芝居がかった演技だと分かるようにやっているように見えていた。

 

「.....だったら面白かったんだけど入学式が初めてよ。間違いなく」

「はぁ~...だと思いました」

「そ、そうですよね!もちろん分かってましたよ!?お兄様の妹ですもの!」

 

間違いなく真にうけていたなと千翼は思ったが言わないことにした。

 

「ねっ、ねっ、もしかして運命感じちゃった?」

「...これが運命なら『Fate』じゃなくて『Doom(凶運)』ですねきっと」

「そっかぁ.....チッ...」

(え!?舌打ち!?)

「真由美、いい加減にしろ」

「あうっ」

 

そこへ摩利が現れ、真由美の制服の襟元を掴んだ。

 

真由美(コイツ)がこんな軽口を叩くのは君たちを気に入っているからだ。そうじゃないと猫被ってるからな」

「そうそう、ということで!新役員さん達明日からよろしくね!今日は解散!」

 

真由美に話を逸らされた気がしたが、取り敢えずそれぞれ帰宅するために生徒会室を退出する。だが真由美はまだやる事があると言い、一人生徒会室に残った。

 

千翼達が退出して暫く、真由美が一人待つ生徒会室の扉が開く。

 

「十文字くん」

「今回の新人はどうだ?七草」

 

入ってきたのは、第一高校の全クラブ活動の統括組織『部活連』の会頭《十文字 克人(じゅうもんじ かつと)》であった。

 

「ええ、面白い子がいるわ。それも二人」

「それで、お前の目標は達成できそうか?」

「そうね...あの子達なら面白いことになるかも。一科生と二科生、それぞれの立場がどう働いてくれるか見物だわ...♪」

「...よく分からんが。お前が言うならそうなんだろう」

 

真由美は窓際から下校する千翼達を見る。

 

「フフッ、他人のような感じがしないのよ。運命を感じちゃってるのは私の方かもね...」

 

 

 

一方―

 

深雪は達也達と下校している中、真由美の先ほどの言葉がどうしても気になってしまい思い切って二人に聞いてみることにした。

 

「お兄様、千翼くん。渡辺先輩とは、その...本当になにもありませんでしたか?」

「深雪、会長の冗談を真に受け過ぎだ」

 

そう言って、達也は深雪の頭を優しく撫でた。

 

「達也の言う通り、俺達は深雪が考えていることはしてないから」

「千翼くんもそういうのであれば...」

 

深雪は達也に撫でられて少し上機嫌になっていた。そんなやり取りをしている内に駅に着いたがふと深雪が立ち止まる。

 

「深雪?」

「どうしたんだ?」

 

深雪が立ち止まったので、千翼達も立ち止まる。

 

「...お兄様、今日はお兄様と一緒に居られる時間が少なかったので...一駅だけ歩いて帰りませんか?.....駄目...でしょうか?」

 

深雪はうるんだ瞳で達也を見つめていた。

 

「...駄目な訳ないさ」

「お兄様...!」

 

千翼を余所に達也と深雪は二人だけの空間に入ってしまった。

 

「...あー、折角の二人の時間を邪魔しちゃ悪いから、俺はもう行くよ」

「...っと、すまない」

「別にいいさ...一緒にいてあげなよ...それと...」

 

千翼は駅に向かいながら、深雪にしか聞こえないくらいの声で

 

『頑張れ、俺は応援してるから』

「ッ!?///」

「じゃあ二人共また明日!」

 

そうして千翼は駅へと消えてった。

 

「...もう///千翼くんまで美月と同じ事をッ///」

「?深雪、顔が赤いぞ?」

「い、いえ、何でもありません///さ、さあお兄様、わたしたちも参りましょう///」

「あ、ああ」

 

そう言って自分の手を引く深雪の顔が益々赤くなってる事に気づいた達也だったが気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

「―ただいま」

 

千翼は帰ってくると部屋着に着替え、リビングのソファーに座り、一息ついていた。

 

「今日は色々あったな...」

 

千翼が今日の出来事を思い返していると、自宅のチャイムが鳴る。

 

「ん、もしかして...」

 

千翼は玄関に向かい扉を開ける。するとそこには千翼の予想通りの人物が立っていた。

 

「こんばんは千翼くん。それともお帰りなさいかな?」

「好きな方でいいよほのか。ここじゃあ何だし上がって」

「うん、ありがとう。それから...はい、どうぞ」

 

ほのかが千翼に手に持っていた手提げ袋を渡した。

 

