IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
F・フリーダム、F・ジャスティスの初陣になります。
それと、最後のあとがきにガンダムブレイカー3を用いての自分なりのF・フリーダム、F・ジャスティスを画像にしました。
NO SIDE
イザーク・ジュールは苦戦を強いられていた。
多大な地球軍の戦力に対してこちらは守るべきプラントをすぐ後ろに控えたままで戦力も地球軍には劣る。
ビームアックスで地球軍のモビルスーツ【ウィンダム】を両断する。
「チィ、数ばかりがこうも多くては…!」
「イザーク!こっちもそろそろ持たないぜ!?」
ジュール隊副隊長の【ディアッカ・エルスマン】がそう報告する。
「狼狽えるな!俺たちがここで抜かれてしまってはプラントを守るものが無くなるんだぞ!」
ハイドラガトリングビーム砲で【ダガーL】を破壊し、ビーム突撃銃で別の機体を撃ち抜く。
別の宙域ではオレンジ色のブレイズザクファントムがファイアービー誘導ミサイルで敵のミサイルを迎撃し、両手にビームトマホークを持ち、二機同時にウィンダムを切り裂いた。
「ヴェステンフルス隊長!このままではこちらのエネルギーが先に尽きてしまいますっ!」
「ハイネで良いって言ってるだろ?
それより、エネルギーがヤバくなってる機体から順次交代、代わりに後ろで控えてるのを前に出せっ!
ここが正念場だぞ!」
と、ヴェステンフルス隊隊長【ハイネ・ヴェステンフルス】は部下を激励する。
「とは言ったものの、流石にこれだとこっちの消耗が激しいな…。
ったく、敵さんはどんだけモビルスーツを隠し持ってんのやら――!?」
アラートが後方からの攻撃を知らせ、咄嗟に横へかわす。
すると、背後から何もない所から暗緑色の機体が姿を現しながら、斬りかかってきた。
「おわぁ!?って、この機体、ミラージュコロイド使ってんのか?
バリバリ条約違反の機体を開発しやがって…。
おらぁ!!」
ハイネは暗緑色のダガー【NダガーN】を蹴り飛ばし、ミサイルで破壊する。
「さて、と。
次は…お?なんだこの反応?新型?しかも援軍か!」
ハイネはプラントから急速接近してくる反応を二つ確認した。
「さてさて、一体どんな――嘘だろ?なんであの機体が!」
反応の正体はかつてオーブ軍側にて猛威を振るったザフト軍の新型モビルスーツ【フリーダム】、【ジャスティス】の二機だった。
しかしそのカラーリングはかつての物とは別物だった。
「カラーリングは違うけど、間違いねぇ!
フリーダムとジャスティスだ!あんなのあるんなら最初から出せっての!」
フリーダム、ジャスティスはハイネを通り過ぎ、二手に分かれて敵部隊へ向かっていった。
「当たって!」
フリーダムもといF・フリーダムに乗ったマユはビームライフルを放ち、正確な射撃でウィンダム、ダガーLを撃ち抜いていった。
「すごい…、この距離からも正確な射撃ができるなんて…。
それに――」
当然、敵も撃ち返してくるが、F・フリーダムはそれをひらりとかわし、ダガーをヴァジュラビームサーベルで接近して切り抜けた。
「この機動性も…。
私達のザクよりも断然早い…!
ぐっ…!?」
切り抜けた後、急制動を行ったことで、その負荷がマユにもかかる。
「じゃじゃ馬って感じ…。
扱えるのかな、私に…。
でも!」
ウィンダムが切りかかってきて、それを機動防盾で防ぎ、腰に備え付けているヴァジュラビームダガーでウィンダムの腕とメインカメラを突き刺し、破壊する。
「議長が私たちに託してくださったもの…!
