『大戸島』この島はかつて数十年前に出現したゴジラが人類にその姿を最初に見せた島である。
元々この島には古来から荒ぶる神『呉爾羅』の伝説が語り継がれており、ゴジラの名称の由来もこの島の神『呉爾羅』から取ってきていた。近年この島の歴史を研究してきた学者は「人々が語り継いできた呉爾羅は放射能実験で怪獣化する前のゴジラの事を指していたのではないか?」と言われている。
大戸島の港の周辺に、修学旅行に来たであろう教師と小学生の集団がいた。
その中には治仁の息子である悠もいる。
「ここがゴジラが最初に現れた島か…」
「尾形くん、どうしたの遅れるわよ?」
「あ、ごめんなさい。今行きます」
ゴジラが最初に現れた島ということで周囲を見渡していたが先生から注意を受けて、我に返りすぐに歩き始めた。
島の観光のガイドが様々な場所を説明しながら転々としていく。そのうち昼飯時になり悠達は宿泊予定の旅館に行く時間になり、昼食前の最後に大戸島に伝わる『呉爾羅』の伝説を観光のガイドが話し始める。
「この島には昔から海の神様『呉爾羅』の伝説がありました。この島に住んでいた我々の御先祖様はその神様にお供えとして島の人間の中から生贄を…」
"ズン"―――――!。
ガイドが説明している途中に突如地響きのような音が周辺に響きくそして爆音のような咆哮が響いた。
グワアァァァアン!!?
「な、なに!?」
「おい何だこの音!」
「お、おいあれ見ろ!あれって……」
咆哮に狼狽する島の住民や観光客が辺りを見渡す、そして観光客の一人が海岸を指さす。
指を指した方角の海に"ゴジラ"が島に向かってきていた。
「ご、ご、ゴジ…」
「ゴジラだ!?」
「逃、逃げろぉ!?」
海から突如現れたゴジラを見た人間たちは一目散に逃げ出して行く。
ゴジラは大戸島に向かって咆哮を上げながら進む。
「ゴジラが現れたって!?」
「皆さん落ち着いてバスに向かってください!」
この出来事は修学旅行に来ていた悠たちにも影響が出ており、教師やガイド達が急いで生徒達をバスまで避難誘導させる。悠も急いでバスに向かっていく、しかし隣で走っていた同級生が不意にこけてしまう。
「痛っ!」
「ヒロ立って早く!」
悠が転んだ同級生を立たせようと手を貸すがその時またもやゴジラの咆哮が轟く。
「悠、なんか音が大きくなったような気がするんだけど…?」
「きっと陸に上がったんだ!もしかしたらこっちの方向に進んでるのかも!早く急ごう!」
小笠原諸島、海上自衛隊父島基地。
「ゴジラが大戸島に出現しました!」
「すぐに空自に連絡を入れろ!」
それから付近の空自の基地からすぐに数機のF-15J戦闘機が発進される。
「こちらコントロール、小笠原諸島付近で未確認の巨大生物が出現!情報によると外見は数十年前に出現したゴジラの模様、火器使用自由!」
「了解」
数機のF-15Jは次々に離陸しゴジラが居る大戸島に向かい飛行した。
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バスが停車している駐車場に悠たちが着き、バスに乗り込んだ時間に丁度F-15Jが離陸していた。
周りのバスも一斉に発車している。
「先生!生徒の皆さんは全員乗車しましたか?」
「はい、全員乗車しています!」
「わかりました、斎藤さん早く!!」
「はい、しっかり捕まってくださいよ!」
ガイドの言葉に運転手はすぐにバスを勢いよく発車する。
悠たちが乗車しているバスが発車した後、後ろでズンと言う音と振動が聞こえ悠が後ろを振り返る。
「おい悠どうした?」
「ゴジラが……」
「え!」
悠の隣に座っていた先程の同級生が後ろを振り返る。後ろを振り返るとゴジラが咆哮を上げて駐車場に現れ悠たちのバスとは違う方向に進んでいた。しかし運悪く逃げ遅れたバスや観光客達は逃げ惑い、呆然とし、自暴自棄や発狂しながら踏み潰されていく。
「あ……ああ…」
「っ……」
