魔法科高校の劣等生<The Legend of Amazons>   作:kakki-az

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あけましておめでとうございます。
投稿開始からこれで二回目の年越しになりました。
少し遅い投稿になりましたが、第二十五話です。
それでは、どうぞ!!


第二十五話《情報》

同盟の立てこもり事件が起きた翌日、学園内はある話題に盛り上がっていた。

それは明日におこなわれる生徒会と同盟の公開討論会である。しかもそれに出るのは、まさかの真由美一人であった。その話を深雪から聞いている千翼たち。

 

「深雪も行くの?」

「そうね・・・・・あまり気が乗らないけど」

「気が乗らない?」

「だって興味がないもの。主義主張のためなら何をやってもいいと考えている人たちなんて」

「深雪、同盟の主張内容についてどう思うの?」

「正直言って、甘いと思うわ。評価してほしいなら実績を示すのが先、魔法以外で評価されたいなら魔法以外で実績を示すべきよ。平等じゃないから評価を上げろというのは高い評価を受けている人たちの実績にぶら下がっているようでなんだが嫌な感じを受けるわ」

 

深雪は自分が思っていることを容赦なくズバズバと言ってくる。それを聞いて千翼たちは呆気に取られていた。

 

「深雪の言ってる事はその通りだと思うけど・・・・・」

「深雪、以外と容赦ない性格?」

「そうよ。わたしって冷たい女なの」

 

ニコッとしながら深雪はそう答えた。

 

 

 

 

 

放課後、千翼は達也とペアで校内を巡回していると、所々に同盟メンバーの姿が見られた。賛同者を募るため活動が一気に活性化したのだ。

同盟メンバー全員、赤白青(トリコロール)のリストバンドを巻いていた。そんな中を巡回していると、例のリストバンドを巻いた、おそらく三年生に話し掛けられて困惑している美月を見つけた。

 

「美月」

「あっ、達也さん、千翼くん」

 

二人の姿を見て、ホッとした表情を浮かべる美月。結構な時間、捕まっていたようであった。千翼はその上級生に着目する。

そしてその上級生に見覚えがあった。路地裏に出たアマゾンを狩りにいった日にその路地裏に向かっていた男子生徒だった。

よく見ると、彼の制服にはエンブレムがなく角張った小さなメガネをかけていた。

 

「風紀委員の鷹山です。あまり長時間にわたる拘束は迷惑行為になる場合があります、お控えください」

「分かった。柴田さん、僕の方は何時(いつ)でも良いから、気が変わったら声を掛けてくれる?」

 

その上級生は紳士的に手を引いた。

立ち去る背中が廊下から階段へ消えたところで、千翼たちは美月に事の経緯を訊ねた。

 

「美月。さっきの人は?」

「剣道部の主将さんです。お名前は≪司甲(つかさきのえ)≫さんとか。・・・・・私と同じ『霊子放射光過敏症(りょうしほうしゃこうかびんしょう)』で・・・・・」

 

霊子放射光過敏症、霊子(プシオン)の生じる『霊子放射光』に過敏な反応を示す知覚制御不全症で、霊子放射光は、見ている者の情動に影響を及ぼす。その為に、霊子放射光過敏症者は精神の均衡を崩しやすい傾向がある。

 

これを予防するため、感受性をコントロールするか、特殊レンズのメガネをかけるしかない。

 

美月の目は常時メガネをかけなければならないほど特殊だった。美月自身も自分の「目」のことは隠しておきたかったらしいが、その事で気にしない友人と一緒のため、美月は自分の「目」のことを話してくれた。だから千翼は驚きはしなかった。

 

「同じように過敏感覚に悩む生徒が集まって作ったサークルに参加しないかって」

「それはまた」

「授業で精一杯だからと、何度もお断りしたんですけど」

「そうだな。欲張らず、一歩一歩進んでいくのがいいんじゃないか」

 

達也のありきたりなアドバイスに「そうですね」と頷いて、美月は美術部の部室に向かった。

美月を見送った千翼たちは巡回を再開したが、千翼は先ほどの上級生のことが気になっていた。

 

(剣道部主将、司甲か)

 

 

 

 

 

千翼の部屋

 

「・・・・・それで、その司先輩があやしいの?」

 

夕食を済ませ、片ずけの最中に千翼は放課後のことをほのかに話していた。

 

