IS DESTINY ~蒼白の騎士~   作:ELS@花園メルン

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遅れてしまい、すみませんでした。

なかなか書くのに手間取り、少し変な感じかもしれません。

それと少しずつ物語が動くように頑張ってみました


家族の嘆きと『声』

SIDE イチカ

 

 

シンはマユの機体を見てただ呆然とし、議長の質問に答えていなかった。

 

 

「お、お兄ちゃん?ど、どうした――キャ!」

 

 

マユがシンの元へ向かい様子を伺うと、シンが強引にマユを振り払った。

 

 

「なんでアレに乗ってるんだよ、マユッ!

なんで、父さんと母さんを殺した機体なんかにっ!」

 

「え、ちょ、どういうことお兄ちゃん...?」

 

 

マユは何を言われたのか分からないという様子だった。

俺もマユと同じだった。

 

 

「オノゴロで!あの戦争で!

脱出船まで逃げていた俺たちの近くで戦闘していたモビルスーツの中にあの翼のモビルスーツがいた!いたんだよ!

目の前で父さんたちの命を奪ったんだ!」

 

 

知らなかった...。

義父さんと義母さんが死んだ原因の一端がフリーダムだったなんて。

 

 

「...そんな、アイツが...関係も無い一般人を...?」

 

 

アスランも何かを呟いていたがあまり聞き取れず、今の俺の思考では理解出来なかった。

 

 

「シン、少し落ち着いてよ」

 

 

と、ルナがシンをなだめるが、

 

 

「これが落ち着いていられるかよっ!

家族を殺した機体が眼の前にあるのに、そんなの落ちついてられるか!」

 

 

と、シンの怒りにルナは黙ってしまった。

 

 

「シン、君は少し誤解をしている。

あの機体は【フェイク・フリーダム】。

かつてヤキン・ドゥーエやオーブの戦場にいた機体【フリーダム】とは別物だ。

が、君の怒りは最もだ。

知らなかったとはいえ、家族を奪った機体と酷似している機体に君の大事な妹を乗せたのは私だ。

すまなかった」

 

 

議長がシンに対して頭を下げた。

 

 

「ッッ!...すみません、失礼します」

 

 

シンはそう言ってこの場を去った。

 

 

「シン!」

 

 

ルナがシンの後を追いかけていった。

 

 

「イチカ、マユもすまなかったね。

知らなかったとはいえ、まさか、君たちにとって仇とも言える機体と同じ外見の機体に乗せていたとは...」

 

 

と、議長が俺たちにも謝罪してきた。

 

 

「い、いえ、俺は大丈夫です...。

ただ、あまりの事実に頭が追いついていってないだけです...」

 

 

俺は、議長に対してそう返したが、正直、大丈夫ではなかった。

別に議長が悪いとかでは無い。

シンの言葉を聞いてから、俺の頭の中であの時の光景が蘇って、更に見てもいないのに義父さんたちがフリーダムの攻撃で吹き飛ぶ映像が浮かんでしまい、少し...なんというかキツいものがあった。

 

 

「議長、自分も失礼します...」

 

「...」

 

 

俺は一言そう言って下がったが、マユは震えながら頭を下げ俺に付いてきた。

 

 

「マユ、とりあえずミネルバの部屋まで送るぞ?」

 

「...イチカの部屋がいい...。

今は、独りでいたくないから...」

 

「分かったよ」

 

 

俺はそう言って、会食を行ったホテルの自販機で飲み物を買い、部屋まで帰った。

道中、俺とマユは一言も交わさずにいた。

 

 

「...大丈夫か?」

 

「...」

 

「すまん、そんなわけないよな。

俺だってそんなことないのに」

 

 

今、俺たちはこうして苦しんでいるけどあの時、目の前でその光景を見ていたシンはずっとこんな気持ちを抱いたまま今まで生きてたってのかよ...。

 

俺、シンより強くなるつもりでいたけど、アイツの方がずっと先にいたんじゃないか...!

 

 

「お兄ちゃん...ずっと前から知ってたのにそれを私たちに話さずに一人抱えてたんだよね...。

強いなぁ...やっぱり」

 

 

本当そう思う。

マユがフリーダムに乗ってるって事実を知って、それが爆発したんだとしても、それは至極当然だと思うから。

もちろん俺だって家族を殺した機体だなんて知ってたらマユを乗せてなかったかもしれない。

 

 

「なら、俺たちがアイツを支えよう。

アイツ独りで苦しんでたんなら俺たちがそれを少しでも軽くしてやろう」

 

「...うん」

 

 

 

 

 

SIDE シン

 

 

「シン、さっきのは流石に不味いんじゃない?

レイなんて議長へのシンの態度を見たとたんにすごい睨んでたわよ?」

 

 

部屋にまでついてきたルナにそう小言を言われた。

 

 

「確かに、あの場で当たり散らした俺が悪いさ。

でも、まさか家族が親を殺した機体に乗ってるなんて思わないじゃないか!」

 

「でも、あの機体は本物のフリーダムとは別物だって言ってたじゃない」

 

「だけど、あの姿を見たら、あの時の光景が頭に浮かぶんだよ…」

 

 

マユの携帯を取りに行った俺の少し上にいた父さんたちの死体が転がってて、その上空では緑色の機体と赤と黒の機体、それとあのフリーダムがいた。

あの三機のうちどれかが父さんたちを殺したんだというのはその状況からして明らかだった。

 

 

「忘れろとは言えないけど、いつまでも過去のトラウマに捕まったままだとこの先楽しく生きていけないわよ?」

 

「……わかってるさ、そんなことは」

 

「ひとまず明日は私達、休暇なんだからさ。

一度、気持ちの整理でもしてきたら?」

 

