王の帰還 1
1954年にとある巨大生物が日本に出現、東京の各所を破壊するように進撃。
当時の防衛隊は総力を持ってこれにあたるが、悉くその巨大生物により壊滅させられる。
しかし科学者が自身の命と引き換えに使った「何か」によりそれから二度と現れなかった。
その生物の名前は古生物学者の山根博士により大戸島に伝わる伝説の怪獣「呉爾羅(ゴジラ)」と名付けられた。
それ以来その巨大生物は現れる事はなかったが、日本政府は極秘裏に『巨大生物特別対策部』通称『巨特対』を設立。当時の記録を基にその巨大生物の対抗兵器の開発、及び戦術の研究を始める。
日本政府は1954年11月3日を『ゴジラ東京災』と呼ばれ、その日の事を忘れないようにしていた。
それから62年後…遂に王が再び姿を見せる…。
2016年
太平洋
「……今の所は大丈夫だな?」
「はい、今の所何も以上はありません」
太平洋で一隻の原子力潜水艦が進んでいる。
この潜水艦には本国からある命令を受けていた。
原子力潜水艦「アルバコア」の艦長「ニッキ・ハワード」は「ふう…」と息をつく。
「ですが俄かには信じられませんね」
「ああ、だが上から命令を受けた時にはもう合計七隻も「MIA」になっている。バミューダトライアングルじゃあるまいし…」
「しかし妙ではありませんか?」
「何がだ副長?」
「沈められた七隻の内五隻が原潜で残り二隻が巡洋艦と原子力空母です、潜水艦ならまだしもなぜ空母や巡洋艦まで?轟沈されたとしても残骸位は見つかるはずですが?」
「確かに普通ではないな、だがそれを確かめるのが我々の任務だ」
「はい、艦長」
「それにしても海で原子力か…」
その言葉の後にニッキは在日米軍にいた頃の記憶を思い出していた。
日本にいた時の記憶と自衛隊で友人となった男の事を。
「どうしました?」
「いや、日本に居た時に『ゴジラ東京災』の事を思い出してな…」
「ゴジラって…あの?」
「ああ、そのゴジラだよまあ見たのは当時の映像だけだがあれは…」
「艦長!」
艦長が言いかけた時、潜水艦の乗り組み員の一人が呼びかける。
「艦長、ソナーに反応があります!」
「何?」
「これを…」
乗組員に促されて副長が確認する、そこには巨大な何かの影が映っていた。
「何だこれは?」
「わかりません、ですがこちらに真っ直ぐ向かってきています!」
「魚雷をいつでも発射できるようにさせろ!」
「総員戦闘態勢!」
副長の怒号と共に潜水艦の乗組員達も一斉に頭を戦闘モードに切り替える。
艦長が発見した乗組員に問いかけた。
「おい、接近しているものは何かわかるか?」
「今聞いていますが、その…潜水艦がだすような音じゃないんです。なんというか生物の心臓音のような…」
「馬鹿な、クジラよりもデカいぞコイツは!」
「副長、すぐに回避行動だ!」
「回避行動に移れ!」
それを聞いた乗組員はすぐにその影から離れようとする、だが…。
「駄目です艦長!こちらに目標を着けられています!」
「何!」
「やむを得まい、すぐに魚雷を発射させろ!」
「了解!」
艦長からの命令で素早く近づいてくる目標に向かって発射される有線誘導型魚雷。
そして魚雷が爆発する音が艦内に響いた。
「命中!」
「目標は!」
「駄目です、目標健在!」
「馬鹿な!」
「目標更に速度を上げてこちらに接近してきます!」
その報告に艦長は驚愕する。
魚雷をまともに喰らっても健在な上に更に速度を上げてこちらに接近してくるものが存在するのかと。