守って見せる!プラントを!たぁぁぁぁ!」
「う、うわぁぁぁ!」
ビームダガーを投げ、ダガーL二機を仕留めた。
「全砲門展開!マルチロック!フルバーストォォ!」
ビームライフル、腰のレール砲、翼部のビーム砲の五門を一斉射し、敵部隊を一斉に攻撃した。
「やばっ、この演算はちょっときついかも…、それにエネルギーも結構持って行ってるし」
マユはフルバーストを撃ち終わった後、少し後退しながらビームライフルで狙撃を行っていく。
マユとは別方向へ向かったイチカは敵部隊に押されつつある部隊の援護へ向かった。
「あれは、ジュール隊?」
イチカが確認した先には多数のモビルスーツと交戦している空色のザクファントムとガナーザクウォーリアがいた。
「チィ、ちょこざいな!」
「おい、イザークあれ!!」
「何だ!!…ジャスティスだと!?」
「まさか、アスランが?」
「馬鹿を言え!あいつはミネルバと共にいただろうが!」
イチカが乗っていることを知らないイザークとディアッカは驚いているが、イチカはその二人を援護すべく、両肩のフラッシュエッジビームブーメランを投げ、ダガーLのキャノン砲を切り裂き、ファトゥム00Fのバラエーナプラズマ収束ビーム砲でウィンダムを撃ち抜き、イザーク達と合流した。
「大丈夫ですか?」
「アスラン、お前っ!…あれ?」
「貴様は確か、ミネルバのパイロットだな。
議長の護衛で共にプラントへ戻っていたのか」
「はい、ミネルバ所属のイチカ・オリムラです」
「その機体は?ジャスティスに酷似しているが?」
「これは議長から受け取った新型です。
ジャスティスに似てますが、核エンジンは搭載されてなくて、セカンドステージの機体と同列の物だと」
「まぁいい。
戦えるのならあれらを蹴散らすぞ!」
「ああ!」「了解!」
イチカとイザークが前に出て、ディアッカが援護射撃を開始した。
ディアッカのガナーザクウォーリアのオルトロスを避けるために左右に分かれた地球軍MS部隊をイザーク、イチカが挟撃する形で襲い掛かる。
「いぇぇぇぇい!!」
ビームアックスでイザークがダガーを両断、イチカはデファイアントビームジャベリンで敵を切り、離れている敵をリフターのビーム砲で撃つ。それでも残った相手をディアッカが正確な射撃で仕留める。
即席のコンビネーションであったが、エース級のパイロット三人の連携は地球軍を圧倒するのに足りうるものだった。
そこへ、偵察を行っていた別部隊から連絡が全軍に通達された。
「敵別動隊が――核ミサイル装備でプラントへ向け接近中!?」
「こいつらは囮ってことですか!?」
「不味いぞ、イザーク!ほとんどの部隊がこっちの防衛に出てしまってる!」
「総員、ただちに核攻撃部隊への迎撃に当たれ!
プラントをやらせるなぁぁぁぁ!!」
ザフト軍のモビルスーツが直ちに移動を開始するが、別部隊へ向かおうとする機体を地球軍が攻撃を仕掛け、妨害を行う。
「くっ、俺が先行します!」
イチカはF・ジャスティスのファトゥムを前面に展開し【ハイマットモード】へ、移行し一気に加速して、別動隊の方へと向かう。
「なんて…数だよ…」
イチカはその核ミサイルを装備した別動隊の規模に恐怖した。
イチカが前の世界にいた頃、社会の授業で習った原爆のような大量殺戮兵器、こっちの世界に来てユニウスセブンへ放たれた核ミサイル、一発で大勢の人の命を奪うような兵器が今、イチカの目の前に大量に投入されている。
「でも、止めなきゃプラントが…!
やらせない…、やらせてたまるかぁぁぁぁ!!」
イチカがそう叫ぶと共にイチカの視界が一気にクリアになった。
(何だ…これ…)
そう、一瞬考えたが、直ぐに他所へやり、核ミサイル部隊を迎撃するためにイチカは接近する。
その際にビームライフルの出力をキーボードで変更し、長距離から狙撃を開始した。
「当たれ…!」
出力が大幅に上昇したビームライフルで正確な狙撃を行い、イチカは核ミサイル装備型のウィンダムのミサイルハッチを撃ち抜き、プラントへたどり着く前に核ミサイルを爆発させた。
その爆風によって敵の一部は巻き添えを喰らい、さらに誘爆を起こしていった。
「これなら…!」
イチカはやれる、と思ったが、コクピットに機体のバッテリーが残り20パーセントを切ったアラームが鳴る。
「狙撃の為に出力を上げ過ぎたか…!」
「さっきの狙撃には驚いたが、動きが止まればこっちのもんだぁ!!」
「青き清浄なる世界の為にィィィ!!」
F・ジャスティスの動きが止まったのを好機と見た地球軍は核ミサイルを発射する。
「くそっ…、ダメなのかよ…」
イチカは諦めかけてしまった。
「そこのモビルスーツ、急ぎ後退せよ。
そこは我が艦の射程圏内だ」
と、イチカに通信が入る。
「り、了解!
…あれってナスカ級…だよな?」
そのナスカ級は見慣れぬ兵装を取り付けており、核ミサイル部隊に対してその兵装を向けた。
そして、その兵装【ニュートロン・スタンピーダー】を放った。
それは核ミサイルを次々に破壊し、地球軍モビルスーツ、その母艦までもをたちまち飲み込んでいった。
イチカは目の前の光景に呆気に取られていた。
ナスカ級から放たれた一撃が核ミサイルを全て落とし、完全にプラントを守り切ったのだから。
「な、なんだ、あれ…」
核ミサイルによるプラント破壊に失敗した地球軍はすぐさま部隊を撤退、イチカはナスカ級に回収してもらい、プラントへと帰還した。