「まだ確証はない、・・・・・けど、何か繋がりがある、って俺はそう思ってる」

「そうなんだ・・・・・」

「まずは、司甲について調べてみるつもりだ」

 

と、ちょうどその時、千翼の携帯端末が鳴り出した。千翼は表示画面を確認するとメールの受信があり、メールの内容を確認する。

 

 

 

 

 

千翼はネオジャングレイダーを走らせ、メールに書かれていた目的の場所に着いた。ネオジャングレイダーから降りて、千翼はメールに記された場所をもう一度確認する。

 

「・・・・・ここであってるな」

 

着いた場所は寺であった。千翼はそのまま山門をくぐり、境内に入る。そこに見知った兄妹が待っていた。

 

「達也、深雪」

「来たか」

「千翼くん、お待ちしておりました。急なお呼びだてに応じてありがとうございます」

「別にいいよ。・・・・・それより、俺をここに呼んだ訳を教えてくれないか?」

「説明の前にお前に言いたい事がある」

「言いたい事って・・・・・」

「深雪から既に聞いていると思うが、お前が深雪を助けたアマゾン『ネオ』である事は知っている、そして、溶源性細胞のオリジナルであることも分かっている。正直、俺はお前を危険な存在だと今でも思っている。・・・・・だが、お前は一緒にいても大丈夫だと、そう確信した。・・・・・だから今回の件、お前にも協力を願いたい」

「・・・・・」

 

達也が話してくれた事は全部本心からだと千翼は感じていた。

 

「・・・・・プッ、ハハハッ」

 

千翼は思わず笑い出す。

 

「?千翼?」

「千翼くん?」

「ハアッ、ゴメンゴメン。変に勘ぐっていた自分が可笑しくてさ。達也の気持ちは分かった。そういう事ならその協力、受けるよ!」

 

そう言って千翼は達也に近づき拳を前に突き出す。達也もフッとしながら拳を突き出し、コツンッと拳にぶつける。

 

「すまないな」

「いいって、俺のこと信頼してくれているんだろ?」

「ああ」

「お兄様、そろそろ・・・・・」

「わかった。千翼、ついてきてくれ」

 

そう言って達也と深雪は庫裏(僧侶の住居)へと向かう。千翼は二人のあとをついていくが、

 

(なんで、明かりがついてないんだ?)

 

と、不思議に思っている内に、庫裏の玄関にたどり着き、達也が引き戸に手を掛けたのと同時に、

 

「達也くん、こっちだよ」

 

まるで人の気配が無かった縁側の方から、達也を呼ぶ声が聞こえた。いきなり声を掛けられ、深雪はビクッと震えた。

三人は声のした縁側へ回ると、そこには沓脱石(くつぬぎいし)に足を投げ出しながら、腰掛けているお坊さん(?)がいた。

 

「こんばんは、()()

「こんばんは、達也くん、深雪くん。・・・・・おや?珍しいお客さんが来たね」

 

お坊さんと視線が合い、千翼は頭を下げる。

 

「師匠、もしかしてお休みでしたか?」

「それはまさかだ。約束しておいてそんなことはしないよ」

「ですが明かりがついていませんが・・・・・」

「いや、習慣でね。必要が無い限り、明かりはつけない。僕は()()だからね」

「・・・・・達也。師匠って、もしかして」

 

千翼は薄々気づいていたが、達也に訊ねた。

 

「ああ。八雲和尚(おしょう)、俺の体術の先生だ。忍術使い、九重八雲の方がしっくりくるだろう」

 

千翼は達也と服部の模擬戦の時、深雪がその名前を言っていたが、まさか、このお坊さんがとまじまじと見てしまう。

 

「人は見かけによらないもんだな」

「そういう君は、鷹山千翼くんだね?」

「俺のことを知っているんですか?」

「達也くんから君のことは聞かされていたからね。君が危険な物を抱えているから父親に命を―――」

「師匠」

 

そこへ達也が、八雲の言葉を途中で(さえぎ)った。八雲は少しバツの悪げな顔になった。

 

「おっと、すまない、これは言ってはいけないことだってね。千翼くん申し訳ない」

 

八雲の謝罪に千翼は首を横に振るが、拳を強く握りしめていた。

達也と深雪は見なかったことにした。

 

