IS DESTINY ~蒼白の騎士~   作:ELS@花園メルン

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再投稿となります。

ある程度修正はしましたが、色々と予定があり時間が空いてしまったのでまだ少々変なとこがあるかもです。
...自分なりには頑張りましたが...


戦争の裏

SIDE イチカ

 

 

シン、ルナ、アスランよりグラディス艦長、レイが早く来たので、前々からディオキアにいた俺たちは議長との5人で話をしていた。

 

 

「グラディス艦長もレイもお疲れ様でした」

 

「いえ、イチカとマユもプラントをよく守ってくれたわ」

 

「それにあの2機の新型を上手く扱えているそうじゃないか」

 

 

レイはここから見えるMSハンガーの中に置かれている俺たちの機体を見てそう言った。

 

 

「まだまだ振り回されてるけどな。

けど、そっちもシンが凄い活躍したんだろ?

敵の部隊をぶった斬りだって聞いたけど」

 

「確かにあの時のシンは凄かった。

敵のMAを単機で倒しただけでなく、敵母艦をも破壊したからな」

 

 

と、話をしていたらハイネがシンたちを引き連れてこの場に来た。

 

 

「議長、ミネルバのパイロット3名をお連れしました」

 

「ああ、ご苦労。

久しぶりだね、アスラン、先日のプラント以来だね」

 

「ええ、お久しぶりです議長」

 

「それで君たちは――」

 

「あっ、はい!

ミネルバ所属のルナマリア・ホークであります!」

 

「お、同じく!

ミネルバ所属のシン・アスカであります!」

 

 

と、二人は緊張した様子で挨拶をしていた。

俺とマユは議長とお会いする機会が何度かあったので、もうあの様に緊張することは無くなったから、何か懐かしいと思った。

 

 

「君が...!

君のことは良く覚えているよ...!

それにこの前の戦いでも大活躍だったようだね。

レイやタリアから聞いているよ」

 

「え...?」

 

「そういえば、叙勲の申請も届いていたね。

追々、君の手元に届くだろう」

 

 

と、議長はシンに言っていた。

ここの所の活躍ぶりを聞いているとそれも当然だなと思い、更に自分の家族がそうやって成果を得るのは嬉しく思う。

 

シンたちも席に座り、8人での会食が始まった。

 

 

「ローエングリンゲートでも君の活躍は素晴らしいものだったと聞いているよ」

 

「あれはただ、隊長や現地で協力してくれた人のお陰です。

俺、いえ、自分はただその作戦に従って行動しただけで」

 

「この街が解放されたのも君たちがあの施設を落としてくれたお陰だ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

議長からのお褒めの言葉でルナも喜んでいた。

 

 

「それで、議長?

宇宙の方はどのような感じで?」

 

 

と、グラディス艦長が尋ねる。

 

 

「プラントに向けての核攻撃以来、大きな争いは起こっていないよ。

月の哨戒部隊との小さな争いが起こる程度さ。

地上の方も何がどうなっているのか...。

こちらが停戦協定などを持ちかけようとも、向こうはそれを良しとしないようでね。

戦争などしたくないが、それだとこちらはどうにも出来ないが―――――いや、軍人の君たちにする話では無かったね。

しかし、戦うことをやめ、戦わない道を選ぶというのは、戦うことよりも難しいものだ」

 

 

議長は悩むようにそう仰った。

 

 

「でも!」

 

 

そこでシンが口を挟んだ。

 

 

「ん?」

 

「あ、いえ...」

 

「いや、ぜひ話してくれたまえ。

前線で戦っている君たちの意見というものも聞いてみたいものだ、その為に君たちを呼んだみたいなものだからね」

 

「...確かに、戦わない道を選ぶことは大切かもしれません。

でも!敵の脅威がある時は仕方ないと思います。

戦うべき時に戦わないと...!

何一つ、自分たちの命すら守ることが出来ません...。

普通に...平和に暮らしている人たちは守られるべきですっ!

