クレストが兎と出会うのはまちがっているだろうか   作:立花・無道

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お久しぶりです。
此方の小説を投稿するのは、本当に久しぶりなのでまずは、謝罪させていただきます。
投稿が遅れて申し訳ありません。
どうかこれからもよろしくお願いいたします。

戦闘描写は難しいですね...


兎と怪人

最恐の拳が、ベル・クラネルの眼前へと迫る。常人では反応さえできない速度と、防ぐことを不可能とすら思わせる破壊力。だか、少年は拳を苦もなくさばき切っていた。

それを見ていた剣姫(アイズ)はまるで、目前の空間、その時間だけが止まっているような錯覚を感じていた。

 

 

 

 

 

赤髪の女調教師(テイマー) レヴィスは自らの拳が空を切り続けていることに、怒りを覚えていた。的確に急所を狙った必殺の拳打はただ当たらないのではなく、黄金聖衣を纏ったベルの身体を()()()()()()()()()()

 

「何故だ!何故っ、当たらん!!」

 

レヴィスの叫んだ瞬間、少年の姿は目の前から消えていた。すぐに彼女は後ろに移動した気配に気づき、振り向きベルを睨み付ける。

 

「残念だが、貴女の力量では私に傷を負わせることはできない。」

「っ...!思い上がるなぁ!冒険者!...ビオラス!!」

 

激昂するレヴィスの声に反応して、食人花が2体現れる。地中、下階層からの召喚だった。

 

「フッ...ハァ!」

 

その2体を、ベルは腕を一閃しただけでに凍り付かせる。その光景にレヴィスとアイズは目を見開く。

 

「バカな!...」

 

そして、その一瞬がレヴィスにとって致命的な隙となる。

 

「モンスターを気にする前に、自分の心配をしたらどうだ?」

 

レヴィスは声が左から聞こえたきた瞬間、自らの左腕に違和感を感じとる。

 

「ダイヤモンド・ダスト」

「な!?...ぐッ!」

 

タイムラグなしの凍結攻撃を受けたレヴィスがベルを見ると、彼は右手の掌を此方に向けて構えていただけだった。

 

「(バカな!()()()()()()()()()()()()()()()()()使()だと!?)」

 

ベルの持つ力を知らぬレヴィスが、彼の技を見て魔法を放ったと真っ先に考えたのは当然と言えた。

 

「ガハッ!!」

 

追撃として、ベルの高速の蹴りがレヴィスの腹に突き刺さる。そのまま彼女は、何が起こったのかを理解する前に蹴り飛ばされ、後ろにあった岩を破壊して前のめりに倒れこんだ。

頑強な彼女にとって、自らがダメージを受けていることが信じられなかった。

そんななか、ベルはレヴィスの前まで歩み寄ると同時に問いかける。

 

「さて、貴女は何者だ?なぜ彼女を襲った?」

「話すと..思うか?」

「ふむ、ならばこのまま捕縛しよう。尋問はギルドに任せてな...」

「っつ!ヴィオラス!!」

「新しい食人花!...危ない!!」

 

咄嗟にアイズは叫んでいた。

レヴィスの声に、更に現れた食人花の群れは一部がレヴィス自体を取り囲むように動き出す。

アイズの声を聞くより早く、ベルはそれに巻き込まれないように、後ろに向かって跳んでいた。

だが、さらに沸き出る食人花は、まるで高波のようにベルへと向かって行った。

 

「(ダメ...回避できない!)」

 

アイズは食人花の波が、黄金の少年を飲み込まんとする光景を、まるで走馬灯を見るような心持ちで視ていた。

だが、そんな心配とは裏腹に、ベル・クラネルは着地すると同時に、両手を頭上で組む。

少年の胸中には迫るモンスターへの恐怖はなく、焦りもなかった。彼の胸中には、最大の一撃にて迎撃を行う意思だけが存在していた。

一瞬にも充たない時間で、ベルは小宇宙を自身の臨界へと上昇させる。それに比例して周りの温度は低下していく。岩や草木は凍りつき、空気中にできた氷の結晶は、18階層の水晶から光を浴び煌めく。

周囲の環境を変えるほどの()が、解き放たれる。

 

A・E(オーロラ・エクスキューション)!!』

 

アイズの視界は、白銀に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

椿とのダンジョン探索の帰路、冒険者の町(リヴィラ)に向かう途中で、僕らは町の方角から煙が上がっているのを視認した。

 

「町から煙か...モンスターにでも襲われたか?」

「ああ...だが、ただのモンスターではないらしい。」

「何?」

 

怪訝そうに眉を潜める椿に僕は言葉を返さずに、正面を見つめる。そこでは、巨大な蛇のようなものが微かに見えた。

 

「蛇、いや巨大蛇(メガロオプス)と言ったところか...」

「いや、どうやらただの蛇ではなく花のような花弁を持っているようだ。」

 

僕と同じように煙が上がり、怒号が聞こえ始めた方角を見ていた椿の言葉に、「なぜ?」そんなモンスターが急に現れたのか考える。

 

「(異常事態(イレギュラー)としてモンスターの大量発生はありうるが、こんな場所で大量発生するモンスターを椿が知らないのはおかしい。つまり、この周辺階層のモンスターではなく下層域のモンスター...)」

 

そこまでモンスターの出所に目星をつけたところで、、冒険者の町(リヴィラ)から、わずかにずれた場所が爆発した。

 

「モンスターと爆発か、今日は随分と物騒だな。」

「言っている場合か、椿!私は爆発の場所に向かう。町の方には君が行ってくれ!」

「了解した!死ぬなよベル!」

「お互いにな!」

 

彼女の激励に返答すると、すぐに僕は高速での移動を開始する。

途中のモンスターに構わず、爆発のあった地点をまっすぐに目指した。

 

「(なんだ?爆発の地点から何かが盛り上がってきている?)」

 

視線の先には緑の塊が巨大化していく姿。目的地まで数十秒と迫った僕は、背に汗が伝うのを感じてさらに加速した。

 

「(まるで先生から聞いた巨人(ギガス)だな...)」

 

標的を巨人に変更しようとした瞬間だった。少女が視線の先で水晶の壁にたたきつけられたのは...

