魔法科高校の劣等生<The Legend of Amazons> 作:kakki-az
平成も終わりが近づいてきました。クウガから見ている人は、平成ジェネレーションズFOREVERを観に行くことをおすすめします。
それではどうぞ!
ほのかと雫の背後から別の二体のアマゾンが現れた。
「!ほのか、雫!後ろだ!!」
ネオからの掛け声に二人は同時に後ろを振り返った、二体のアマゾンが目の前にたたずんでいた。ーーーが、
「!」
「あれ?」
「ほのか、雫!早く下が・・・・・れ」
三人して驚きを隠せなかった。二体のアマゾンは
「これって・・・・・」
「危ないところでしたね」
聞き覚えのある声がして辺りを見回すと、凍らされているアマゾンの背後から深雪がスッと姿を現した。
「大丈夫ですか?」
「「深雪!!」」
「みっ・・・」
ほのかと雫は深雪の名を呼んだ。ネオは呼び掛けたがまだ変身しているため、途中で止めた。
「どうしてここに!?」
「生徒会の用事で買い物に来てたの。その途中でほのかたちが険しい顔で走っているの見て心配になって追いかけて来たのよ」
「そ、そうだったんだ・・・」
「ありがとう、深雪
「いいのよ。・・・・・それから」
深雪はネオのいる方へと歩き出し、ネオの前で立ち止まる。
「・・・・・お会いになられるのは、これで二回目ですね」
「・・・・・そうだな」
「あの時のお礼を言いそびれていました。助けていただきありがとうございます」
「俺はただアマゾンを狩る為に殺っただけだ。礼を言われるような事はしていない」
「それでも、お礼を言わせてください。助けていただきありがとうございます」
「・・・そろそろお互い本音で話そうか」
「フフッ、そうですね、
「「えっ!」」
千翼の名前が出てほのかと雫は驚いたが、ネオは気にせず、ベルトからインジェクター取り外し、千翼の姿に戻った。それを見ても深雪は驚く事はなかった。
「・・・・・やっぱり、気付いていたんだな」
「最初にお気付きになったのは、お兄様ですけど」
「いつから?」
「入学式の時に、お会いになった時にです」
「・・・・・そこからか」
「ええ」
深雪は満面の笑みでそう答えた。千翼は思わず苦笑いしていた。
「・・・・・ほのかたちも千翼くんが何者か知っているのね」
二人は無言で頷く。
「それでしたら、これ以上言う事はありません」
「いいのか?」
「ええ、だって千翼くんは、わたしの大切な友人なのですから」
深雪の言ったことは紛れもない本心だと、千翼を怪物ではなく人間として見てくれいると、千翼は心から嬉しく思った。
『・・・・・それに少しだけお兄様に似てらっしゃるから』
「うん?何か言った?」
「いえ、何でもありません」
「?」
深雪はまた満面な浮かべたが、千翼は意味が分からず首を傾げていた。
「ねえ、深雪。あの人たちは?」
「まだ生きているわ。でもこのままだと監視システムに発見されると思うわ」
「だったら警察に任せる?」
「いや、あまりに
「でしたら、わたしにお任せを。千翼くんたちはここから早く立ち去った方がいいわ」
「いいのか?」
「わたしの事は大丈夫ですから」
「・・・・・わかった。深雪、気を付けろ」
千翼はこの場を深雪に託し、去って行った。
とある廃工場
「あの四人は帰って来なかったか」
メガネの男は部下からの報告を聞いていた。
「はい。おそらくネオによって・・・・・」
「構わない。ヤツを我々の仲間に引き入れる為だ、多少の犠牲は仕方がない。ご苦労だった、下がれ」
「はい」
部下がその場から去ると、一人の一高生が近寄る。
「義兄さん・・・・・」
「
「義兄さん、それは・・・・・」
「甲、第一高校の同志に決起を
「!いよいよですか!?」
「ああ、こちらの準備は完了している。校内の混乱が最高潮に達した段階で実行部隊を突入させる」
そう言ってメガネの男は、掛けているメガネをクイッと上げた。
それから六日後、授業が終わった直後の放課後。
千翼が帰りの支度をしていろ時、
『千翼くん、少しよろしいですか?』
深雪が周りに聞こえないように千翼に話し掛けて来た。
『例の人たちの事なのですが・・・・・』
『何か聞き出せたか?』
『それが・・・・・、その人たちはわたしを見るなり怯えてしまい・・・・・』
『あまり話せなかった、ってことか。・・・相当トラウマになったんだな』
『ですが!あまりにも失礼すぎます』
深雪はご機嫌斜めになり、千翼は苦笑いを浮かべるしかなかった。ちょうどその時、スピーカーから突然ハウリングが飛び出した。
「えっ、何」
ほのかだけでなく、教室にいる生徒が慌てふためく。
『全校生徒の皆さん!僕たちは、学内の差別撤廃を目指す有志同盟です』
「有志・・・・・」
スピーカーから威勢良く飛び出した男子生徒の声を聞いて、千翼は先週カフェで紗耶香から聞いた話を思い出す。この放送ジャックは紗耶香の言っていた「待遇改善要求」の為に行なっている事だっと考えた。
『僕たちは生徒会と部活連に対し、対等な立場における交渉を要求します』
と、千翼の携帯端末からメールの着信が入る。深雪にも同じタイミングでメールが入った。
「この件で呼び出し?」
「そうみたいだ。行ってくる」
「気をつけてね」
千翼は深雪と一緒に放送室へと向かった。
「あ、お兄様」
放送室に向かう途中で、達也と合流する。
「達也、これはお前が言っていたヤツらの仕業か?」
