IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
ミネルバのタンホイザーから逃れるために俺は射線上から退避し、ミネルバが撃つのを待っていた。
しかし、ミネルバからのタンホイザーが放たれることは無く、むしろミネルバの艦主砲部位が破壊されてしまっていた。
「別方向からの攻撃!」
俺は攻撃された方を向いた。
そこには、マユのフェイク・フリーダムと同じような機体でその翼の色は青色だった。
「フリーダム…なのか?
それに後ろの戦艦、アークエンジェルか?」
フリーダムの後方から真っ白な戦艦がこの戦場にやってきていた。
アークエンジェル。
記録を見た限りだと、ヘリオポリスでの件の時にストライクを回収した戦艦で通称は【足つき】。
クルーゼ隊が地球まで追いかけたが、アラスカにて取り逃がし、オーブヘ渡ったそうだ。
その後はヤキン・ドゥーエ戦でも地球軍、ザフト軍と敵対するような感じでオーブ軍として戦場に参加していた。
終戦後の消息は不明だったが、こんなところに現れるなんて…。
すると、アークエンジェルから一機のMSが出撃してきた。
あの機体…、画像で見たことのある【X-105 ストライク】とうり二つだな。
でも、ストライクとカラーリングが全く別物で、ピンクを基調としており、しかも肩にオーブの獅子のマークが彩られていた。
ってことは、アレはオーブの代表が乗ってる機体って事か!?
『私は、ウズミ・ナラ・アスハの子、カガリ・ユラ・アスハ!
オーブ軍、直ちに戦闘を停止し軍を退け!』
アスハ代表!?なんで戦場に!?オーブに帰ったっていう報告だったのに。
そのアスハ代表はいきなり戦場にフリーダムと躍り出て、いきなり停戦要求をオーブ軍へ行っていた。
俺は、接近してくる敵機をあしらいながら、その動向を見ていたがオーブ軍の返答は【拒否】を現すかのようなミサイルによる一斉攻撃だった。
これにはさすがに驚いた。まさか、自国の代表に対して銃を向けるなんて…。
しかし、そのミサイルは代表のストライクの近くにいたフリーダムが火砲の一斉射によって破壊していた。
「アスラン、どうします?
――アスラン?」
俺は隊長であるアスランに不測の事態が起こったため、指示を仰ぐ。
「あ、ああ。
イチカはそのまま地球軍とオーブ軍の相手を頼む。
マユは――おいっ、マユ!?」
「!?マユっ!!」
マユが信じられない行動に出た。
敵か味方かは分かっていないフリーダムに対して攻撃を開始していた。
「マユっ!おい、マユっ!!くそっ、通信が切られてる!」
「彼女、恐らく周りが見えていないぞ!
グラディス艦長、ハイネの出撃を!
この混乱に乗じて向こうも手を打ってくるはずですっ!」
アスランが艦長に意見を具申し、ハイネがミネルバから出撃してきた。
「俺はとりあえず、敵の増援を食い止めておくぜ?
ちょうど、向こうも本命を出してきたみたいだしな?」
ハイネがそう言い、俺は敵の母艦を確認した。
母艦からは変形し空中へ飛ぶカオス、浅瀬の方へ向けて移動するガイアの姿が見えた。
恐らく、アビスも海中にいるのだろう。
「俺がマユを止めに行く。
二人とも、そちらは任せたぞ」
アスランはそういうと、セイバーを変形させフリーダムのいる方へ飛んでいった。
SIDE マユ
「フリーダムゥゥゥ!!」
私には今、目の前のフリーダムしか見えていなかった。
さっき、一瞬真っ赤に視界が染まった感じがしたけど、なんか視界がクリアになった気がする。
ううん、今はそんなことよりもフリーダムを落とさないと…戦場に出てきてこちらを撃った時点でアレはただの敵だ。
お父さんたちのこともあるけど、今の私はザフトの軍人なんだ――力を持っている私たちが艦を守らないと!
