魔法科高校の劣等生<The Legend of Amazons>   作:kakki-az

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お待たせしました、二十二話です。
仮面ライダージオウでついにエグゼイドこと永夢が登場しました。
個人的な感想ですがジオウの顔のライダーって文字がカタカナに対して、ゲイツはらいだーってひらがなになっているのはなかなか面白いなって思いました。
それではどうぞ!


第二十二話《昼餉》

翌日

 

昼休みに入り、千翼はほのかと雫と食堂へ向かっていた時、後ろ姿だけでも分かるくらい人を魅了している深雪を見つける。

 

「深雪」

「千翼くん。ほのかと雫も」

「深雪も今からか?」

「ええ」

「今日は達也さんと一緒じゃないの?」

「お兄様はエリカたちの居残りに突き合わせているの。だから先に食べているように言われたの」

「・・・・・ちょっと意外。深雪なら達也さんより先に食べるようなことはしないと思ってた」

 

雫が思ったことを口にする。

 

「いつもならもちろん、その通りなのだけど。私の勝手な遠慮で、お兄様の言葉に(そむ)くことはできないわ」

「・・・いつもなら、なのか・・・?」

「ええ」

()()()()なの?」

「ええ、そうよ?」

 

深雪は真顔で小首を傾げる。千翼とほのかは少し笑顔が引き()っていた。

 

「でも、次の授業に間に合わないかもしれないから、お兄様に購買で買いそろえてほしいと」

「それなら、私たちも手伝うよ」

「いいの?」

「人数多い方が、何かと便利だろ?」

「・・・・・ありがとう。それでは急ぎましょう」

 

 

 

 

 

千翼たちは食堂で昼食を済ませた後、購買でサンドイッチと飲み物を買い、達也たちがいる魔法実習室に向かう。

 

「お兄様、お邪魔してもよろしいですか・・・・・?」

 

遠慮がちな声で、深雪は実習室に入る。千翼たちも続いて入ると、据置型(すえおきがた)のCADの前に立っているレオが見えた。どうやら、レオだけがクリアしていないらしい。

 

「深雪、・・・・・と、千翼たちも来たのか?すまないが少し待っててくれ、次で終わりだから」

「いっ!?つっ、次!?」

「・・・・・達也、何気にプレッシャー掛けさせるなよ。レオ、とりあえず頑張れ」

「簡単に言うなよ!!」

 

達也たちが行っていた実技は基礎単一系統魔法の魔法式を制限時間1000ms(ミリセコンド)(ミリ秒)以内に構築して発動する練習で、二人一組になって、クリアする内容だ。ペアの一人がクリア出来ない場合、もう一方も自動的に居残りとなる。

 

 

 

 

 

「終わった~」

 

レオの歓声が課題クリアを告げる鐘の音となった。

 

「深雪、待たせたな」

「お疲れ様でした。お兄様、ご注文のとおり揃えてまいりました」

「ご苦労様。千翼たちも手伝わせてすまない」

「これぐらいの事、何でもないさ」

 

そう言って千翼たちはサンドイッチが入ったビニール袋を達也に渡す。

 

「みんな、ここで昼食にしよう。食堂で食べていたら午後の授業に間に合わなくなるかもしれないからな」

「ありがと~。もうお腹ペコペコだったのよ!」

「達也、お前って最高だぜ!」

 

和気藹々(わきあいあい)と、テーブル・・・はないので適当に椅子を寄せて、遅い昼食を取り始める達也たち。千翼たちも飲み物だけ持って、その輪に加わった。(千翼はもちろん生卵)

 

「深雪さんたちは、もう済まされたんですか?」

「ええ」

「ああ」

「はい」

「うん」

「深雪なら『お兄様より先に箸をつけることなどできません』とか言うと思った」

「いつもなら、もちろんそうだけど。今日はお兄様のご命令だったから」

「・・・・・いつもなら・・・・・」

()()()()なんですね・・・・・」

「そうよ?」

「なんか、デジャブを感じるのは俺だけ?」

 

笑顔が引き攣っているエリカと美月を見て、千翼は思ったことを口にした。

 

「だ、大丈夫だよ、千翼くん。私もそう思ってるから」

 

そこへ、ほのかが付かさずフォローを入れる。

 

「そ、そういえば、深雪さんたちのクラスでも実習が始まっているんですよね?」

 

妙な重量感の空気を振り払うように、美月が不自然にトーンの高い声を発した。

 

「多分、美月たちと変わらないと思うわ。ノロマな機械をあてがわれて、テスト以外では役に立ちそうもないつまらない練習をさせられているところ」

 

淑女を絵に描いたような外見にそぐわない、遠慮の無い毒舌に、達也を除いた六人が、ギョッとした表情を浮かべた。

 

「ご機嫌斜めだな」

「不機嫌にもなります。あれなら一人で練習でしている方が為になりますもの」

 

笑いながらからかい気味に掛けられた達也の言葉に、拗ねた顔と声で、それでも少し甘えていることが第三者のも分かる態度で深雪は答えた。

 

「でも見込みのある生徒に手を割くのは当然だもの。ウチの道場でも、見込みのないヤツは放っとくから」

「エリカの家は道場をしているのか?」

「副業だけど、古流剣術を少しね」

「そうか、それで・・・・・」

 