距離があったので遠目ではっきりと見えなかったが爆発や悲鳴が僅かに聞こえた為、2人は耳を塞いだり手で顔を覆って身震いをしていた。
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「おい治仁、テレビ着けろ!早く!」
「ん?どうした?」
「ゴジラが…ゴジラが大戸島に!」
「何!?」
急いで来た牧に促されて治仁はテレビを着ける。そこに大戸島を闊歩しているゴジラが報道ヘリのカメラで撮影され、ヘリに乗っているリポーターが興奮交じりに報道している。
『皆さん、この光景が信じられないでしょうが本物です!数十年前に出現したあの「ゴジラ」が再び我々の前に現れました!』
リポーターが報道している間にもゴジラは前進していく。
「おい治仁、悠君は!?」
「!」
治仁はすぐに携帯電話を取りだし、家に連絡する。
『治仁さん!』
「未希か?学校から何か連絡は?」
『まだ何も来てないの!』
「落ち着け、とりあえず落ち着くんだ」
慌てた様子で出た妻を何とかなだめながら、電話に対応する治仁。
そこに別の大学の職員が治仁たちに声をかける。
「尾崎教授、牧教授、この前訪問してきた尾頭という人から電話が…」
「え?」
「すまん、また後で掛け直す」
治仁は一旦携帯電話の通話を切り、掛かってきた電話を取る。
「はい、尾崎です」
『お久しぶりです尾頭です、突然で申し訳ないのですが今からそちらに私が迎えに行きますので、牧教授と一緒に準備をお願いできますか?』
「準備って、今から議事堂ですか?」
『その通りです』
「すいません、少し時間をくれませんか?妻と話をさせてください」
『…わかりました』
治仁は受話器を離し牧に先程の内容を話した後、もう一度自宅に電話を掛けた。
電話からは先程よりは落ち着いているが、やはり慌てた様子で未希が電話に出た。
「未希」
『治仁さん、どうしたの?』
「すまない未希、これから議事堂に向かわなきゃならなくなった」
『え?それって昨日言ってた…?』
「ああそうだ、この前言ってたヒトデ擬きと今回のゴジラの出現が何らかの関係があるらしいんだ。それでその……この状況で……非常に言いにくいんだが…」
治仁が言い淀んで言葉を繋げようとすると未希はきっぱりと言った。
『わかったわ、悠の無事が確認できたらすぐに連絡する』
「え?良いのか?」
『仕方ないわ国の危機だもの、でもちゃんと牧さんと一緒に無事に帰ってきて』
「……ありがとう」
『…気を付けて』
「ああ」
治仁は未希との電話を切ると同時に受話器を取り、尾頭と再び会話を始める。
「尾頭さん、終わりました」
『わかりました、それでは今から迎えに行きます』
「わかりました」
治仁は尾頭との会話を終わらせ電話を切り、牧と共に荷造りを始める。
持ち込む荷物の中にはシノムラの一部も入っていた。
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大戸島の付近の海で何故か不自然に一か所だけ盛り上がっている。盛り上がっている部分は大戸島に向かって移動し徐々に大きくなっていき、勢いよく飛び出しその姿を現した。
色は黒と青で彩られており、その姿はムカデの身体にコウモリの羽を生やしたような形状、又は足の代わりに巨大な翼を持ったサソリまたは竜のような姿をしている。
ギュウゥゥゥアアア……。
その怪獣……『シノムラ』は雄叫びを上げながら大戸島に向かい飛翔を始めた。
悠たちのバスが発車した後も前進するゴジラ。ズン、ズンと地響きを立てながら前進していく。
グウゥゥゥウ……。
低く唸り声を上げるゴジラ、そしてゴジラをカメラで撮影している報道ヘリもゴジラの行動に目が離せないでいた。
「ゴジラは未だ大戸島を前進しております。それにしても見てくださいあの大きさ、情報によりますと過去に現れたゴジラの2倍の身長で100Mを超えていると思われます…一体ゴジラは…」
(安住さん、少しいいですか?)