それに、失ってからではただ後悔することしか出来ないからっ...」

 

「シン...」

 

「お兄ちゃん...」

 

 

俺とマユもただシンの言葉を聞いていただけだった。

 

 

「ですが、殺されたから殺して、殺したから殺されて...それで最後は平和になるのか...と、以前言われたことがあります。

でも、その時の俺は何も言い返せず、今もその答えは出ていません。

そして、俺は今もまだ戦っています」

 

 

シンに続いてアスランもそう自分の意見を話した。

 

 

「そう...問題はそこだ。

何故我々はこうまで戦い続けるのか、何故戦争は終わらないのか、人はいつの時代も戦争は嫌だと言っているのにね。

何故だと思う?イチカ」

 

 

議長は俺に聞いてきた。

 

 

「...先に、俺自身の話をしてもいいですか?」

 

「構わないよ」

 

「これは、シンとマユと二人の親にしか話していないことなんです。

信じてもらえないかもしれないですが、俺はこの世界で生まれ育った人間ではない(・・・・・・・・・・・・・・・・・)んです」

 

「お、おい、イチカそれは...!」

 

 

と、俺の言葉にシンは反応するが他の人は誰もが皆、突然変なことを言い出したと思い、驚いた顔をしていた。

当然、誰も信じては居ないのかもしれない。

しかし、その沈黙を議長が破って話しかけてきた

 

 

 

「...ふむ、確かに信じられない話だ。

が、シンやマユは信じているのかい?」

 

「は、はい、私の父と母も信じてます。

イチカの話は作り話だったとしても、出来すぎているものでしたので...」

 

「では、仮にイチカがその別の世界の人間だとして、君は何を伝えたいのかな?」

 

「はい、まず俺のいた世界にはMSなんてものは存在していなくて、それどころか宇宙へ進出すらしていません」

 

「ふむ、それだけを聞くと我々の世界の古い歴史とそう変わりないみたいだが...?」

 

「ですが、俺のいた世界には【インフィニット・ストラトス】と呼ばれるパワードスーツがありました」

 

「ほぅ、そんなものが存在するのか...」

 

「しかし、そのインフィニット・ストラトス通称ISには欠点が存在していて、【女性にしか動かせない】のです」

 

「確かにそれは欠点だ。

それでは、恐らく男と女の間に深い溝が出来てしまうのではないかね?」

 

「そうなんです。

実際、ISを扱うことが出来ると言うことで多くの女性が男性を物のように扱うようになり、女尊男卑という社会風潮に世界が変わっていきました。

酷いところでは、男性を奴隷のように扱ったり、産まれたのが男の子だからという理由で自分の子を殺したりと、過激なことを行う人もいました」

 

「それでは、ブルーコスモスと同じでは無いか!」

 

「はい、そう言った意味ではナチュラルとコーディネーターの関係に似ています。

で、俺が言いたいことは、俺のいた世界とこっち世界。

どちらも相手を見下したり、どっちも同じ人間なのに相手を異質な存在としか思ってなかったりするから、それを、排除しようと躍起になっている、のだと思います。

動物が他の動物に縄張りに立ち入られると攻撃するように」

 

 

俺は、自分のことや意見を長々と語った。

信じてもらうことが目的じゃなくて、飽くまで俺の意見を伝えることが目的だ。

 

 

「でも、そんな世界があるなんてホント驚きよ、私!?」

 

「悪かったよ、でも今まで言わなかったのは信じてもらえないって思ってたから...」

 

 

と、俺はルナへ反論する。

議長が少し席を外して、議長以外のメンバーとなった時にルナがいきなり俺に話しかけてきたんだ。

 

 

「だが、言葉にしなきゃ伝わらないこともあるという事だ。

俺自身、イチカの話を未だに理解し切れていないが、イチカが別の世界で自分の命を生きていたって、ことだけは確かに分かったよ」

 

 