「……」

 

 

俺はルナの言葉に返答せずにベッドに横になった。

 

 

 

そして次の日、俺はルナの言われたように、ちょっと遠出して気持ちを整理しようと海へ向かった。

 

 

 

 

SIDE イチカ

 

 

「え?救難信号ですか?」

 

「ああ。この地図のこの地点にある研究所。

ここはかつて地球軍が占拠していた基地があったんだが、今は放棄されていてね。

君とマユに調査を頼みたい」

 

「分かりました」

 

「すまないね。

昨日のゴタゴタのすぐ後にこの様な事を頼んでしまって」

 

「いえ、それでは今から向かいます」

 

 

俺とマユはF・ジャスティスとF・フリーダムを駆り、その基地周辺へと向かった。

 

 

「マユ、ここら辺で降りよう」

 

「うん」

 

 

万が一の事態を避けるために近くの森に機体を隠し、俺とマユは廃基地へ潜入した。

 

 

「結構、広い場所だけど信号の発信位置って分かるの?」

 

「大体の場所ってのはマークされてるから――あの建物だ。

あの中のどこかに発信源があるはずだ」

 

 

基地本部らしき建物に入り、俺たちは手あたり次第に室内を捜索した。

上の階からしらみつぶしに探し、今は地下まで降りてきている。

 

 

「もう残ってるのってこの部屋だけだよね?」

 

「ああ。

今のところ全部はずれだから、ここもはずれならただの機械の故障ってことになるだろうな」

 

「ここまで来たのに~?」

 

 

けど、故障だとしたらなんでそれがザフトの俺たちに届くんだ?

別に国際救難チャンネルって訳でもないのに、地球軍じゃなくザフトの俺たちに届くなんて

 

 

「開けるよ?」

 

「ああ」

 

 

俺が室内に向けて銃を構え、マユがスイッチを押す。

ドアが開いた瞬間に俺は室内に飛び込み、銃を構えながら室内を見渡す。

 

 

「別に誰もいないね・・・」

 

「ああ」

 

 

室内には誰もいなかった。

しかし、一か所だけ起動している端末があった。

 

 

「これまだ機能してるんだね。

データ、吸い出せるなら吸い出しておかないと」

 

 

マユが端末を取り出し、起動していた端末に繋ぐ。

 

 

「えっと…、なにこれ…。

Brunhild Clone Project…?」

 

「ッッ!少し、見せてくれ!」

 

 

マユがデータを吸い出していた端末の場所を変わってもらい、データ収集をしながら表示されていた計画に目を通していた。

 

 

Brunhild Clone Project

ここは英語で書かれていたが、その下からは日本語でかかれていた。

こっちの世界では英語が主流で俺だって英語を主に使ってる。

なのに、この文書は日本語で書かれているなんて何か変だ。

 

 

「わ、これって何語なの?私、読めないんだけど」

 

「ISが世に出て数年、その力は全世界を揺るがすほどのものだった。

中でも、開発者たる篠ノ之 束と初代ブリュンヒルデの織斑 千冬。

この二人はその存在だけでも世界を震撼させるほどのものだった」

 

「え、イチカこれ読めるの!?」

 

「これ、俺の国の言葉だ」

 

「え、ホントに!?」

 

「圧倒的な力を誇示しつづけてもはや伝説とまで言われている織斑 千冬の戦闘力を研究することができれば、世界で実権を担うことができるほどの軍隊を産み出せるだろう。

しかし、そのブリュンヒルデのガードは固すぎて、本人に近づき、研究サンプルを得ることすら困難であった。

そこで我らは、ブリュンヒルデの血族たる織斑 一夏へ目を付けた。

天賦の才を持つブリュンヒルデの唯一の弟の織斑 一夏なら今は未熟ではあるが、後にブリュンヒルデに匹敵するほどの力を付けることができるだろう。

そう、推測し我々はサンプルとして織斑 一夏を確保することに成功した。

研究の第一段階はクリアし、その細胞やDNAの採取も完了した。

 

……ここで途切れてるな。

後は、吸い出した詳細なデータを基地で解析してもらおう」

 

「ねえ、ここに載ってる一夏って名前ってイチカのことなの?」

 

 

マユが俺にそう聞いてきた。

 

 

「多分、そうだと思う。

ISって言葉も出てきてたし、千冬姉の名前もあった。

ってことは、俺のことなんだろうな。

でも、なんでその研究がこっちに流れ込んでるんだ?」

 

「分からないけど、これってもし地球軍がデータを収拾してたとしたら、かなりやばいことなんじゃない?」

 

 

すると、突然、部屋に声が聞こえた。

 

 

『――る?おーい、聞こえるかな~?』

 

 

巨大なモニターにノイズが走り、俺たちはそこに注目した。

 

 

「音声だけ、みたい。

もしかしたら、映像も出せるかな?」

 

「分からない。

少し、調整してみるか」

 

 

するとノイズが酷いが少しだけ映像が映った。

 

 

『あれ?少し、見えてる?』

 

「…!?嘘、だろ?」

 

「?イチカ?」

 

 

俺はモニターにノイズが走りながらも映っている顔に見覚えがあった。

そして、マユが俺の名前を呼んだとき、そのモニターに映っていた人が声を荒げた。

 

 

『え!?いっくん!?いっくんなの!?』

 

 

モニターの相手が手元を弄って、すぐにより鮮明な映像が見えた。

 

 

「束…さん?」

 

『いっくん…?』

 

 

 




後半からはもうオリジナルですね!
アドバイスを受け、こんな感じに仕上げました。

まあ、違和感結構あると思いますが、次回も頑張ろうと思います

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