(新型の潜水艦?いやそれならわざわざ魚雷をまともに喰らわずこちらに向かって魚雷を発射してくるはず、新種の生物?あり得ない生身の生物で魚雷を喰らって生きているはずが……)
こちらに接近してくるものについて考えていると艦長は一つの存在を思い出した。
資料映像で見た、東京を地獄に変えた巨大生物………いや、『怪獣』を。
「まさか…」
「目標接近まで1000、500、300、100、50…!」
「総員対ショック姿勢!」
副長の言葉の後に乗組員は全員対ショック姿勢に入る。
そして次の瞬間凄まじい衝撃と振動が艦内を襲う。
乗組員は座席から放り出されたりするものの、全員命に別状はなかった。
「状況はどうなっている!」
「目標に組み付かれまれました、振りほどけません!」
「推力を最大にしろ!」
「無理です!最大でもビクともしません!」
「クソ!!」
「艦長!」
「今度は何だ!?」
自分を呼んだ乗組員の方を向く。
今の状況で全員顔面蒼白になっているが、その乗組員は一際青くしていた。
そして唇を震わしながら答える。
「動力が……原子炉の稼働率が低下しています!!」
それを聞いた他の乗組員は更に顔を青くさせる。
原子力潜水艦の動力源である原子炉の稼働率が低下していけば原子炉が停止してしまう可能性がある。それは潜水艦の停止、即ち乗組員全員の死にも繋がってしまうからだ。
艦長はすぐに原因の究明に急ぐ。
「何が原因だ!?」
「艦自体の損傷は軽微です、ですが原子炉の稼働率がどんどん低下していってるんです!目標に組み付かれている瞬間からです!」
「何……?」
艦長はその言葉を聞いていま自分たちに取り付いている『なにか』の正体に気づいた。
そして絶望する。
その『なにか』に。
「生き物が核燃料を吸収する?そんな馬鹿なこと……!」
「いや『ヤツ』なら出来る……」
「艦長…?」
「原子炉完全に停止しました!」
原子炉が完全に停止した為周りの乗組員は艦長の方に視線を集中させる。
「艦長、指示を!…艦……なんだ!?」
とたんに固い物にひびが入るような音が聞こえ始めた。
そして最悪なことにその音は段々と大きくなっていった……。
「か…艦に亀裂が!」
「こ、こうなったら魚雷をもう一度…」
バキィ…!!
しかしそう言っている内に一際大きな音が艦内に響く。
外側から突き破られたような音が…。
「海水が浸水してきます!」
「何とかならん…「ボゴン!」なんだ!」
「別方向からもさっきと同じ音が!」
そして外側から「メキメキ…」という音が段々と大きくなっていき、潜水艦内部も振動が起こっていた。
中に居る乗組員は混乱に陥っていたが艦長だけはひどく冷静だった。
「『ヤツ』めこの「アルバコア」の船体を引き裂く気だな…」
「なんですか奴って!艦長はこの艦に組み付いている物を知ってるんですか!?」
艦長の含みのある言葉に副長は艦長に噛みつく。
艦長の顔は顔中汗まみれで目は完全に恐怖に支配されていた。
今まで見たこともない艦長の顔に副長は驚く。
そして艦長はゆっくりと口を開いた。
「『ゴジラ』……」
「え……」
その瞬間、凄まじい音と共に艦内から巨大な手が突き破り中にいた船員ごと押し潰す。
そしてそのまま潜水艦を真っ二つに引き裂いた。
引き裂かれた潜水艦の残骸はそのまま奥深く沈んでいく。
潜水艦を引き裂いたモノは沈んでいく残骸を暫く見つめていく。
そしてゆっくりと口を開き咆哮を上げる。
グワワアァァァン!!
