駄天使がオラリオに行くのは間違っているだろうか   作:梅無し

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○漆原半蔵
豊穣の女主人で働いている店員
ついにニートをやめた
○アイズ・ヴァレンシュタイン
ロキファミリアの団員
○レフィーヤ・ウィリディス
ロキファミリアの団員
漆原に惚れている
○ティオナ・ヒリュテ
ロキファミリアの団員
○ティオネ・ヒリュテ
ロキファミリアの団員
○リヴェリア・リヨス・アールヴ
ロキファミリアの副団長
○フィン・ディムナ
ロキファミリアの団長
○ボールス
リヴィラの偉い人(多分)




殺人現場にやる気のない人がいても意味ないよね

「まさかてめぇが殺したのか?」

「……なにそれ?冗談でも笑えないけど」

 

睨み合うボールスと漆原……なぜこのような状況が起きているかは遡ること数十分前のこと。

 

 

☆☆☆

 

 

「ちょっと前に見つかってね。この街で殺しなんて、ちょっと酔ったバカ2人が喧嘩でくたばって以来、しばらくなかったんだけどねぇ」

 

店主はため息をつきながら言う。殺人が気になるフィンは店主に質問する。

 

「何者かに殺されたのは、確かなのかい?」

「さぁ?あたしもさっきそこで騒いでいるのを耳にしただけだからねぇ」

「その死体はどこで見つかったのかわかるか?」

「ああ、確かここから上の方にある、ヴィリーの宿さ。人がたくさんいると思うから行ってみればすぐ分かるさ」

 

話を聞いた漆原たちはフィンの提案によって死体現場へと向かうことになった。

レフィーヤは感じていた。さきほどから漆原の様子が少しおかしいことに。

 

「漆原さん、どうかしましたか?さっきから元気が少しないようですけど」

「…別に。何でもないよ」

「そ、そうですか?何かあったらいつでも言ってくださいね」

 

 

★★★

 

 

殺害現場となる部屋に到着するとそこには真っ赤な血と床に横たわる、頭部を失った男の死体であった。あまりの光景にレフィーヤは狼狽し漆原の服の裾を掴む。漆原達が入ってきたためその場にいた2人の男がこちらへ振り返る。そのうちの1人の男は太い眉毛を吊り上げながらこちらを睨む。

 

「あぁん?おいてめぇら、ここは立ち入り禁止だぞ!見張りの奴らは何してやがる!」

「やぁ、ボールス。お邪魔させてもらってるよ。」

 

フィンがそう答えるとボールスは漆原たちのことをジロジロと見つめると何かに気づいたかのようにフィンに質問する。

 

「おい、フィン。てめぇとは結構長い付き合いになるがあの紫色のガキは初めて見る。誰だ?」

「あぁ、彼なら心配ない。僕の友人である漆原半蔵だ。」

(……いつから友人になったっけ?)

「ウルシハラハンゾウ?極東の出身か」

 

突然、友人認定された漆原は否定しようと思ったがめんどくさいから「ま、いっか」と呟く。

ボールスは漆原を怪しいと思いながらもフィンを睨みながら言う。

 

「部外者以外は立ち入り禁止だ!出て行きやがれ!」

「まぁまぁ、僕たちもしばらく宿を利用するつもりなんだ。落ち着いて探索に集中するためにも、早期解決に協力したい。どうだろう、ボールス?」

「けっ、物は言いようだなぁ、フィン。てめぇらといいフレイヤファミリアといい、強い奴らはそれだけで何でもできると威張り散らしてやがある」

 

ボールスがそう言うとティオナが文句を言うがレフィーヤが冷や汗をかきながら必死になだめる。

 

「それで、どうなっているんだい?この冒険者の身許や、手にかけた相手について何か分かったことはあるのかい?」

「ちっ……くたばった野郎は、ローブの女をここに連れ込んできた全身型鎧の冒険者だ。兜まで被っていたからな、顔はわかんねえが連れの女が消えているから、犯人はそいつで間違いねぇ……そうだな、ヴィリー?」

「あぁ、少なくとも俺はこの部屋にその男と女しか通してねぇよ、ボールス」

 

