会議室でボッチになった後、俺がゲームで作った里長専用の執務室に移り豪華なイスに座り
机に肘を突いて報告を待つことにした。
待つこと30分。
執務室にサムイが報告書らしき巻物と書類を両手に持って現れた。
「こちらの巻物は調査小隊連絡役であるサイの鳥獣戯画の術により届いた現状報告の連絡で
後の書類は巨人の調査および里の設備などを記したものとなります」
「そうか……ありがとう。
現場が落ち着いてきたら辺りを警戒しつつ、交代で休むように全部隊に伝えてくれ」
「はっ!」
書類と巻物の説明をした後、巻物と書類を俺が肘を突いている机の上に置いたサムイ
に全部体への命令を伝えるように言うと、彼女は返事と共に会議室の時と同様
瞬身術を使い執務室から出て行った。
彼女が姿を消した後、俺はふと一つの疑問が頭に浮かんだ。
それは、忍術の使用である
ゲームデータが再現されていると言うのなら、忍術も使用可能であるはずだが…。
『NARUTO疾風伝ー大戦絵巻ー』では忍術を発動させるための印を術の名前
を言うだけで自動で結ぶオートモードと、ファン向けの自分で印を覚えて術を発動させる
手動モードの二つがある。
俺は廃人でありファンだったので、頑張って手動でプレイしていたのだが
ここではどうなっているのだろうか?
手動?それとも自動なのだろうか?
この後、忍術開発局にある演習場で少し試してみるか。
書類を読んだ後の予定を決めた俺は、机の上に置いてある書類と巻物に手を伸ばす。
まず、始めに読むのは巻物から。
里の周りがどうなっているのか気になる上、大切に育てたヒナタ達に怪我が無いか心配だ。
俺はゆっくりと巻物を広げて書かれている文字を見る。
調査報告
里から半径一キロ圏内の地図を作成途中に武装した人間を襲う巨人をヒナタ隊長が白眼
で発見。
発見した後、隊長の判断により巨人に襲われている人間を救出し、情報収集することに
決定。
襲われている人間を救うために調査小隊は戦闘を開始。
巨人の動きは鈍く、こちらの被害はなし。
小隊の攻撃は致命傷を与えたと思えたが、胸や体を貫こうとも巨人は
傷を再生させ絶命する気配はなし。
撤退も考えたが、小隊の一人である はたけ カカシ が救出した男性の情報により、巨人の
弱点がうなじであることが判明。
入手した情報に嘘はなく、はたけ カカシの忍術”雷切”により弱点で在る
うなじを抉られた巨人は全滅。
襲われていた人間を救った我々は里以外の人類の接触に成功。
現在は我々の情報を隠しながら彼等が持つ情報を収集しつつ、
彼等の治療、および、さらなる情報を得る為に里に帰還する途中である。
今回の調査により得た、巨人についての報告。
巨人の行動は、基本人間を食べるためにあり。
うなじが弱点で動きが鈍く戦闘能力は低い。
以上で報告を終了
救出の為に戦闘になったのは驚いたが、被害はゼロ。
しかも、この里以外の人類との接触に成功。
大収穫だ。
これでこの世界の情報を知ることが出来る。
ただ、これから来ると言う人達の扱いには注意しなければならない。
もし、彼等の扱いを間違えれば見知らぬ世界で戦力が不明の敵を増やす事になる上
最悪この世界の情報を得られないかもしれない。
彼等を迎える際は、丁重に扱うように全部隊に伝えておこう。
さて、次は施設に関する書類だな…。
巻物を机の墨に置き、書類を読む。
里に存在する設備の状況。
物資生産設備…問題なし
忍術開発局…設備などの問題はなし
口寄せ動物対策の城壁…破損箇所は見当たらず問題はなし。
現在は二番隊が不足の事態に備え、壁を強化中。
……。
………。
設備に関する書類を見る限り、設備に問題はないようだ。
これにより不安だった、食料や水の心配は無くなった。
小隊も無事で設備は問題ない。
とりあえず一安心した俺は、次の書類。
巨人の報告書を見る。
巨人についての報告。
一番隊とその他部隊により5体の巨人の捕縛に成功。
捕縛する際の戦闘で首が弱点だと判断した我々は出来るだけ
首を傷つけないように調査を開始した。
まずは巨人との意思疎通。
彼等に話しかけるも、まともな反応はなく巨人には知性が無い事が
判明。
次に巨人の再生能力。
戦闘の際、巨人の驚異的な再生能力が在ることが判明。
損傷した部分から蒸気のようなものが発生し再生をする
捕獲した全ての巨人を同時に傷をつけた結果、再生速度に個体差が在ることが
分かったのと同時に巨人達の痛覚も固体差があることも同時に判明した。
最後に巨人の体内について
体を解剖しようと試みたが蒸気で見えなかった為、日向ネジの白眼で
巨人達の体内を視認。
信じられない事に巨人には胃・肺などの器官は存在したがそれ以外の臓器が
無い事が判明。
そして、我々同様にチャクラが存在するのかを確認した所………
巨人の皮膚・皮・骨・筋肉・血液がチャクラにより生成されている事が判明。
故に腕や足を欠損しようとも、チャクラにより欠損部分を再生したものと思われる。
切り離された四肢や巨人が絶命した後、蒸発するのはチャクラの供給源がなくなったことにより
蒸発して消えたものと考えられ、巨人の首には供給源となるものが存在すると推測される。
調査の結果。
巨人は自然に生まれた生物ではなく人工的に作られた兵器もしくは
何かの実験体であると予想される。
じ…実験体に…兵器?