と、アスランも俺の肩に手を置いてそう言ってくれた。

 

 

「だが原因は分かっているのか?」

 

「全く覚えてないんだよ。

こっちに来る前のことは、普通に幼馴染と学校から出たとこまでは覚えてるんだけどさ」

 

「なら、無理に思い出す必要は無いかもしれないわね。

私も一つ聞いていいかしら?」

 

 

レイの質問に答えたあと、グラディス艦長がそう聞いてきた。

 

 

「いいですけど」

 

「イチカは元の世界へ帰りたいのかしら?」

 

「…俺は帰りたいと思ってます。

向こうには家族や友達だっていますから。

でも、こっちへ来た原因が分からないから今はまだ帰ることができません

けれど、いつかは帰れると信じて俺は今、戦います!」

 

 

俺はグラディス艦長の質問にそう返した。

これは俺が前々から思っていたことである。

向こうの世界にだって待っててくれる人はいるけど、帰り方が分からない以上、死ぬまでこっちの世界にいて家庭を持ったり働いたりするかもしれない。

でも、どっちの世界も俺には大切な世界だからどちらにせよ精一杯生きることに変わらない。

 

 

「あなたがそう決めているのならば私からは何も言わないわ。

これからも私たちに力を貸してちょうだい」

 

 

それから議長が戻ってくるまでルナから質問責めにあっていたが、とりあえず、俺が異世界の人間だということは内密にしておくことで話は纏まった。

 

 

そして議長が戻り、話が再開した。

 

 

「イチカの経歴については、やはり何とも言えないが君の意見は伝わったよ。

確かに、そういった面も一つの理由だが、もっとどうしようもない理由があるのだよ、戦争には。

例えば、あそこにある機体【ZGMF-X2000 グフ・イグナイテッド】。

先ほど、工廠からロールアウトされた新型でね。

戦争だからこうして、新たな機体が次々と造り出される。

他にもミサイルや武器など大勢の物が破壊され、撃たれ、工場で新たに造られる。

このMSを一つの機械産業と捉えてくれたまえ。

これほどに高価格で回転が良い利益の種など他にあるかね?」

 

「でも、議長それは!」

 

「そう、戦争である以上それは当たり前で仕方の無いことだ。

人というものは1度儲かると逆のことも考えてしまうのだよ。

戦争があるから儲かる、ならその逆は?戦争が無ければ儲からない。

だから、儲けるために戦争をやろうとする」

 

「そんな!?」

 

「あれは敵だ、仕方ない戦おう。

危険だ、仕方ない戦おう。

そう言って人類に戦争するようにし向け、産業として扱おうとする者達がいるのだよ。

自分たちは影から利益を得ようとしてね。

この戦争の裏にも彼ら【ロゴス】がいるだろう」

 

「ロゴス?」

 

「彼らがいる限り地球、プラントは戦争を終わらせることは出来ないだろう。

だが、それこそが最も難しいことなのだよ...我々には」

 

 

議長の言葉は俺たちにとって衝撃的なものだった。

俺たちの戦争を裏から操る存在がいるなんて、知りもしなかった。

それからは料理が運ばれたということもあり、食事を行い、食べ終わってから話を再開した。

 

 

「ところで、議長?

イチカとマユが私の隊に来るということでしたが、彼らの機体はいったい?」

 

 

と、アスランが議長へ尋ねた。

 

 

「ふむ、ここからでも見えるだろうか...。

...ああ、アレだよアスラン。

あの2機が二人の機体だ」

 

 

議長の指さした方をみんなが見る。

当然、そこには俺とマユの機体があるんだが。

 

 

「ジャス...ティス?」

 

「ああ、君は以前、アレのオリジナルに乗っていたのだったね――」

 

「...あの機体が...なんでここに......?」

 

「ん?どうかしたのかい?シン」

 

 

シンの呟きを聞いた議長はシンを見た。

シンは信じられないものを見るかのようにマユのF・フリーダムを見ていた


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