ヘリの中に居たスタッフがアナウンサーに話しかける。
「(?)すいません、少しお待ちください……どうしたんですか?」
「はい、さっき自衛隊から連絡が合って今戦闘機がこっちに向かってるらしいんです」
「本当ですか!」
「よって我々も避難した方が…」
「ならギリギリまで撮影できませんか?こんなチャンス滅多にありませんし」
「いや~それはちょっと……」
流石に危ないんじゃないか?と言うがアナウンサーもそう簡単には引かなかった。
「いやそういわず…ん?」
「どうしました?」
「いやあの、何か飛んできませんか?」
「え?」
「ほら、あそこに」
アナウンサーの安住がヘリコプターの後ろを指を指すと何か青黒いものがこちらに向かって飛んできていた。
「何だ?戦闘機の割にデカく見えるんだが……」
「しかもなんで一機だけなんだ?」
ギュウゥゥゥアアア……。
シノムラはゴジラに向かって雄叫びを上げながら接近する。シノムラの接近に気づいたゴジラは足を止め、後ろから接近しているシノムラを睨みつける。
グワアァァァアン!!?
シノムラに向かい方向を上げ臨戦態勢に入るゴジラ。ゴジラの咆哮に怯まずシノムラはゴジラに襲い掛かる。
ゴジラに向かって突進を仕掛け、翼をゴジラにぶつけた。
グワアァァァアン!!?
ゴジラは両腕を使いシノムラの脚の一つを掴みそれを力任せに引きちぎる。
ギュウゥゥゥアアア……。
シノムラは悲鳴のような声を上げ、尻尾を鉤爪状にして頭を鷲掴みにする。
そして少しずつ掴む力を上げていく。
グワアァァン!
ゴジラはその尻尾を掴もうと腕を上げるが、シノムラはそれを予測していたのかゴジラを掴んだまま上昇しようと翼を羽ばたかせる。ゴジラもシノムラがこれからやろうとしてしている事に気づいたのか必死に踏ん張りを見せるが、徐々にその巨体が地面が離れていき、急上昇していき、ついに上空に飛んで行った。
「お、おい!あの怪獣ゴジラを掴んだまま飛んで行ったぞ!?」
「今のカメラ取ったか!?」
「は、はい!」
「よし、もうここから離れよう!もうここはヤバイ!」
報道のヘリの中にいたアナウンサー達もゴジラが上空に連れ去られていったのを見た後に避難を開始し始めた。
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「コントロール、目標地点の付近の下から急上昇して来る大型の飛行物体がある」
『こちらコントロール、その付近で空港から離陸した航空機の記録は無い』
「了解、これから目視で確認する」
そういうと数機のF-15J戦闘機がその飛行物体が出現している地点にまで接近する。
「コントロール、複数の飛行物体の目視を確認!一つはゴジラ、もう一つは未確認の巨大飛行生物だ!」
『こちらコントロール、間違いないのか?』
「間違いない、飛行生物が尻尾らしきものでゴジラを掴んで飛行している!ミサイルの使用の許可を!」
『こちらコントロール、ミサイルの使用を許可する!目標はゴジラ!』
「了解、こちらグリーン1、ミサイル発射の許可が下りた。目標は俺とグリーン2はゴジラ、グリーン3、グリーン4は巨大飛行生物だ!」
「こちらグリーン2、了解!」
「グリーン3、了解」
「グリーン4、了解」
隊長機からの命令に周りに居た僚機は応答した後、F-15Jのミサイルの安全装置を解除する。
「グリーン1、目標補足!」
「グリーン2、目標補足!」
「グリーン3、目標補足!」
「グリーン4、目標補足!」
各F-15Jはそれぞれの目標を補足し、ミサイルを発射した。
「グリーン1、発射!」
「グリーン2、発射!」
「グリーン3、発射!」
「グリーン4、発射!」
それぞれが発射したミサイルはゴジラとシノムラに命中する。
ミサイルが命中したシノムラは声を上げてゴジラを離す。しかし離されたゴジラは背中の背びれを青白く発行させて口から青い放射熱戦を吐き出す。熱戦はシノムラの右翼を吹き飛ばし、シノムラを落下させる。そしてゴジラも落下していった。
