駄天使がオラリオに行くのは間違っているだろうか   作:梅無し

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漆原半蔵
風紀委員長

レフィーヤ・ウィリディス
風紀副委員長

ナァーザ
化学部部長


私立迷宮都市学園

 

 

 

 

ここは私立迷宮都市学園。今日も忙しく風紀副委員長であるレフィーヤ・ウィリディスは風紀委員室で作業をしていた。その一方で仕事に手をつけず、椅子に座りながらスナック菓子を食べて音を鳴らしている紫髪の少年がいた。

 

「副委員長、今月の遅刻者のリストです。判子をお願いします」

「わかりました。拝見しておきます」

 

風紀委員の生徒はレフィーヤに書類を渡すと風紀委員会室を出ていく。この部屋に残っているのはレフィーヤと紫髪の少年だけだった。レフィーヤは先程から紫髪の少年が鳴らしているスナック菓子を食べる音にイライラしたのか机をバンッと叩く。さすがに紫髪の少年も驚いたのかお菓子を食べる手を止める。

 

「急にどうしたの、ウィリディス?」

「あなたこそ風紀委員会室でのお菓子を食べるのダメって言いましたよね!?漆原委員長!」

 

レフィーヤが副委員長ならばもちろん委員長が存在する。その風紀委員長というのが漆原半蔵であった。なぜ取り締まる側ではなく取り締められるような男が風紀委員長になれた理由はこの学園の七不思議の一つと言われている。そんな漆原はレフィーヤに言い返す。

 

「別にいいじゃん。僕の勝手でしょ?」

 

漆原のあまりにも適当な答えにレフィーヤは怒りが爆発したみたいに叫ぶ。

 

「あなたはいつも適当です!判子を押すのも漆原委員長の仕事なのに私がやってるじゃないですか!?」

「どうでもよくない?誰が判子を押すなんてこと………それより飲み物ない?お菓子食べてたら喉乾いてきたよ」

「漆原委員長ーーーーーー!!」

 

さらに怒りが爆発してレフィーヤは漆原へと詰め寄っていく。漆原はレフィーヤを見つめながら気だるげそうに言う。

 

「ごめんごめん」

「わ、わかればいいんですよ!………それじゃあ少し飲み物を買ってきます。……ついでに買ってきてあげますから何か飲みたいものはありますか?」

「え?本当!?それじゃあねぇ、炭酸ならなんでもいいよ!」

「……わかりました。それじゃあ大人しく待っててくださいね」

「ありがとう、ウィリディス!」

 

フッと笑いながらお礼を漆原が言う。レフィーヤは「どういたしまして」と返すと財布を持って風紀委員会室から出ていく。漆原はレフィーヤが出て行ったドアを見つめて呟く。

 

「あ、お金………後で渡せばいっか」

 

 

★★★

 

 

風紀委員会室を出たレフィーヤは屈んで胸に手を当てると鼓動がいつもより早く感じ、胸が痛いと思いながら呟く。

 

「きゅるるん☆………漆原委員長と話せるなんて嬉しいです!前に会話したのは1週間も前のことですからね。……………それにあの最後の笑顔、あれは反則ですよ」

 

これが二つ目の七不思議である。あの真面目なレフィーヤ・ウィリディスが不真面目な漆原半蔵に惚れてしまっていることだ。しかし今ではちゃん話せているが最初の頃はレフィーヤが恥ずかしがってまともに会話もできなかったのだ。

 

その頃、漆原は天井を見ながら空に言葉を投げかける。

 

「喉乾いたなぁ〜。ウィリディスはまだかな」

 

漆原はレフィーヤを待っている間、風紀委員会室を見渡しているとある物を見つける。

 

「これってジュース?」

 

漆原の視線の先にはペットボトルに入ったジュースらしきものがあった。漆原はすぐにペットボトルを取り、匂いを嗅ぐ「あ、いい匂い………ちょっとだけならいいよね」と呟くと少し飲んでしまう。すると漆原の身体は光り輝く。

 

「はっ!?」

 

 

★★★

 

「……よし、漆原委員長ただいま戻りましたよー……え?」

 

レフィーヤはお茶と炭酸飲料水を手に持ちながら風紀委員会室のドアを開けると

そこには漆原半蔵ではなくその人物に似た紫髪の子供がいた。

 

「えっと、あなたは誰ですか?」

「……人の名前を聞くときは自分からってママに習わなかったの?」

「ご、ごめんなさい。私はレフィーヤ・ウィリディスです。」

「僕は漆原半蔵だよ」

「……………え?漆原委員長!?」

 

レフィーヤは自分のことを漆原半蔵と言う子供に驚かされていた。レフィーヤは驚きながらも子供をジロジロと見つめる。そんな時だった、風紀委員会室のドアがコンコンとノックされる。その瞬間、レフィーヤはすぐに子供を机の下に隠れるように催促する。子供はレフィーヤの勢いに負けてめんどくさそうに机の下に隠れる。

 

「ど、どうぞ」

「し、失礼します。」

 

入ってきたのは先程、レフィーヤに書類を渡した風紀委員の生徒だった。風紀委員は入ってすぐ机に置いてあったペットボトルを見て焦った表情で叫ぶ。

 