私はフリーダムに対しビームライフルを連射した。
狙いはコクピット。
しかし、それを嘲笑うかのようにフリーダムは躱し、腰からビームサーベルを抜いたと思うと、一直線にこちらへ向かってきた。
「今から抜いても間に合わないっ!ならっ!」
私は機体のスラスターの出力を落とし、真っ逆さまに海中めがけて落下していく。
フリーダムも当然それに付いてきたので、海面に激突しそうなところでクスィフィアスレール砲を海面に発射し、高く水しぶきを上げさせ、一瞬でもフリーダムの視界を遮らせた。
そしてすぐにビームサーベルを抜き、フリーダムを切り付ける。
でも、それは向こうのシールドに阻まれてしまい、逆にこちらの左腕が切られてしまった。
「でもっ!」
私は、これ以上の追撃を避けるためにフリーダムを蹴り、距離を取った。
そして、もう一本のビームサーベルを連結させ、再び攻撃を行おうとしたが、
「待つんだ、マユっ!」
セイバーが私の前に割り込み、攻撃を阻止した。
「何で邪魔するんですか!」
「そんな状態の機体じゃ、これ以上の戦闘は無理だ!
一度、下がれ!」
「そんなの、分からないじゃないですか!!」
「いいから行け!隊長命令だ!」
「くっ、分かりました」
私は、諦めきれなかったが命令に従い、ミネルバへの道を飛んでいった。
SIDE イチカ
アスランがフリーダムの方へ向かい、俺とハイネは浅瀬から回り込んできているガイアと海中から接近してくるアビス、さらに多数のオーブ、地球軍のMS部隊を相手にしていた。
カオスはシンが相手をしていた。
「くぅ、数が多いねぇ!
おい、イチカ!落とされんなよ!」
「分かってるよ!」
俺は接近してくる二機のオーブ軍のMSを二本のデファイアントビームジャベリンで切り裂いた。
NO SIDE
「見たことないやつがいるじゃんか!!」
アビスのパイロットのアウルはイチカのF・ジャスティスへ接近し海中から飛び出し、ビームランスを振り下ろした。
「アビスか!」
ランスを機動防盾で防ぎ、反撃を試みようとイチカが考えたとき、接触していたアビスとの接触回線が開き、相手の声がイチカに入ってきた。
『面白いじゃん!コイツ、前の時の青い奴か!!』
アビスのパイロットの声を聴いたとき、イチカは信じられないものを見たような顔になった。
「うそ…だろ?その、声、アウルなのか?」
『あ?誰だよ、お前?』
しかし、相手のパイロットはイチカのことを知らないと言わんばかりにそう聞いた。
「俺だ!イチカだ!この前、街で会っただろ!!」
『街で?そんなの知るかよ!!とっとと落ちろよ、この野郎!!』
アウルはアビスでジャスティスに横蹴りを入れ、吹き飛ばして三連装ビーム砲を放った。
「…俺が分からないのか?えぇい!」
イチカはビームを躱し、アビスの動きを封じようとビームブーメランを投げる。
『そんなんが効くかよ!!』
アウルはビームブーメランをビームランスで破壊し、カリドゥス複相ビーム砲を撃った。
イチカはそれを機動防盾で受け止めた。
SIDE イチカ
クソッ!まさかアビスに乗ってたのがアウルだったなんて…、どうすればいいんだよ…!
『おい、イチカ!ボサッとするな!後ろだ!!』
「え?しまっ―――うあぁぁ!!」
考え事をしてしまい、後ろからのミサイルの攻撃に気づかず、反応が遅れモロに被弾してしまった。
機体はミサイルの爆風によって海中に叩き落とされ、しかも俺もその衝撃で意識が少し遠のきかけていた。
駄目だ…、ここで意識を失くしたら…!
動け、動け動け動け!!
俺はこんなところで終われない、死にたくないっ!!
消えそうな意識の中、そう俺は強く思った。
すると、プラント防衛戦の時のように意識がクリアになり、微かに空色の種のようなものが割れるのを感じた。
途端、意識が覚醒し自分が次に何をすべきか?
そのための最適な動きを瞬時に起こし、俺は機体を海中から浮上させ、一気に飛び出した。
「うおおぉぉぁぁぁぁ!!!」
俺は近くにいた敵機をビームサーベルで切り、すぐさま次の対象へデファイアントビームジャベリンを振り抜いた。
俺に反撃を仕掛けようと三機でビームライフルを連射してくる敵もいたが、その敵をビームライフルとバラエーナプラズマ収束ビーム砲でコクピットを貫き、破壊した。
そして背後から六連装のビーム砲が飛んできたのを避けると、俺はアビスへと向かった。
「アウルゥゥゥ!!」