ゴジラ ~我は怪獣王~
第1章 王の帰還
雲一つない晴天の朝、とある家の家族は朝食を取る準備をしていた。テーブルには3人前の朝食が並んでいる。隣ではテレビのニュースが昨日の事が流れている。
『昨夜未明、太平洋にて謎の青い発光がありました、原因は不明で専門家からは新種の生き物の可能性も示唆されており……』
「へぇ~不思議な事もあるものね」
「ああ、だが本当に新種だったら学会は大騒ぎだろうな…」
生物学者の「尾形治仁」とその妻「未希」はテレビのニュースについて話している。
治仁は職業柄、激しく興味が湧いていた。
「やっぱり学者としては気になる?」
「そりゃあそうさ、生物学者として気にならないわけはないからね」
「そうね、悠~そろそろ起きなさ~い」
未希は自分の息子である「悠」を起こしに息子の部屋に向かった。
未希が部屋に向かった後、治仁は先に朝食を食べ始める。
「それにしても青い発光かぁ…」
そう喋っているうちにふと思い出す。
母がまだ生きてた頃を……。
『いい治仁?これは誰にも話してはいけない私とあなただけの秘密よ?』
あの日、大学の卒業の日に母に呼ばれたのを思い出す。
その日の母はいつになく真面目な顔をしていたのを覚えている。
『あなたがお父様と同じ学者を目指してくれて本当に嬉しいわ。だからこそ聞いてほしいの、あなたがもし何らかの事件で『ゴジラ』の研究に携わるようになった時に役に立つかはわからないし、信じられないかもしれないけど覚えていて欲しいの』
『過去に日本に現れたゴジラはもうこの世にいないの、あの人が命と引き換えにあの…』
「おはよう…」
回想に入っている途中に息子が起きてきたのを知り、息子の悠の方を見る。
起きたばかりなのか眠そうに眼をこすりながらも椅子に向かい、朝食を食べ始める。
「ん?ああ悠、おはよう。ガブの様子はどうだい?」
ガブとは2年前から悠が飼い始めている蜥蜴である。
治仁の影響で息子の悠も生き物好きで特に爬虫類が一番好きである。
「うん何も問題ないよ、いつも通り」
「そうか、そう言えば明後日の修学旅行の準備は大丈夫か?忘れ物は無いか?」
「うん、2回確認したから大丈夫だよ!」
「そうか、なら良かった。確かお前が行く島の名前は確か……」
「『大戸島』だよ!」
その大戸島はかつてゴジラが最初に出現した場所であり、ゴジラの名前の由来もこの島に伝わる伝説の海神『呉爾羅』から取ったものだ。
「それより姉ちゃん帰って来るのいつかな?」
「ああ、確か次の盆休みには帰って来ると思うぞ?」
尾崎家には長男の悠の他に年の離れた長女の「尾崎 美咲」。
5年前に航空自衛隊に志願して現在はパイロットとして働いている。
「あの子もそろそろいい人見つけて結婚してくれれば心配する事は無いんだけど…」
「はははは、母さんそれは少し早いんじゃないかな?」
「父さん、目が据わってるよ?」
娘の先について考える未希に笑顔で答えるが、目が据わっていない事に突っ込みを入れる悠。
そして朝食を食べ終えた後に、小学校に行く準備をしに自分の部屋に戻っていく悠。
「さてと……僕はそろそろ出るよ」
「あら?今日は早いのね?」
「ああ、それじゃ行ってくるよ?」
「ええ、お気を付けて」
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治仁が大学に入り研究室に入ると先に研究室に入っている眼鏡を掛けている治仁と同年代の男性が机の上で仕事をしていた。
治仁はその人物を見つけると声をかける。
「おはよう牧」
「ああ尾崎かお前も早いな」
牧と呼ばれた人物は治仁と大学時代からの友人だ。
本名は「牧 小次郎」治仁と同じ生物学の教授として大学で講義をしている。
「まあな、それより今朝のニュース見たか?」
「ああ、謎の発光だろ?お前どう思う?」
「わからん、もしかしたら新種のバクテリアかもな」
「なあもしかしてだが……『ゴジラ』の可能性も…」
「……確かにその可能性も捨てきれんな、想像もしたくないが」
