緋の眼ではありません   作:トサキント

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[壁]_・)チラッ


1話

 暗くて狭い。しかし嫌な感じはしないし逆に心地いいくらいだ。

 ドクン、ドクンと心臓の音が聞こえてくる。しかし自分の心臓のリズムとそれがリンクしていないことが分かる。

 つまりこれは自分自身の心臓の音ではないということである。しかしながら暗くて自分以外に誰かが近くにいるのか分からないし、体も動かすことができなかった。

 そんな中唐突に頭に声が響いてきた。なかなかに重厚感のある声で私に語りかけてきた。

 

『最初の食事だ。喰らえ』

 

 その声に対して疑問に思うこともなく眼に力が入る。不思議な感覚だ。力がみなぎってくる。

 その感覚に酔いしれながら衝動の赴くままに力を解放した。

 

「ぎぃいやぁああい“た”い“い”た“い”!!」

 

 響く絶叫。

 眼に何かが力のみなぎる何かが入ってくる。

 しばらくすると視界が明るくなり周りが見えるようになった。

 最初に目に入ってきたのは何かに腹を喰い破られたようになくなっている女性。

 先ほど聞こえてきた絶叫は彼女のものだろう。この世のすべての苦しみをその身に体現したような表情でこと切れていた。

 次に目に入るのは血に染まった自分の体。

 そこで理解する。

 この女性は私の母親であり、そして私が腹を食い破って出てきたんだと。

 しかしながら疑問に思うこともある。

 私が今生まれたばかりあるのは事実であるが、どう考えても私の体の大きさ生まれたばかりの赤子には見合わないのである。

大体3歳児くらいだろうか?

 生まれた瞬間に3歳児ぐらいまで成長したとでもいうのだろうか?

 また、自分の母親を殺してしまったというのに何の感情もわかない。

なぜか自分の中であれは自分よりも下等な存在であり自分の糧である以外の認識が浮かばないのである。

この人の腹の中にいたときは心地良さすら感じていたというのにである。

明らかにおかしい。あの声が響いてきてから私はおかしくなってしまったのだろうか。

そんな不安に駆られながら辺りを見渡す。

幸いここは家の中であるようなのですぐに人に見つかる心配はないと思いたいが、それは楽観しすぎだろう。

人の死体というのは腐敗すると強烈なにおいを放つ。

 また、ハエが沸きすぐに大変なことになってしまうのである。

 なので迅速な対応が必要になってくるのである。

 どうやって処理しようかと考えるが今の幼児の体では大人の体を運ぶことはできないし、どうすることもできない。

 これは三十六計逃げるにしかずと思い今いる家の窓から人がいないか確認する。

 すると幸運?なことに周りに人はおらず、しかし他の家も見当たらない。

 あるのは木、木、木。

不可思議なことに森の中にこの家が一軒だけ建っているという状態だった。

 これでは逃げようにも私自身が遭難してしまうかもしれない。

それはこの幼児の体ではかなり厳しいだろう。

一旦冷静になろう。

ここは人がいないし急いで逃げる必要性はなくなった。

まずは、この家に常備されているであろう食料の確認が先だろう。

そう思い食料の確認をしようとあたりを見渡すと全裸で血に染まった自分自身が鏡に映る。

そこには黒髪のかわいらしい男の子が映っていた。

将来はイケメンだろう。

しかし、そんなことよりも赤く輝く自分の眼に視線が吸い寄せられた。

白目の部分は変わらずに瞳が赤く中心部分は十字模様が浮かんでいる。

完全に[殲滅眼/イーノドゥーエ]です。本当にありがとうございました。

少しキャラがぶれてしまったが仕方ない。

[殲滅眼/イーノドゥーエ]とは伝説の勇者の伝説というライトなノベルの登場人物が持つ魔眼の事である。

私の眼にこれがあるということは伝説の(ry)の世界に転生したということだろうか。

それは大変よろしくない。

なぜか?その世界では魔眼を集める奇特な連中がいるのである。

それだけならいいが(よくない)奴らは魔眼保持者から魔眼を収集するためにその命を狙ってくるのである。

なぜかって?殺してから奪うほうが楽だからだよ。

この眼を持っているだけで命を狙われるなんてまっぴらごめんである。

どうしようかと少し冷静に考えていると、視野が気持ち的に広くなり違うものが見えてきた。

体から湯気のようなものが立ち昇っているのが見える。

本能的にそれは失ってはいけないような気がして消えてしまわないように体にまとわりつくように意識する。

少し手間取ったが体にとどめることには成功することができた。

しかし、伝勇伝ではこのようなものはなかったと記憶している。

まあ、そこまで私も詳しくないので何とも言えないのだが。

しかしHunter×Hunterの念能力に似ているような気がしなくもない。

するとあれだろうか?私は伝勇伝の[殲滅眼/イーノドゥーエ]を持ってHunter×Hunterの世界に転生でもしたというのだろうか。

どちらも比較的命の軽い世界ではあるが、私的には断然Hunter×Hunterの世界の方がいい。どちらかというとHunter×Hunterの世界の方が生き残れる可能性が高いような気がする。

鏡から視線を外し何か情報を得られるものはないかと机へ目を向けるとそこには一つの新聞が置いてあった。

これは貴重である。

内容は、「今年のハンター試験は合格者がたったの2人」という見出しから始まっている。

ふむふむなるほど、ここはHunterの世界で間違いないようだ。

しかし、どうするか。

このままいけばこの世界のマフィアなどに私の眼を狙われるかもしれない。

なんせクルタ族の緋の眼を高額で取引するような奴らだ。見つかったら襲ってくるかもしれない。

今後の方針を決める必要性がある。

まず、この家から出て新しい拠点を作る。考えてみれば妊婦が一人でこんなところで住んでいるわけがない、誰かと一緒に暮らしているか世話をしてもらっているのは確実だろう。

次にこの眼である。なんとか抑える方法を見つけておきたい。人前で見せるのは危険だろう。

後は念能力を使えるようになることだろうか。

あるのとないのとでは雲泥の差があることは間違いないだろう。

これぐらいか。

せっかく転生したんだ。わざわざ死んでやるものか。徹底的にあがいてやる。

 

 

 

 

 

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