豊穣の女主人で働いている店員
ついにニートをやめた
○シル・フローヴァ
豊饒の女主人で働いている店員
○リュー・リオン
豊穣の女主人で働いている店員
元冒険者
○ミア・グランド
豊穣の女主人のおかみ
○ベル・クラネル
駆け出しの冒険者
アイズに惚れている
○ロキ
神様
○ベート・ローガ
ロキファミリアの団員
○フィン・ディムナ
ロキファミリアの団長
漆原半蔵が迷宮都市オラリオに来てから1ヶ月がたった現在、日本ではニートだった彼も今は立派?に豊穣の女主人でウエイターとして働いていた。
「ミア、疲れた〜休憩ちょうだい」
「さっきまで休憩してただろ!早く働きな!飯抜きにするよ!」
「わ、わかった。は、働けばいいんでしょ」
漆原は文句を言いながら皿を洗っているとエルフの女性が漆原の横に立ち、水につけてある皿を拭いていく。この女性の名前はリュー・リオン、元は冒険者だが今はこの豊穣の女主人のウェイトレスとして働いている。手伝ってくれたリューに漆原はお礼を言うべきか悩んだ末に言おうと思った瞬間
「勘違いをしないでください。あなたの仕事である皿洗いを私が手伝っているのはあなたがやっていては時間がかかりすぎるからです」
「……目玉焼き一つ作れないくせに」
「何か言いましたか?」
「……別に」
「あと、今からは気合を入れた方がいい」
「なんで?」
「これからロキファミリアの団体客が来ます。忙しくなりますよ」
リューは漆原にそう告げると黙々と皿洗いを続ける。漆原はポカンとした顔になってしまう。漆原は元ニートであり肉体労働は好まない。今の時点でもう限界なのにこれ以上となるともう逃げ出したい気分だろう。しかしそんなことはミアは許さない。漆原の頭の中はどうやってサボるか……ただその一つだった。
★★★
漆原が皿洗いを終わらせて周りを見渡すと自分をこの店に連れてきた張本人、シル・フローヴァが目が赤い白髪の少年と会話をして仕事をサボっているのを見かけた。漆原はあの場に行けば自分も仕事をサボれると確信してシルに話しかける。
「何してるの?」
「あ、半蔵さん。皿洗いは終わったんですか?」
「うん。リューが手伝ってくれたからね。」
「そうですか。あ、紹介しますね、ベルさん。この人は豊穣の女主人で唯一のウェイターなんですよ。」
「そ、そうなんですか。僕はベル・クラネルです。よろしくお願いします」
「僕は漆原半蔵……よろしく」
漆原とベルが自己紹介をしているとなぜか他の客たちがざわめき始める。
「ねぇ、シル。何があったの?」
「ロキファミリアが来店したんですよ。……ってベルさーん?」
シルが急に様子がおかしくなったベルに困った顔で接している中、漆原はただロキファミリアを見つめていた。しかし漆原がサボっていられるのもこれまでだった。なぜなら後ろから溢ればかりのミアの殺気が漆原を襲っていたからである。
「半蔵!ボーッとしてる暇があるならさっさと注文を取りに行ってきな!」
「はーい」
漆原は素直にミアの命令を聞き入れロキファミリアの元へと歩いていく。漆原は注文を取っていく。すると胸が全くない関西弁で喋る女性(神)に話しかけられる。
「男も雇ってるんか?」
「は?急に何?」
「いやいや珍しいと思ってなぁ、こんなべっぴんな女の子だらけの店で1人だけ男が混ざっとるなんて」
「別にどうでもいいでしょ。それより注文は?」
「気分を悪くしたならごめんなぁ、注文は〜とりあえず酒で!」
漆原は注文を取ったあとすぐにその場から離れる。それから少し時間が経ったあとロキファミリアたちが座っている席あたりから大きな笑い声が聞こえた。
「そうだ、アイズ!お前のあの話を聞かせてやれよ!」
この獣人ベート・ローガの話をまとめるとダンジョンの17階層にいたミノタウロスが5階層まで逃げその時にアイズ・ヴァレンシュタインが助けた冒険者がアイズに怯えて逃げてしまったらしい。冒険者のほとんどは笑っている。しかしベルは違っていた。なぜならこの冒険者とはベルのことだからである。ベルは立ち上がり店から走って行ってしまう。
「あぁン?食い逃げか?」
「うっわ、ミア母さんのところでやらかすなんて……怖いもん知らずやなぁ」
「ベルのやつ何やってんの?」
漆原は怖いもの知らずだなぁと思いながら仕事を再開しようとするが
「半蔵……探してきな」
「ベルを?なんで僕が?」
「いいから行ってきな!」
「……あのさぁ、ミア……この店においてくれてることに関しては感謝してるけどあんまりめんどくさいことは頼まないでよね」
この瞬間、漆原から殺気が放たれた。その殺気に気づけたのはミアも入れて少ないだろう。だがミアはまったく怯えずに言う。
「行かないなら明日は飯抜きだよ」
「行ってきまーす」
漆原はミアの悪魔とも言える脅しに屈してすぐさま店から出ていく。漆原が出て行ったあと、ロキファミリアの団長であるフィン・ディムナはミアに漆原のことについて疑問をぶつける。
「ミア、彼は何者だい?」
「さぁねぇ、私もよくは知らないんだよ。シルが連れてきただけだからね。」
「そうなのかい?」
「まぁ、ただ一つだけ言えるのはあいつはこの店の大事な従業員だよ。」
このあと漆原は結局、ベルを見つけることはできずミアに怒られはしたが飯抜きは免れた。
お読みいただきありがとうございました。