62年前に日本に襲撃し東京に壊滅的被害を出した『ゴジラ』しかし芹沢博士が発明したある物によってその当時以降何故か現れなくなった。しかし当時の古生物学者、山根博士はこう言っていたという。
『あのゴジラが最後の一匹だとは思えない』
「なあ、もしまた現れた時、今の自衛隊の戦力で倒せると思うか?」
「わからんな、なにせ60年以上前だしな…倒せる可能性もあるが…」
「逆にまたやられる可能性もある…か」
「…………」
「変な質問をした、忘れてくれ。そう言えば悠君明後日修学旅行だってな?寂しくなるだろ?」
「まあ確かに当分は静かになってしまうな……」
「なんなら帰って来るまで飲みにに行ってやろうか?」
「お前は限度がないから駄目だ」
「そりゃ残念だ、じゃあ俺はこれからレポートの採点をするから」
「ああ……」
牧との会話を打ち切り治仁は自分の机に座り自分の講義で提出されたレポートの採点を始める。
(ゴジラ……か)
採点をしながらゴジラの事を考える治仁。
62年前の当時の資料しかなかった為、今なお未知の怪獣として知れ渡っており詳しい生態は何もわかっていない。
芹沢博士が使った『発明』により1954年以降1度も現れていない。
世間や研究家の間では「芹沢博士諸共死亡した」や「今なおどこかに潜んでおりまた人類に姿を見せるかもしれない」と言っている。
不意に治仁は採点で動かしているペンを止めた。
(……母さんの言う通りならもしかしたら別の個体の可能性もあるかもしれない………もしそうだとしたら)
(…………爺さんの言う事は正しかった事になるかもしれないな)
「おい尾崎、ちょっと来てくれ」
「うん?ああわかった今行く」
牧の呼びかけで一旦思考を打ち切り、牧の机に向かう治仁。
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日本海
ある漁船が一隻ポツンと浮かんでいる。
多少使い込まれている感はあるが、幽霊船と言う感じではない。
そこに海上保安庁の巡視船が接近して来た。
「漂流中の漁船『第三機龍丸』を発見、呼びかけに応答なし」
「動いているというわけでもないな、一体どうなってる?」
「わかりませんね、呼びかけにも応答しないし」
「よし、ならこれからあの船に降りるぞ」
「了解しました、ボートを出せ」
巡視船から数名の隊員を乗せたボートを出し、船内に入っていく。
隊員の1人がライトを点け船内を照らすが不意に鼻を抑えた。
「う…酷い臭いだ」
「隊長、この臭い絶対魚じゃないですよ!」
「ああ……人の遺体をがあるかもしれんな」
「しかし、船自体にあまり外傷は見当たりませんでしたが…」
「それはこれから調べるんだ、行くぞ!」
そして船内に入り船内の状況を確認し、驚愕する。
船内は何者かに荒らされたか、何かと争った形跡があった。
辺り一面に物が散乱し、血痕も付いている。
「これは確実に何らかの事件に巻き込まれるてるな…」
「海賊でしょうか?しかしこんな漁船になんでわざわざ…」
「もしかしたら拉致かもしれんな……ん?」
隊長は床に白い液体が付着している事に気付き、それを触れる。
「なんだこれは?」
「た、隊長!」
他の部屋を捜索していた隊員の1人が慌ただしく入ってきた。
「ん?どうした斎藤?」
「生存者を発見しました!」
「何!状態は?」
「はい、意識は失っていて、軽傷を負っていますが命に別条はありません!」
「よしすぐに行こう。板垣お前は引き続きこの部屋の捜索を頼む」
「了解」
隊員に案内された隊長は生存者を発見した部屋に入って行き、中にいた20代前後の男性の生存者と身体の状態を確認している隊員がいた。
案内された隊長はすぐにそこに近づく。
「生存者は彼だけか?」
「はい免許証に書かれていた名前は『鈴木悟』。他の船員はもう遺体となっていました…」
「…そうか」
隊員の言葉に暗い顔になる隊長、そして死因が何かを発見した隊員に聞く。
「遺体の状態は?」
「それが妙なんです、まるでミイラのようになっていたモノばかりでした」
その言葉を聞いた隊長は更に詳しい話をその隊員に問いかける。
「ミイラ?どういうことだ?」