「それで、今日は何の用かな?」

「師匠に一つ調べていただきたいことが・・・・・」

 

八雲の問い掛けにそう前置きにして、達也は司甲のことを説明した。

 

「その三年生は、ブランシュとも直接、強く繋がっていると俺は考えています。司甲を通じてブランシュが一体何を目論んでいるのか、お分かりになりませんか」

「もちろんその程度のことは調べられるけど」

 

質問の形を取った達也の要請に、八雲はあっさり頷いた。

 

「千翼くんもこの件に関わっているのかい?」

 

八雲は達也だけでなく千翼にも質問するような口ぶりで聞いてくる。千翼は迷わず頷く。

 

「それなら、仕方が無いね」

 

そう言って八雲は、縁側に腰を下ろすよう勧めた。千翼たちが座ったのを見て、

 

「司甲。旧姓、鴨野(かもの)甲」

 

八雲が前置き抜きで語り始める。

 

「両親、祖父母いずれも魔法的な因子は見られず、いわゆる『普通』の家庭だけど、実は陰陽師の大家『賀茂(かも)氏』の傍系(ぼうけい)に当たる家だ。甲くんの『目』は一種の先祖返りだろうね」

 

まるで達也の依頼を予知していたかのような八雲のセリフに、深雪は目を丸くし、千翼は啞然(あぜん)としていたが、達也はさほど驚いていなかった。

 

「俺が司甲の調査を依頼することが分かっていたんですか?」

「いや。君の依頼とは関係なく、彼のことは知っていたよ。僕は坊主だけど、同時に、いや、それ以前に忍びだ。(えにし)が結ばれた場所で問題になりそうな曰くを持つ人物のことは一通り調べておくことにしている」

「俺たちのこともですか?」

「調べようとしたけどね、その時は分からなかった。君たち兄妹に関する情報操作は完壁だ。さすが、と言うべきだろうね」

 

達也と八雲、二人の間に何やらキナ臭い空気が流れ始めたのを千翼は感じた。

その暗雲を払拭しようとしてか、深雪が慌てて口を挿んだ。

 

「それで先生、司先輩とブランシュの関係については・・・・・?」

 

深雪の(かも)し出す一所懸命な雰囲気に、達也と八雲が同時に頬を弛める。弛んだ表情のまま、世間話の様な口調で、八雲は深雪の質問に答えた。

 

「甲くんの母親の再婚相手の連れ子、つまり甲くんのお兄さんが、ブランシュの日本支部のリーダーを務めている。その義理のお兄さんは表向きだけの代表じゃなくって、非合法活動を初めとする裏の仕事の方も仕切っている本物のリーダーだよ」

 

締まりの無い顔とは対照的に、八雲のかなり穏やかなものではなかった。

 

「甲くんが第一高校に入学したのは、義理のお兄さんの意思が働いているんだろうね。・・・・・具体的に何を企んでいるのか、までは分からないな」

「そうですか・・・・・」

 

八雲のセリフを聞いて、達也はゆっくりと頷いた。

明日、討論会が始まる前なるべく早い時間に司甲をマークするように摩利にさりげなく進言しておこう、と達也は考えた。

千翼も同じ事を考えていたが、もう一つ気になっていることがあった。

 

(ブランシュ・・・。あいつらは、一体何処でアマゾン細胞を?)

 

 

 

 

 

とある廃工場

 

少しばかりの灯りがある部屋で、ブランシュのメンバー数名が列になって並んでいた。そこには紗耶香の姿もあった。

列の前には、ブランシュのリーダーが黒いアタッシュケースを持って立っていた。

 

「明日の討論会は・・・・・」

 

リーダーはアタッシュケースを開ける、中には真鍮色の指輪(アンティナイト)が数個入っていて、それをメンバーに渡される。

その内の一つが紗耶香の手に渡る。

 

「・・・・・何か仕掛けてくるかもね」

 

そう言いながら、不敵な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

See You The

NEXT TARGET




いかがだったでしょうか。
ジオウでは新ライダーウォズが登場してさらに盛り上がりました。
今後の展開が楽しみですね。

今年も地道にやっていくのでよろしくお願いします。

あと、このSSとは別に新しく投稿を始める予定ですので、よろしければそちらもよろしくお願いします。
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