IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
SIDE イチカ
廃基地にある端末に通信が入り、俺とマユは相手の顔を確認した。
水色のエプロンドレスに機械のウサギ耳のカチューシャを付けていた女性だった。
マユは誰か分かっていなかったが、それも当然だ。
相手は俺のいた世界でISを開発した俺の姉千冬姉の親友である篠ノ之 束その人だったんだから。
「本当に束さんなんですか?」
『うん、そうだよ~。
にしても、いっくん今までどこにいたのさ!
束さんとっても心配して探し回ったんだよ?
全く見つからなくて死んだんじゃって思ってたけど…。
ってか、いっくんその今着てる服って宇宙服?
そんな動きやすそうな宇宙服初めて見たよ~!』
と、俺の質問に答えてもらってからマシンガンのような話をしてくる。
「実は俺、異世界にいるんです」
『異世界?あのラノベとかであるような剣と魔法の世界、みたいなの?』
「いえ、そんなのでは無くて―――」
俺は自分に起きた出来事を簡単に話した。
『なるほどなるほど!異世界の技術は凄いね!
宇宙進出どころか、MSなんていうものまで造り出してるなんて!
......けど、やっぱりどの世界も争いは絶えないんだね。
で、帰り方が分からないんだっけ?う~ん、束さんも流石に難しいかな~。
......今は別の――――――だし』
最後、何を言ってるかはノイズが酷く俺には聞こえなかった。
『あ、でもその基地にこっちのデータがあったてことは何かしらの抜け道が存在するって事だからさ!
そこのところは束さんが少し調べてみるよ。
でも、いっくん、気を付けてね?
ちーちゃんのクローンの計画がそっちに流れてて、技術力がそっちの方が上ってことはもしかしたら計画が成功させられてる可能性もあるんだから』
「はい、気を付けます」
『えっと、マユちゃんでいいのかな?』
束さんはマユにそう聞いた。
「は、はい!」
『じゃあ、まーちゃんだ!
まーちゃん、いっくんの事よろしくね?』
「わ、わかりました」
『じゃあ、そろそろ切るよ。
束さんも何かと忙しくってさ~』
そういうと、モニターの電源が切れた。
それと同時にこの部屋の照明も消えた。
この基地に残ってた電力も完全に底をついたってことか。
「とりあえず、議長にこのことを伝えよう。
クローン技術があっちの世界より発展してるこの世界であの計画が進行していたとしたら、俺の遺伝子からクローンが作り出されても千冬姉みたいな操縦技術を持つ可能性がある」
「そうだね。
データも可能な限りは吸い出せてるから戻ろ」
俺とマユは基地を抜け出し、機体のある森へ戻る。
機体のシステムを立ちあげると、アラートが響く。
「接近する機体が3機...。
いずれも識別コードはザフトのものだ」
「でも、増援の話は受けてないよね?」
「一応、コンタクトを取ろう。
でも、戦闘の準備はしておいてくれ」
「わかった!」
俺たちは森から飛び出し、空中へ上がる。
すると、地面を滑るように移動しながらこっちへ接近して来る3機の黒い機体が見えた。
「こちらは、ザフト軍ミネルバ所属の者だ!
そちらの所属及び目的をお聞かせ願う!」
『...』
「聞いているのか!
応答してくれ!」
『...』
「グッ!?」
3機はバズーカに取り付けてあるビーム砲でこっちに攻撃を仕掛けてきた。
反応や警告も無しに撃つのか!?
「マユ、迎撃!
所属が分からない以上敵と見なすしかない!」
「了解!」
俺とマユは3機の黒いMSと戦闘を開始した
短くてすみません。
理由としては次回が戦闘回なので、切上げさせてもらいました。