「はい、全身の体液が全て吸い尽くされミイラ化していました」
「そんな馬鹿な…」
ありえないという顔で言うが、その遺体を発見した場所に向かうと本当にミイラ化している遺体が見つかった。
「馬鹿な…一体どうやって」
「首の辺りに何か針に刺されたような跡が残っていました」
「どうなってるんだ、一体この船に何が起こったんだ?」
あまりの出来事に首を捻る隊長、しかもその周辺には先ほど隊長が触れた白い液体の跡が所々に着いてあった。
「この液体の跡も遺体の周辺にあったのか?」
「はい、発見したものには全てこの跡がありました」
「この液体は一体……」
「まるでナメクジが通った跡ですな」
「馬鹿を言え、こんなデカいのがいてたま……」
隊員の発言を否定しようと言葉を述べている途中に部屋で待機していた板垣隊員のかん高い悲鳴が聞こえ、隊長と隊員はすぐにその悲鳴に反応した。
「あの悲鳴は板垣か!」
「行きましょう!」
生存者は看病をしている隊員に任せ、2人は急いで悲鳴が聞こえた先程の部屋に走る。
部屋の扉を開け中に入るとその光景に驚愕した。
板垣隊員の上に体長1m位のフナムシのような生物が覆いかぶさっていた。
板垣隊員は必死で引き剥がそうと抵抗するが巨大フナムシはかなりの強さで張り付いているのか離れようとする気配がない。
「なんですあれは!?」
「そんな事は後だ、板垣を助けるぞ!」
フナムシが板垣に張り付いているので、銃器等は使えないのでナイフで対処するしかない。
隊員の1人がフナムシを抑え隊長がナイフを突き刺す。
ナイフはフナムシの身体にしっかり刺さるがそれでも離そうとしない。
そして数度ナイフを突き刺すが一向に離そうとしない。
「くそ、コイツはゴキブリか!斎藤、手伝え!」
「わかりました!この…!」
斎藤もフナムシを掴み、引き剥がそうとする。
最初はフナムシもがっしりと板垣を掴んで離さなかったが、徐々に引き剥がされていく。
そしてとうとう板垣から引き剥がし、隊長はそのままフナムシを裏返しその腹に何度もナイフを突き刺した。
それでも尚フナムシはしぶとくもがいていたが、とうとう動かなくなりついに絶命した。
「やっと死んだか……」
フナムシから突き刺したナイフを抜き、フナムシの体液が着いていたのでそれを拭う。
倒れていた板垣はゆっくりと身体を起き上がらせる。
「た…隊長」
「ああ板垣、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。後少し遅かったらどうなってたか…」
「それにしても隊長、このフナムシ?みたいな物は何でしょう?」
「わからん、だがコイツがこの船の乗組員とを殺した可能性が高い。死体は回収する」
その後、他の隊員達と合流するが先に見つけた男性以外生存者は発見されなかった。
そして先ほどのフナムシと同じ死体が数匹見つかり全て回収することになった。
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巡視船の医務室の中で先程救助された男性の意識が戻り始めていた。
「ん……」
そして徐々に目を開き、驚いたのか辺りを見渡す。
巡視船の船医が中に入り男性を見てすぐに駆け寄った。
「こ、ここは…!」
「気が付いたんですね!気分は大丈夫でしょうか?」
「は、はい、大丈夫です。あの…ここは?」
「心配しなくても大丈夫ですよ、ここは海上保安庁の巡視船の治療室の中です」
海上保安庁と聞いて安心したのか一瞬安堵した男性だがすぐに何かを思い出し、船医に聞く。
「あの…『機龍丸』に乗っていた他の仲間達はどうなったんですか!」
「………」
それを聞いた船医は悲痛な表情をし話を切り出そうとした時。
「失礼します」
男性の意識が戻った事を聞き、先程の隊長が同じタイミングに医務室に入ってきた。
「『鈴木悟』さんですね?私は海上保安庁の『水樹武』です」
先程鈴木を助けた海上保安庁の部隊の隊員達の隊長『水樹武』は敬礼をしながら彼に自己紹介をする。
そして鈴木が乗っていた『第三機龍丸』の事を話し始めた。
「貴方が乗っていた『第三機龍丸』の船内での生存者は鈴木さん、貴方だけでした……」