「あ、あの副委員長!この飲み物飲んでませんよね!?」

「そのペットボトルですか?もちろん飲んでませんけど……どうかしたんですか?」

 

風紀委員はレフィーヤの返答を聞いて安心して説明を始める。

 

「実はこれ化学部部長から没収したものなんですよ」

「………化学部部長から?」

「はい、なんでもこれ、『ワカガエール』っていうらしくて飲むと子供になるそうです……よって危険と判断して没収しました」

「そ、そうですか………ってまさか!?」

「ど、どうかしたんですか?」

 

レフィーヤはすぐに先程、自分が机の下に入れさせた漆原の方を振り向く。そうそのまさかである。漆原は喉の渇きを我慢できずにジュースだと思ってワカガエールを飲んでしまったのだ。そしてもし漆原がこの薬を飲んで子供になったことが周囲にバレた時の最悪な状況が脳裏に浮かぶ。化学部が作った薬品を没収しておいて風紀委員会はそれを使って遊んでいると思われてしまうかもしれない。これは風紀委員会の信用に関わる問題である。レフィーヤは覚悟する。この秘密を守り通すことを。

 

「………とりあえず、この没収品は私が処分しておきます」

「わかりました。お願いします!」

 

風紀委員はレフィーヤにお礼を言って風紀委員会室から出て行く。レフィーヤは風紀委員が出て行くのを確認すると「出てきていいですよ」と声をかける。すると漆原はすぐに机の下から出てくる。

 

「 ねぇ!長いよ!」

「ご、ごめんなさい。それじゃあ、漆原委員長……じゃなくて漆原くん、ちょっとここで待っててもらえるかな?」

「え〜、暇だよ」

「………お願いします!あとで唐揚げ、作ってあげますから!」

「え?レフィーヤ……唐揚げ作れるの!?……なら少しだけ待っててあげるよ」

 

レフィーヤは知っていた。漆原が唐揚げを好きだということを。これさえ分かっていれば子供になった漆原を制御するのは簡単だとレフィーヤは確信していたのだ。しかし残念ながらレフィーヤは瀕死状態だった。いくら子供になっているとはいえ片思いの相手に今まではウィリディス呼びだったのが名前で呼ばれるとは思っていなかったからだ。レフィーヤはすぐに意識を取り戻し「待っててくださいね」と言って風紀委員会室から出て行く。

 

 

★★★

「それで……何用?」

「私が聞きたいのはこのワカガエールを飲んだ人はどうやったら元に戻れるんですか、化学部部長のナァーザさん?」

 

レフィーヤは漆原の姿を元に戻すためにワカガエールを作った張本人に会いにきていた。

 

「……なんでそんなことわざわざ聞きにきたの?」

「あの薬に対して興味が湧いたんです」

「……………もしかして私からあの薬を没収したあと、風紀委員の誰かが飲んだの?」

「ま、まさかそんなわけな、ないじゃないですか!?」

 

ナァーザの確信付いた質問にレフィーヤは動揺して挙動不審になってしまう。そんな様子を見て、ナァーザはニヤニヤしながらとあるペットボトルをバックから取り出して話し始める。

 

「……戻るのは簡単。このオトロエールを飲めばワカガエールで若返た分、歳をとる。」

「え、そうなんですか!……そのオトロエールを譲っては頂けませんか?」

 

ナァーザが「別に構わない」と言うとレフィーヤは嬉しそうに薬を受け取ろうとするがいつまでたってと薬はレフィーヤに渡されない。

 

「ナァーザさん?」

「この薬を譲ってもいいけど、そのかわりこれから化学部のすることにあまり手出しをしないでほしい………例えば今回のように薬を没収するなんて絶対にやめて」

「わ、わかりました」

「その言葉、忘れないでね」

 

レフィーヤの了承の言葉を聞くとナァーザは嬉しそうに薬を渡す。レフィーヤは「ありがとうございました」と礼を言って化学室から出て行く。ナァーザは忘れてたという表情で呟く。

 

「即効性じゃないって言うの忘れてた」

 

 

 

★★★

 

「漆原くん、ただいま戻りました」

「あ、おかえり。レフィーヤ」

「きゅるるん☆………また名前呼び!そしておかえりという言葉!……ただいまです……」

「?……急にどうしたの?」

「いえ、なんでもありません。」

「それじゃあ、レフィーヤ!唐揚げ作ってよ!」

「わかりました!約束ですしね」

 

もう少し楽しんだ後でも、戻ればいいとレフィーヤは考える。しかしこの後、レフィーヤは家で薬を漆原に飲ましたが残念ながら戻ることはなく、仕方なくレフィーヤの家に泊めて寂しがっていた漆原と一緒の布団で寝ることになるか朝、漆原の身体が元に戻り、目が覚めたレフィーヤの悲鳴が家の中で響き渡っていたことは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これはダンメモというアプリのイベントにあったネタですね。このイベントでレフィーヤって思った以上にポンコツ(褒め言葉)だと思いました。

お読みいただきありがとうございました。
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