先程避難した報道ヘリはゴジラ達が飛んで行った辺りから結構な距離まで離れていた。
無事に逃げ出せて安堵したのか、ある程度の余裕を感じさせる声で会話を始める。
「いや~それにしても凄い映像が撮れましたね」
「ああ、こりゃ視聴率も凄い事になりますよ!」
「とりあえず喜ぶのは後だ、無事に帰ったら存分に喜ぼう」
「え?いや、大丈夫でしょ?だってあの二匹空高く飛んでったんですよ?」
「馬鹿、彼奴らは俺達の常識が通用しない化け物共だぞ?何が起きても不思議じゃ……」
スタッフのまとめ役の男が気を抜いているスタッフを諫めている最中、自分達の視界辺り一面が強く光り報道ヘリは爆散した。
光の正体はゴジラの熱戦だった。シノムラから離され空中から高速で落下していたゴジラは落下している最中、ゴジラは無理矢理体を回転させて落下する勢いを殺すために熱線を放ったのだ。
熱線は報道ヘリを巻き込んで、海に命中し、大きな水しぶきが上がる。
ある程度海が見える距離まで熱線を吐き続けたゴジラは熱線を撃つのを止める。空中で一瞬停止したかに見えたが再び落下し始めるがそれでも先程の勢いに比べたらまだ遅い速度で海に落ちていき、またも巨大な水しぶきを上げる。
グワアァァァアン!!?
再び海中からその巨体を出すゴジラ雄叫びを上げる。
一方ゴジラにより右翼を破壊され落下するシノムラ、しかし破壊された右翼を再生させ、再び羽ばたく。
「何だ?再生したぞ!?」
「落ち着け、追跡するぞ。ここで見失うわけにはいかん」
「了解」
隊長機からの指示でシノムラを追跡するF-15Jの小隊。
暫くの間はシノムラを追跡できていたが雲の多いところで追跡を振り切られてしまった。
シノムラの情報を確認した管制塔はすぐにこれを防衛省に連絡する。
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総理官邸
「本当に……本当に出現した未確認巨大生物はゴジラなんだな?」
「はい、大きさは数十年前に出現した個体の倍以上の大きさですが見た目の特徴から「ゴジラ」だと思われます」
「そうか……」
「数日前に起こったイージス艦の沈没事故もゴジラの関係が高いと思われます」
「しかし…過去に現れた個体の倍以上の大きさだぞ、なぜここまで成長する」
「おそらく海底に沈んでいる放射能物質等を捕食したのではないかと…」
官邸にて総理を始めとした他の官僚達も集まり、ゴジラ出現について会議をする。
「それともう一体ゴジラに匹敵する巨大飛行生物も確認されました」
「ああ、さっき移ってた奴だな。何か情報は?」
「はい、今の所飛行能力と欠損した箇所を再生させる回復力だけですね」
「あんな巨体で何で飛べるんだ……」
何処かの官僚がぼやくように呟く。100m以上あるあの巨体でエンジンも無しに飛べるのだ。航空力学を完全に無視している。
「まだ確定的な情報ではありませんが数日ほど前に打ち上げられた青黒いヒトデを解剖している大学からこの巨大生物と遺伝子が酷似していると言う情報があります」
「よし、その大学の関係者を今すぐ呼んでくれ。少しでも情報が欲しいそれと片桐君、君の部署からも何名か回してほしい」
「わかりました」
総理はゴジラのほかに出現したもう一つの怪獣「シノムラ」についても質問をし、少しでも情報を得るためにすぐに関係者をこちらに向かわせるように指示をする。
「総理、米国の大統領から電話が」
「わかった。今から行く」
「では一度解散します」
集まっていた官僚達は一斉に散らばる。そして片桐と呼ばれた官僚は部下の官僚に指示を出す。
「徳井、すぐに巨特対の人間を招集してくれ」
「わかりました片桐さん、それと例の組織からも情報が入っています」
「……わかった、すぐに向かう」
片桐は手に持っていた資料を持ちながら会議室を退出した。
シノムラ ギャレゴジのアメコミ『GODZILLA AWAKENING』で登場した怪獣。数百万に及ぶ単細胞生物が集まり全体が意識を共有し1体の怪獣のようになった群体生物。(ヘドラやデストロイアみたいな存在)