ヴィリーは頷くと補足するように話を続ける。

 

「昨日の夜に、2人で来てよ。宿を貸し切らせてくれって頼まれたんだ」

「たった二人なのに、客席をすべて貸し切り……あぁ、そういうことか」

「あぁ、そういうことだ。うちの宿にはドアなんてないからよ。喚けば洞窟中にダダ漏れだ。やろうと思えばのぞきし放題だしな」

「そういうこと……セックs痛っ!!」

 

フィンは言わんとしていることをすぐに察し、話を聞いていた漆原は鎧を着た男がこの宿を貸し切りにした理由を言おうとしたが顔を真っ赤に染めていたレフィーヤに杖で叩かれ邪魔されてしまう。

 

「何するのさ、レフィーヤ?」

「う、漆原さんにはデリカシーってものがないんですか!?」

 

漆原とレフィーヤが揉めている一方でフィンはヴィリーに「気にしないで続けてくれ」と言って話を聞く。

 

「男の浮かれたような声に何しに来たのかはわかっちまったからな。金はもらったから部屋を貸したらこのざまだ」

「……いつまでやるのこれ」

 

ヴィリーの答えに聞き耳をたてていた漆原は興味なさそうに小さく呟く。

リヴェリアが遺体の潰れた頭部へとそっと布を被せる中、フィンはボールスとヴィリーに質問する。

 

「そのローブの女の顔は見なかったのかい?」

「フードを目深に被ってたんだ、男と同じで、顔は全然わからなかった……あー、でも、ローブの上からでもわかるくらい、めちゃくちゃいい体してたな。ああ、思わずむしゃぶりつきたくなるような女だったぜ」

「おお、実はオレ様も町中でちらっと見かけたんだが……ありゃあーいい女だ。顔はよく見えなかったが、間違いねぇ」

 

思わず力説するヴィリーとボールスにその場にいた女性陣が今は冬なのかと言いたくなるような視線を送る。

 

「でもさぁ、自分のお店なのに、部屋で何があったのかわからなかったの?あの入り口の前の長台にずっといたんでしょ?」

「勘弁してくれよ。あんないい女を連れ込んで部屋から声が聞こえてきたら、妬みやら何やらでおかしくなっちまう。満室の札を店の前に置いて、俺はさっさと酒場に行っちまったよ」

 

ティオナの疑問にヴィリーは愚痴を言うかのように答える。このヴィリーのアリバイは酒場にいた他の冒険者によって成立している。つまりこの殺人はヴィリーが酒場に行っている間の昨夜から今朝のどこかの時間に殺されたということである。

ティオネは、ボールスにローブの女について問いかける。

 

「その様子だと、ローブの女の目撃者は誰もいないみたいだね?」

「全くいねぇ。子分どもに聞き込みをやらせているが、今のところ何も手がかりはなしだ。……まぁ、今からこの野郎の身許に直接聞くところだ。」

「…直接?」

 

死んだはずの人間に直接聞くというボールスの言葉に漆原は疑問を持ち、問いかけようとするがそんなことは知らず、ヒューマンの冒険者と獣人の小男ともに入室し、持っていた小瓶をボールスに「開錠薬です」言いながら渡す。

 

「開錠薬って確か……」

「眷属の恩恵を暴くためだけの道具だ。正確な手順を暇なければ、それ単体だけでは神々の錠は解除できないがな」

「直接ってそういうことか」

 

リヴェリアの解説によってさきほどボールスが言っていた意味が理解することができた漆原は納得する。

 

「あーいう技ってどこで覚えるんだろうね…」

「冒険者が金にがめつくて何でもする物好きなのは、今に始まったことじゃないでしょ」

 

呆れているティオナ、半眼を作るティオネ、死者を辱める真似をすることが許せないリヴェリアの三人の視線を向けられていると知らず獣人の小男はステイタスを暴き、次々と神聖文字が死んだ冒険者の背中に浮かび上がってくる。

しかしボールスはしまったという表情で自分の頭をおさえる。

 

「いけねぇ、神聖文字が読めねぇ…おい誰か、外に出て、物知ってそうなエルフを一人二人連れてこい!」

「待て、神聖文字なら私が読める」

「私も」

 