なにそれ?どこの大蛇丸(おろちまる)?
どうやらこの世界は夢があるファンタジーな世界ではなく、いろいろと複雑で
面倒な世界のようだ。
………。
とりあえず、忍術の練習をするか……。
あまりの現実の重さに耐えかね、この件については暁のメンバーと話し合う
事にした俺は、すたすたと忍術開発局にある演習場へと向かった。
書類が届く少し前の出来事
カカシに救われた調査兵団団長であるキース・シャーディス。
彼は泣いていた……。
何故なら部下達の死は無駄ではなく、壁の外に人類が自分達と同じようにまだ生きていると
いう重要な情報を得るための糧となったのだから…。
それに、自分達を助けてくれた彼等の力を我々が使えるようになれば巨人達を一匹
残らず駆逐できるかもしれない。
思えば…団長になってから、今まで一度も成果をあげる事はなく……。
何度…部下を無駄に死なせたか…
その度に、今度こそは…!!と何度決意したか…。
何度……何度と……この地獄のようなサイクルを繰り返してきたか…。
しかし、ようやく…ようやく……成果をあげる事が出来た…。
帰ったら胸を張って言ってやろう。
私の部下達は無駄死にではなかったと!!
人類にとって重要な情報を得るために英霊となったのだと!!
彼が涙を流していると…。
「すみません。この部隊の代表の方は居ますでしょうか?」
後ろから声を掛けられた。
声から察すると一番初めに自分を助けてくれた人物だと思う。
彼は涙を拭いて、後ろの人物を見て驚いた。
女性の声だとは思っていたが、こんなに若い少女だとは思わなかったからだ。
しかし、侮ってはいけない。
彼女もまた不思議な力を使い、自分達を巨人から守った人間の一人なのだから…。
落ち着いた彼は胸を張り、力強く答えた。
「私がこの調査兵団団長。キース・シャーディスだ」
「そうですか…私は、この調査小隊を率いる日向ヒナタと言います。
単刀直入ですが私達と共に来てもらえませんか?もちろん亡くなった人達の
埋葬、もしくは回収を待ちますが…」
調査小隊。
なんの調査かはわからないが少なくとも彼女たちには調査を報告する人間が確実に居る事になる。
やはり彼女達以外の人類は居るのか。
本音を言わせて貰えば、彼女達が我々についてきて欲しいのだが…。
ここで彼女達に不快な感情を与え、対立するわけにはいかない。
それにもし、彼女達に付いて行けば彼等の力の秘密が手に入るかもしれない。
人類が巨人に勝利するための鍵をようやく見つけたんだ。
ここで帰るわけにはいかない。
「……ありがとう。では回収できる者は回収し、生き残った部下と共に
君達に付いていこう」
「貴方の判断に感謝します」
「こちらこそ、助けてくれて感謝する」
こうして私は生き残った部下と共に回収できる遺体を馬車に乗せ、
残ったり戻って来た馬達に跨り、彼女達に付いていく。
人類の勝利に一歩…前進したと信じて……。
調査兵団にとって、この出会いは人類の勝利への前進か?
もしくは……新たな天敵の出現か?
次回をお楽しみに!!
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