「これは?」

「千翼くん、ごはんまだだろうなぁと思って、お母さんと一緒に作ってきたの」

「ホント!?わざわざありがとう!」

「フフッ、千翼くん本当に美味しそうに食べてくれるからお母さんも嬉しいんだと思うよ」

「ほのかも作ってくれたんでしょ?ありがとう」

「う、うん///どういたしまして」

「そういえば、ほのかはもう食べたの?」

「?まだだよ」

「なら一緒に食べないか?」

「えっ!?」

「あ、いや、ほのかが嫌だったら―」

「い、嫌じゃないよ!一緒に食べよう!」

「あ、ああ」

 

急に声を張ったほのかに少し驚きながらも千翼は夕食の準備をすべくほのかと共にキッチンに向かうのだった。

 

 

 

「それで、風紀委員会の方はどうだったの?」

 

二人での夕食を終えて片付けをしていると、隣にいるほのかが聞いてきた。

 

「ああ、俺も達也もやる事になったよ...まあ、その間に色々あったけどね」

「そっか、千翼くんも()()()()と一緒に頑張ってね」

「ああ、先輩達とも仲良くやっていけそうだしね」

 

そう言いながら片づけを終えた二人はリビングのソファーに並んで座る。

 

「そういえば、二人は結局達也の事〔さん〕付けで呼ぶ事にしたのか?」

「うん。司波さんのお兄さんだし、達也さんも名前でいいって言ってたから。雫も同じ理由だよ」

「流石に深雪はまだ無理か...」

「う、うん」

 

ほのかとしては名前で呼びたいが、そこらへんはまだ緊張するんだなと千翼は苦笑いをしていた。

 

「...と、そうだ。ほのか、明日から新入部員勧誘期間が始まるけどほのか達は何か部活動でもやるのか?」

「千翼くん、その事だけど明日私達と一緒に見て回らない?」

「うーん、風紀委員は明日から勧誘期間の間は見回りで巡回しなくちゃいけないけど、それでもいいなら一緒に回るよ」

「ありがとう!それじゃあ明日よろしくね!」

「ああ!」

 

そんなやり取りをしている二人の顔は年相応の眩しい笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

―とある廃工場の一室

 

壬生 紗耶香(みぶ さやか)君、また何か悩んでいるようだね?」

「...はい...」

 

眼鏡をかけた白服の男は目の前にいる一高の二年生《壬生 紗耶香》が浮かない顔をしているので、まるで心を見透かすかのように問いかけてくる。

 

「...渡辺先輩が二科の新入生を風紀委員に加えたと聞いて...」

 

そう言いながら左手で右腕を抱える。彼女もエンブレムを持たない二科生であり、摩利とは何か因縁があるように見える。

 

「あの人は二科生を見下していたはずなのに、何故二科生を風紀委員に...。それとも見下しているというのは私の勘違いで―」

「勘違いではないよ」

「えっ?」

 

白服の男は眼鏡を外して紗耶香を見る、紗耶香もつられて白服の男を見た。その時、男の目からサイオン波が放出され、紗耶香はそれを受けた。

 

「思い出してごらん。去年、君は彼女に何と言われたか?」

「...渡辺先輩は......あたしに......」

 

ゆっくりと答え始める紗耶香。だが、その目は虚ろな目をしていた。

 

「試合を申し込んだあたしに『二科生のお前では相手は務まらない』そう冷たく言い放ったのです」

「そうだね。彼女は君を侮った、君が二科生だから。そんな彼女が二科生の新入生を加入させたからといって今更平等の精神に目覚めたと思えるかい?」

「いいえ―そんなはずありません」

「所詮風紀委員は一科生が二科生を取り締まるだけの不平等な組織だ。分かるね?」

「はい。あたしはこの学校ぐるみの差別を許せません。あたしはこの差別と戦います」

「よろしい」

 

白服の男はニヤリと、含みを持った笑みを浮かべていた。

 

「ところで例の少年、鷹山千翼についてはどうなってる?」

「まだ接触していませんが、どうやら他のクラスの一科生は一部を除いて彼の事を快く思っていないようです」

「ふむ、一科生にしては珍しい事だな。もしかしたらコチラに引き込めるかもしれない。その件も含めて引き続き頼むよ」

「はい」

 

紗耶香は男の言を聞き入れ、その部屋から出ていった。

 

 

今この瞬間、運命の歯車が廻り始めたのをまだ誰も知らない。

 

 

See You The

NEXT TARGET




第十六話いかがだったでしょうか?
本当にお待たせして申し訳ない!
なるべく早めに投稿できるようにしていきますので気長に待っててください
それではまた次回お会いしましょう!
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