使い走りへ声を張るボールスに、リヴェリアとアイズが口を開いた。ボールスは任せたぞという表情で道を開ける。進み出た二人は神聖文字の解読に移る。

 

「名前はハシャーナ・ドルリア」

「……ガネーシャ・ファミリア」

 

アイズとリヴェリアの言葉が出た瞬間、この場が静まり返る。しかしそんな静寂もボールスの言葉によって崩される。

 

「ガネーシャ・ファミリア!?冗談じゃねぇぞ、剛拳闘士〈ハシャーナ〉っつったら、Level4じゃねえか!?」

 

ローブの女が犯人と思われしかもLevel4以上の実力者という事実。第一級冒険者と同等の力を持っている殺人鬼が、この街にいるかもしれないという事実が明らかとなった。

 

★★★

 

「この狭い空間で調度品がきれいなまま…よって第三者の乱入もないだろう」

「ってことはローブの女がやっぱり犯人?」

 

フィンの推理を聞いたティオナはローブの女が犯人ではないかと言う。

 

「ほ、本当にこの人は力づくで殺されてしまったんでしょうか?その、毒とか…」

「アビリティ欄には耐異常もあるから、多分違う……」

 

レフィーヤの考えをアイズは否定する。今までの様子を見ていた漆原はめんどくさそうに口を開く。

 

 

「どうでもよくない?誰が殺したなんかさ」

「う、漆原さん……何を言ってるんですか?」

 

漆原の言葉に驚いていた他の面々の代わりレフィーヤが答える。いやレフィーヤも驚いていたがなぜ漆原がそんなことを言うのかが気になり無理やり喉から声をだしていた。

 

「ダンジョンでは人が死ぬのはたくさんあることなんだよね、今回の場合は殺したのがモンスターじゃなくて人間だっただけでしょ?……このハシャーナだっけ?こいつが死んだのはこいつが弱かっただけ…………」

 

漆原半蔵、改めてルシフェルにとって生物が死ぬことは日本にいたころならいざ知らず、魔界にいたころは日常茶飯事だった。ルシフェルは最強のハグレ悪魔として他の悪魔を気まぐれで殺していた。弱肉強食……ルシフェルがいた世界はそういう世界だった。ここにいる冒険者とルシフェルでは価値観があまりにも違いすぎた。

 

「まさか、てめぇが殺したのか?」

「……なにそれ?冗談でも笑えないけど」

 

実はというとボールスは最初から漆原のことを怪しい奴と思っていた。付き合いが長いはずだがこの男がフィンと一緒にいるところなど一回も見たことがない。しかも容姿だけなら中々の美少年。だが半袖、半ズボンに黒い手袋。こんな冒険者は一度も見たことがなかった。本来ならばこれだけでは疑いなど持たれるはずがない。しかし先程の漆原の言葉。少し怪しいと思っていたボールスの感情の苗を育てるには十分だった。ボールスは漆原の胸ぐらを掴む。

 

「どうなんだよ、答えやがれ!?」

「……離してよ。今日が命日になるよ?」

「て、てめぇ!?」

「お、落ち着いてください!」

 

この二人の言い合いに乱入したのはレフィーヤだった。フィンは漆原への疑いを晴らすために言う。

 

「なんで彼が怪しいと思うのか教えてくれるかい?」

「変なこと言って俺らを混乱させようとしてきただろ」

「そもそも殺したのはロープの女だ。彼は男だよ」

「もしかしたらこいつと共犯かもしんねぇーだろ!」

「さっきも言ったけど第三者の乱入はないって言っただろう?」

「…………それもそうだな。悪りぃ、頭に血が上ってた」

 

漆原は自分の疑いが晴れたことを確認すると部屋から出て行こうとする。

 

「ど、どこ行くんですか?」

「疑いも晴れたし暇だからちょっと外の空気吸ってくる。」

 

レフィーヤは漆原に付いて行こうするが先程の漆原の無慈悲な言葉を思い出し、これ以上声がかけれなかった。レフィーヤは部屋から出て行く漆原の背中を見つめることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです。
漆原ってこんなこと言いますかね?ちょっと自信ないです汗
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