「まだ断定できないが、その手の輩の仕業には違いないだろう」
と、話をしているうちに放送室前に到着した。放送室前では、既に摩利と克人と鈴音、そして風紀委員会と部活連の実行部隊が顔を揃えていた。
「遅いぞ」
「「すみません」」
ポーズだけの摩利からの叱責に、二人はポーズだけの謝罪を返す。
「委員長。今、現状はどうなっているんですか?」
千翼は現状確認に移る。
「犯人は放送室に立てこもっている。しかも何らかの手段で鍵をマスターキーごと盗んで、扉を封鎖している。踏み込むどころか、こちらから開けることができない状況だ」
「明らかに犯罪行為じゃないですか!」
「その通りです。だから私たちも、これ以上彼らを暴発させないように、慎重に対応すべきでしょう」
「こちらが慎重になったからといって、それで向こうの聞き分けが良くなるかどうかは期待薄だな。多少強引でも、短時間の解決を図るべきだ」
方針の対立が
「十文字会頭はどうお考えなんですか?」
「俺は彼らとの交渉に応じても良いと考えている。元より言いがかりに過ぎないのだ。しっかりと反論しておくことが、後顧の憂いを断つことになろう」
「では、この場はこのまま待機しておくべき、と?」
「それについて決断しかねている。不法行為を放置すべきではないが、学校施設を破壊してまで性急な解決を要するほどの犯罪性があるとは思われない」
強引な事態収拾は図らない、克人の考えは鈴音に近いものだった。それを聞いて達也は一礼をして引き下がると、千翼と顔を合わす。それを見て千翼は無言で携帯端末を取り出して、電話をかけた。かけた相手は、
「壬生先輩ですか?鷹山です」
摩利と鈴音がギョッとした表情で千翼に視線を移した。
「先輩は今何処に?・・・・・ああ、放送室に要るんですか。・・・・・別に馬鹿にしてるわけではないです。少し落ち着いて・・・・・はい、ありがとうございます。それで、本題なんですが」
摩利や鈴音、そしてその他数人、千翼が何を言おうとしているのか、聞き逃さない為に聞き耳を立てた。
「十文字会頭は交渉に応じると、生徒会長はまだわかりませんがーーー」
鈴音が頷いたのを見て、千翼はすぐに言い直す。
「いえ、会長も同じです。と言うわけで、交渉の日時について話したいんですが。・・・・・大丈夫です、壬生先輩の自由は保障します。・・・・・はい、・・・・・では」
千翼は通話を切り、摩利たちに向き直った。
「委員長。すぐに出てきます」
「今のは、壬生紗耶香か?」
「はい。待ち合わせの為にとプライベートナンバーを交換したのが幸いでした」
「手が早いな、君は・・・・・」
「誤解しないでください」
「それより、態勢を整えるべきです」
達也は摩利、鈴音、克人に次の行動を促した。
「態勢?」
「中にいるヤツらを拘束する態勢です」
「・・・・・千翼くんがさっき、自由を保障すると言っていた気がするのだが」
「俺が自由を保障したのは壬生先輩だけです。それに風紀委員を代表として交渉しているとは一言も行っていません」
摩利だけではなく、鈴音や克人までもが、呆気に取られていた表情を浮かべていた。この二人はある意味でベストタッグなんじゃないかっと思わせるぐらいに。
「悪い人たちですね、お兄様と千翼くんは」
「今更だな、千翼」
「ああ、そうだな」
「でも、お兄様。千翼くんが壬生先輩のプライベートナンバーを端末に保存していたのを知っていた件について、後ほど詳しくお話を聞かせて下さいね?」
深雪は満面な笑みで、楽しげな口調で、そう言った。達也は千翼に「どうすればいい?」という顔を向けてきたが、千翼は「お前がなんとかしろ」という顔で返した。
「どういうことなの、これ!」
千翼は紗耶香に詰め寄られた。放送室を占拠していたのは、紗耶香を含めた五人。CADを所持していたが、紗耶香以外の四人は風紀委員よって拘束されたが、紗耶香はCADを没収されただけに留まった。紗耶香の手は、千翼の胸元に伸びたが、その手首を千翼の手に掴まれている。
「あたしたちを騙したのね!」
「鷹山はお前を騙してなどいない」
紗耶香に、重く、力強い響きのある声が掛けられた。
「十文字会頭・・・・・」
「交渉には応じよう。だが、お前たちの要求を聞き入れる事と、お前たちが執った手段を認める事は、別の問題だ」
「っ!」
「それはその通りなんだけど・・・・・」
その時、ある人物が入り込んで来た。
「七草?」
「彼らを放してあげてもらえないかしら」
「だが、真由美」
摩利が、反論の構えを見せた。
「分かっているは、摩利。でも、壬生さん一人では、交渉の段取りも出来ないでしょう。当校の生徒である以上、逃げられるということも無いのだし」
「あたしたちは逃げたりしません!」
真由美の言葉に、紗耶香は反射的に噛み付いた。だが真由美は、直接には、紗耶香の言葉に反応しなかった。
「学校側は今回の件、生徒会に委ねるそうです」
「何!?」
「壬生さん。これから貴方たちと交渉ついて打ち合わせをしたいのだけど、ついて来てもらえるかしら」
「・・・・・ええ、構いません」
それを見ていた千翼は紗耶香を解放し、真由美は紗耶香と一緒にその場を後にした。
これにより有志同盟の立てこもり事件はいったん落ち着きをみせたが、完全な解決ではない。これから起こることを千翼はまだ知らなかった。
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