エリカが伸縮警棒で森崎のCADを叩き落した時のことを思い出し、納得した。

 

「エリカは・・・・・当然と思っているの?」

 

そこへ、ほのかが口を挿んだ。

 

「一科生には指導教官がついて、二科生にはつかないこと?そうよ」

「・・・・・やけにあっさりしてるな」

 

あっけらかんと言い切ったエリカに、レオがそう訊ねた。

 

「あれ?もしかして、レオは不満に思っているの?」

「いや、俺だって仕方が無いことだと思っているけどよ・・・・・」

 

らしくもなく歯切れの悪いレオに対し、

 

「そっか~。でもあたしは、『仕方が無い』じゃなく『当然』だって思っているんだけど」

 

エリカは清々しいくらい歯切れ良く言い切った。

 

「・・・・・理由を聞いても良い?」

 

ほのかの質問に、エリカはちょこんと首を傾げた。少し考えをまとめているらしき沈黙の後に、こめかみを人差し指で掻きながら口を開いた。

 

「ウ~ン・・・・・今まで当たり前のことだと思ってたから説明が難しいなぁ・・・・・。例えば、ウチの道場では入門して最低でも半年は技を教えないの」

「ほぉ」

「へぇ~」

 

興味深げに千翼と達也が頷いた。ほのかや雫、美月は、頭上に?マークを浮かべていた。

 

「最初に足運びと素振りを教えるだけ。それも、一回やって見せるだけで、後はひたすら素振りの繰り返しを見ているだけ。そして、まともに刀を振れるようなった人から技を教えていくの」

「・・・・・でもそれじゃあ、いつまで経っても上達しないお弟子さんも出てくるんじゃない・・・・・?」

「いるね~、そういうの」

 

ほのかの疑問に、エリカがウンウンと頷いた。

 

「そしてそういうヤツに限って、自分の努力不足を棚に上げたがるのよね。まず刀を振るって動作に身体が慣れないと、どんな技を教わっても身に付くはずがないはずが無いんだけどね」

「あっ・・・・・」

 

美月が小さな声を上げた。それをチラッと見ただけで、エリカは言葉を続けた。

 

「そしてその為には、自分が刀を振るしかないんだよ。やり方は見て覚える。

 周りにいっぱいお手本が居るんだから。教えてくれるのを待っているようじゃ、論外。

 最初から教えてもらおうって考え方も、甘え過ぎ。師範も師範代も、現役の修業者なんだよ?

 あの人たちにも、自分自身の修業があるの。

 教えられたことを吸収できないヤツが、教えてくれなんて寝言をこくなって」

 

思いがけずエキサイトして罵倒雑言を繰り出しているエリカを、千翼と達也は興味深そうに眺めている。

 

「・・・・・それはごもっともだけどよ、おれもオメエもついさっきまで達也に教わってたんだぜ?」

「あ痛っ!そうなんだよね、いやんなっちゃう」

 

レオの指摘にエリカは顔を(しか)めつつも、あっけらかんとした調子では変わらなかった。

 

「・・・・・そうだ。深雪たちA組の授業でも、これと同じCADを使ってるんでしょ?」

「ええ」

 

頷きながら嫌悪感を隠そうとしない深雪に、エリカは好奇心を掻き立てられた。

 

「ねえ、参考までに、どのくらいのタイムかやってくれない?」

「わたしが?」

 

自分を指差し、目を丸くする。深雪に、エリカはわざとらしく、大きく、頷いた。達也に目で問い掛ける深雪。

 

「いいんじゃないか」

 

苦笑いを浮かべながら頷く達也を見て、

 

「お兄様がそう(おっしゃ)るのでしたら・・・・・」

 

深雪は躊躇(ためら)いがちながら、承諾の応えを返した。

 

 

 

 

 

「深雪、いいぞ」

「では、いきます」

 

計測器をセットしたCADに深雪はピアノを弾く時のように、パネルに指を置いた。余剰想子(サイオン)光が閃き、計測が始まり、すぐにタイムが表示された。

 

「・・・・・に・・・・・235ms・・・!?」

「速っ!!」

「何回見てもすごい数値・・・・・」

「うん。深雪の処理能力は、人の反応速度の限界を迫ってる」

 

深雪の出したタイムを見て、驚きを隠せずにいた。ただ、千翼と達也だけが驚いていなかった。

 

「そうでしょうか?」

 

深雪は、不満そうに(まゆ)(ひそ)めていた。

 

「旧式の教育用ではこんなものだろう」

「やはり、お兄様に調整していただいたCADでないと、深雪は実力を出せません」

「そう言うな。もう少しまともなソフトに入れ換えてもらえるように、その内、会長か委員長から学校側に掛け合ってもらうから」

 

()ねるように、甘えるように身を寄せる深雪の頭を、幼い子供にするように達也は優しく撫でている。

その光景を見ても、いつものように当てられることはなかった。

 

「達也、深雪。何度も言うけど、目の前でイチャイチャするのだけはやめてくれ・・・・・」

 

―――千翼を除いて。

 

 

 

 

 

See You The

NEXT TARGET




ちなみに題名の読み方は (ひるげ) です。

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