吐き気がする。
俺は、無力で、どうしようもないくらい、無力だ。
妹がなにかをやっているのを知っている。
きっと危ないことだ。
ボロボロになって怪我をしていた。
「大丈夫か?」と聞くと妹は元気な顔で「ありがとう、大丈夫!」と言う。
それでも、わかるのだ。
それはきっと怖いことだったんだろう。
いつも活発な妹は、少し伏せた目をしていた。
今日は その日らしい。
バタンと、無力な俺をあざ笑うかのように。
妹を守れずにいる俺に対して、無情にもそれは世界を隔てた。
イリヤを信じたい。でも、傷ついてほしくない。
危ないことをしているのなら、しなくてはいけないのなら。
俺だって役に立ちたかった。
俺は、無力だ。
「誰だっていい、なんだっていい、力を貸してくれ。俺のすべてをやるから...!妹を。助けさせてくれ....!」
自然とでていた情けない声に、思わず笑いが出る。
何をしているんだおれは....
『そう、なら力をあげるわ』
シン、と雪のような声がした。
『私は弟を助けたいの、だから二人まとめて助けてあげる。』
綺麗な声は優しく、そして厳しく
おれの口に触れた。気がした。
瞬間
頭が弾ける。
パキ、となにか大切なモノが、追加された。
酷い風の中にいる。
「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
とても耐えきれない。
体より先に心が壊れていく。
俺のすっからかんの精神、 /音ガ煩イ
体は壊され治り、 /風が痛い
容量を追加し、 /音gあウruさい
壊されを繰り返した。 /風が 風が 風が
脳に記憶が入ってくる。
心に何かが混ざってくる /敵意はない
体が打ち直されていく。
酷く、酷く長く感じる数秒の地獄。
眼を開けるのすら苦痛の世界で、俺は、見た。
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――、あ」
音が― 止んだ。
立っている。
この暴風のなかで。
壊れかけた眼に映る、酷く、見知ったような顔。
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――、あ」
指を、数ミリ動かしただけの激痛の世界で、彼はこちらを見ていた。
信じるように、支えるように。
「‘‘――――――――――共に行こう‘‘」
そう、手を伸ばした。
自然と、指が動いた。
「‘‘あぁ――――””」
その手を取った。
そうして、俺は生まれ変わった。
二つの世界の同一人物が合わさった。
「ありがとう、イリヤ」
「行ってくる。」
撃鉄を頭に、心は静かに。
俺は、妹を助ける。