そのまま仰向けに倒れた少女に殴りかかる赤髪の女性を見て、僕は何も考えずに()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ?」

「なに...?」

 

聞こえてきたのは、少女と女性の困惑の声。

僕は女性の手首をつかみ取り、攻撃を中断させていた。

さらに、困惑している女性を腕力のみで投げ飛ばす。

 

「ぐっ!?」

 

動揺しながらも着地に成功した女性は、僕を睨みつけながら忌々しそうに掴まれた右手をさする。

 

「何だ?貴様は...」

「人にものを訪ねる時は、自らの名を口にするのが礼儀と言うものだ。」

「くだらんな、戦場で敵に礼儀を説くとは...何者かは知らんが、邪魔をするなら死ね。」

 

その言葉と同時に彼女は踏み出していた。だが、遅すぎる...

僕はその攻撃を避け、彼女の後ろをとった。

 

「なんだと?!」

 

赤髮の女性は、自身の速さを僕が容易に見切ったうえで後ろをとられたことに驚いている。常人であれば視界に映ることなく粉砕されるであろう一撃に、僕はこの女性が怪物(人外)であることを理解した。そして、その力を人間へと容赦や情けなどなく振り下ろす。最早、人の形をした何かだと本能で感じ取る。

 

「どうやら、少しはやるようだな。」

 

その言葉を合図に、彼女は攻撃を再開する。

僕に向かっての連撃、常人では回避の時間すらない暴力に対して、僕は光速でそれらの攻撃を避け続ける。

 

「何故だ!何故っ、当たらん!!」

 

当たれば必死となるであろう連撃を避け続ける僕に、彼女は苛立ちを込めた叫びをあげる。

数秒間の攻防を終え、数歩分の距離をとった僕は光速での移動を解き、肩で息をする彼女に声をかける。

 

「残念だが、貴女の力量では私に傷を負わせることはできない。」

「っ...!思い上がるなぁ!冒険者!...ヴィオラス!!」

 

彼女の叫びに呼応して現れたのは、花のような蛇のような2体のモンスターだった。

彼女の激昂を表すように、真っ直ぐに僕めがけて襲ってきたが、無策でけしかけたモンスターなどに恐怖を感じなかった。

 

「フッ...ハァ!」

 

素早いが直線的な動きに対して、凍気を込めた腕を振り抜くことで、凍りつかせた。さらに、次の光速移動を開始する。

 

「バカな!...」

「モンスターを気にする前に、自分の心配をしたらどうだ?」

 

横に一瞬で移動した僕に、彼女は驚きを露にする。その致命的ともいえる隙に対して、言葉をかけると同時に僕は技を放った。

 

「ダイヤモンド・ダスト」

「な!?...ぐッ!」

 

半身を凍りつかせた彼女に、僕は油断なく追撃として蹴りを見舞った。そこで感じたのは、まるで岩に触れたかのような重厚感と真逆な手ごたえの浅さだった。

 

「ガハッ!!」

 

蹴りによって吹き飛び、岩を破壊した彼女は前のめりに倒れこんでいた。

あの程度では終わらない。確信のあった僕は、最大限の警戒を持って彼女に近づく。

 

「さて、貴女は何者だ?なぜ彼女を襲った?」

「話すと..思うか?」

「ふむ、ならばこのまま捕縛しよう。尋問はギルドに任せてな...」

「っつ!ヴィオラス!!」

 

1歩踏み出そうとした瞬間に、地面から現れるであろう先ほどのモンスターを想像して、僕は反射的に後ろに跳んでいた。だが、その行動をすぐに後悔した。

現れた()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。光速移動に即座に移行しなかったことで、群れから分かれたモンスターが女性を中心にとぐろを巻き、隠すまでの隙を与える。

内心で自身への不甲斐なさを抱きながらも、向かってくるモンスターの群れへと意識を切り替える。

僕は着地すると同時に両手を頭上に掲げていた。

 

「危ない!!」

 

後ろから聞こえてきたのは、先ほどの金色の少女の声だろう。見ず知らずの人物に心配を抱かせたことも、僕にとっては反省すべきことである。せめて、彼女やこの階層にいる者たちをを守りぬこうと思いを込めて、僕は小宇宙を燃やす。高まる小宇宙とは逆に周囲の熱を奪いながら、下がり続ける凍気は周りを霜に覆っていく。

 

僕は小宇宙が臨界に達した瞬間、頭上の組み手(水瓶)を振り下ろす。

 

 

 

A・E(オーロラ・エクスキューション)!!』

 

 

 

そして、世界は白銀に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「逃がしたか。」

モンスターの氷像を砕いた先の地面には、大穴が開いていた。半身を凍らせていたため、おそらくモンスターの口の中に入って土中を移動したのだろうと推測する。

「あ、あの...」
「君は...無事だったか?」
「うん、ありがとう。助けてくれて...」

金色の髪をなびかせる少女は、礼を言うと俯いた。

「ごめんなさい。巻き込んで...」
「謝らないでくれ。私が勝手に割り込んだだけだ。それよりも君の名前は?」
「アイズ...アイズ・ヴァレンシュタイン」
「私はベル、ベル・クラネルだ。」

ここに黄金の2人は邂逅を果たす。
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