豊穣の女主人で働いている店員
ついにニートをやめた
○シル
豊饒の女主人で働いている店員
○アーニャ
豊穣の女主人で働いている店員
○クロエ
豊饒の女主人で働いている店員
セリフでアーニャと差を出すためにクロエの語尾はひらがなで「にゃ」になります。
○ルノア
豊饒の女主人で働いている店員
○レフィーヤ
ロキファミリアの団員
漆原に惚れている。
バレンタイン、それは女性が男性にチョコレートを送る日。チョコレートの意味は日頃の感謝、そして恋心などといったいろいろな想いがこもっている。しかしそれはリア充に限った話でありモテない非リアにとっては迷惑な話なそんな日である。そんなバレンタインの真っ最中の2月14日に漆原はシルに話しかけられる。
「半蔵さん!バレンタインって知ってますか?」
「バレンタイン?」
「はい、そうです!実はここ数年でオラリオで流行っている文化なんですよ」
「………こっちにもそんなのあるんだ」
「こっちにも?」
「いや、なんでもないよ」
「こっち」というのは漆原がこの世界に来る前にいた日本のことだろう。とっさに言ってしまった言葉を誤魔化す。シルは怪しいと思いながらキレイにラッピングしてある箱を漆原に渡す。
「はい、どうぞ。バレンタインのチョコです」
「うん、ありがと」
「さぁーて、今日も一日頑張りましょう!」
「は〜い」
漆原が素直に礼を言うとシルは腕を上に掲げて張り切りながら言う。漆原はめんどくさそうに答えた。漆原はすぐに制服に着替えて部屋から出て仕事場に出勤する。漆原の住んでいる場所は豊穣の女主人にある部屋を一室を借りて暮らしている。
「半蔵、朝から元気ないニャ〜」
「……アーニャは朝から元気すぎだよ」
「とりあえず、おミャーは早く注文でもとってくるニャ」
「はいはい」
朝から元気なアーニャに仕事を急かされた漆原はめんどくさそうに客に注文を取りにいく。それから1時間後、異変は起きた。
「…………なに?」
マニュアル通りに注文を取り、去ろうとする漆原の腕を掴まれる。漆原が振り向くとそこには犬人が顔を赤らめながらこちらを見つめながらパックから小さな袋を漆原に差し出す。
「こ、このチョコを受け取って!」
「ああ、うん」
「それじゃあさようならーーーーーー 」
漆原が渡された小さな袋を見つめていると豊穣の女主人の店のどこかからコップがまるで割れたみたいパリンと音が聞こえる。
☆☆☆
レフィーヤは豊穣の女主人に一人で来ていた。もちろん目的は漆原に会いに来るためと、バレンタインのチョコレートを渡すためでもある。
意外にもほとんどの場合、漆原からレフィーヤに話しかけている。普通に考えれば仕事中の人間は忙しくて話すことなどできない。しかし漆原の場合は違う。漆原は基本的に仕事をマニュアル通りにしているだけなので「いらっしゃいませ」という言葉にさえ、やる気はない。そのため仕事中はボーッとしていることが多いため、話せる相手であるレフィーヤがいるといないでは大きな違いがある。
そんな中、レフィーヤはいつも通り漆原をうっとりとした顔で見つめていると衝撃なことが起こる。それは犬人が漆原に小さな袋を渡すではないか。レフィーヤは持っていたコップを思いっきり握りしめて割ってしまう。そしてレフィーヤは意気消沈してしまう。そんなレフィーヤを心配してシルは話しかける。
「………………」
「あの、大丈夫ですか?」
「ご、ごめんなさい。コップ、割ってしまって」
「いえ、大丈夫ですよ」
慌てて謝るレフィーヤにシルは大丈夫と落ち着かせる。レフィーヤが落ち着くまでに10秒ほどかかる。レフィーヤは今一番、気になっていることをシルに質問する。
「と、突然申し訳ないんですが漆原さんってモテるんですか?」
「……半蔵さんですか?そうですねぇ……」
レフィーヤの質問にシルは少し悩みながら答えようとすると
「半蔵はまぁまぁの美少年だからモテると思うニャ!」
「そしてあのお尻は天下を狙える可能性があるにゃ!」
「半蔵は結構モテるじゃない?ああいうのが好きそうな人は少しはいるでしょ」
最初からアーニャ、クロエ、ルノアの三人がとびだしてくる。レフィーヤは驚くがシルはいつものことですといった表情をしている。戸惑っていたレフィーヤだったがすぐにルノアの言っていた好きそうな人という点のことが気になり質問する。
「う、漆原さんのことが好きになる人って共通点でもあるんですか!?」
「……半蔵ってすごいわがままでしょ?」
「そういえばそうだニャ!すっごいわがままだニャ!」
「あんたがそれは言えないと思うけど…………わがままっていい風に言えば甘えるって意味にも繋がると思うの。世の中には人に甘えられたり、頼られた時に幸せを感じる人もいると思うのよね。多分だけど半蔵にチョコを渡してたあの犬人もそのタイプだと思う。それに半蔵も甘やかしてくれる人が好きだと思うかな」
ルノアが自慢げに推理を話していると流石にミアにバレてしまい強制的にアーニャ、クロエ、ルノアの三人は仕事に戻る。シルはもちろんミアが気づく前に仕事に戻っていた。残されたレフィーヤは注文していたサンドイッチを口に運ぶ。
★★★
漆原はミアに友達と話してきなという優しさの言葉を言われレフィーヤが座っているカウンター席の隣に座る。
「レフィーヤ、おはよう〜」
「お、おはようございます」
「……レフィーヤ、なんかいつもよりモジモジしてない?」
「そ、そうですか?いつも通りだと思うんですけど」
「そう?」
嘘である。レフィーヤはさっきの話を聞いていつもより顔を真っ赤にしながら漆原に上目遣いで問いかける。
「あ、あの漆原さん。あ、甘える相手がいないなら私に甘えてくれてもいいんですよ?」
「…………は?」
「……………やっぱり無理ですーーーー!!!」
レフィーヤはあまりにも恥ずかしかったのか漆原が座っているカウンターの上にサンドイッチ代だけ置いて走って店から出て行った。
「まったくいつ見ても飽きないなぁ………ん?レフィーヤの忘れ物かな」
漆原が見つけたのはキレイにリボンでラッピングしている箱だった。今度、レフィーヤが来た時に渡しておこうと考えて持つとリボンと箱で挟まれていた紙が落ちる。拾い上げるとそこには「漆原さんへ」と書かれているメッセージカードだった。
『漆原さんへ
あなたにチョコを送ります。日頃の感謝を込めて。レフィーヤ・ウィリディス』
「……せっかくだし食べようかな」
漆原が食べているチョコレートは一見するとどこにでもある普通のチョコレートだが本当はレフィーヤの手作りでたくさんの想いがこもっている特別なチョコレートだ。
一方、ロキファミリアの本拠地である黄昏の館でレフィーヤは自室のベッドで頭を抱えながら後悔するのであった。そしてチョコを忘れたことを思い出すまであと数秒………
違うんです。聞いてください。バレンタイン終わったやんけと思うじゃないですか?……その通りです。もう終わってしまいました。まぁ、でも2月中に出せて良かったです。しかしこの話を執筆している最中に気づいたんですが地味にアーニャ、クロエ、ルノアがこの作品で出るのって初めてなんですよね。まさか初登場が番外編になるとは思いませんでした。そしてやっぱりタイトルは思いつきませんでした。
お読みいただきありがとうございました。