「そ…そんな……船長や仲間達が…そんな…!」
「お気持ちお察しします……申し訳ないのですがお聞ききしたい事があるのですがよろしいでしょうか?」
他の船員が亡くなった事を知り、頭を抑える鈴木。
そして富樫は『第三機龍丸』に何が起こったのかを聞こうと鈴木に話しかける。
頭を抑えていた鈴木はゆっくりと頭を上げ水樹の話に答える。
「はい、知っている事は全て話します……」
「ご協力感謝します。一体『第三機龍丸』に何が起きたんですか?」
水樹の質問に鈴木は若干声を震わせながらもはっきりと話し始める。
「あの日私達はいつものように夜に漁に出かけていました。漁での作業も一通り終わり、後は港に戻るだけだったんです……」
言葉の続きを述べようとするが身震いしながらツバを飲み込む。
それを見た水樹と船医はなにか尋常じゃないものを感じた。
「ですがその時、急に波が荒くなっていたんです。私達は「予報ではそんな事はない筈」と思っていたその時に海の中から『アイツ』が現れたんです……!」
「『アイツ』?それはもしかしてあの巨大フナムシの事ですか?」
「いえ、違います!暗くてよく見えなかったんですがとてもデカい奴でした!ブリッジから見ても全長が見えなかった程なんです!」
その言葉を聞いて水樹と船医は顔を見合わせる。
そして更に詳しく聞くために鈴木に話しかける。
「あの鈴木さん、それはどんな生物だったんですか?些細な事でもいいのでわかっていれば教えて欲しいんです…」
「特徴ですか…さっきも言ったように暗闇でよく見えなかったんですが、船のライトで照らした時背鰭の様なモノが見えました、後はそれだけで何もわからないんです。あのフナムシも『アイツ』が海に潜った後から出てきたんです…」
「背鰭…」
鈴木が語った特徴の背鰭を聞いた後治療室から船医と共に出ていった水樹は船医に質問をする。
「先生、どう思います?」
「目覚めた直後の興奮も多少ありましたが、嘘を付いているようには見えません。彼の身体も調べましたが外傷以外異常はありませんでした」
「という事は本当に何かの巨大生物が襲った可能性が高いですね」
「背鰭と言われると『ゴジラ』を思い出しますな…」
「『ゴジラ…』」
「そろそろ患者の所に戻ります、何かあったらまた報告するので」
「はい、よろしくお願いします」
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とある浜辺にいつも以上に人があふれていた。
しかし奇妙なのは全員輪になって一か所に集まり騒然としている。
その時パトカーが来て2名の巡査が出てくる。
「警察です、すいません通してください、すいません」
「通ります、すいません」
群衆をかき分けながら問題の場所に突き、2人は目を大きく見開く。
「おいおいなんだこりゃ…」
「ヒトデ……でしょうか?」
2人の巡査が見たのは酷く焦げていて所々だが黒と青で彩られたヒトデのような姿をした生物の死骸だった。
それも一つや二つではなく大量の死骸が辺りに広がっていた。
「見たことないヒトデだが新種か?どう思う石山?」
「いや、小川さん俺生き物詳しくないですよ?」
「わかってるよ、にしてもなんで全部こんなに焦げてるんだ?」
「確かに不思議ですよね……今から最初に発見した人から話を聞いてきますので連絡お願いします」
「ああ、わかった」
後輩の石山がその時の状況を確認する為に最初に発見した人物に聞き込みをする為に群衆に話しかける。
先輩の小川は警察署に連絡し、応援が来る事を聞き、無線を切る。
そしてもう一度ヒトデを一瞥した時、近くにいた一匹が一瞬だけピクリと動き驚いてもう一度見るがそれっきり動いていなかったので気のせいだと思い、聞き込みをする石山の所に向かった。
・巨大フナムシ(ショッキラス) ・84ゴジラに登場したゴジラに寄生していたというフナムシ。フナムシなのに何故か吸血性、体長1mとデストロイア微小態を除いては一番小さい怪獣だが漁船「第五八幡丸」の船員を1人を除き全員ミイラにしたトラウマ生物。