IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
SIDE イチカ
ミネルバへ押し寄せる敵を一機、また一機と落としていくが、その量は多く、ミネルバへの被害がどんどん重なっていく。
「このままじゃ持たないぞ!!」
『艦長!ミネルバを一旦退かせてください!このままじゃ!』
補給、予備のパーツで機体を修理したマユも戦線へ復帰してはいるが、状況は確実にこちらに不利だった。
『ミネルバを後退させる!
皆、あと少し持ちこたえてちょうだい!メイリン、セイバーとグフにも艦の護衛を!』
『は、はい!―――え?グフ、シグナルロスト…』
「!?ハイネが!?嘘だろ!」
すると、セイバーもミネルバ付近へと戻ってきた。
『ハイネは…、俺をかばって、ガイアに…』
と、アスランは口にした。
正直、FAITHの称号を持つ彼が死ぬなんて思わなかった。
だからこそ、俺たちへの心的ダメージは大きかった。
『おい!イチカ!しっかりしろ!
まだ俺たちにはやることがあるんだぞ!!』
「!シン」
『マユだって、そうだ!
ミネルバへの脅威を排除するまでまだ戦いは終わってないんだぞ!』
『…お兄ちゃん』
『俺たちが、ハイネの分まで戦わないと!』
そうだ…。
シンの言う通り、俺たちにはやることがある。
ハイネがいなくなったのなら、彼の分まで俺たちが戦うしかないんだ!!
「はぁぁぁ!!」
俺はビームライフル、バラエーナプラズマ収束ビーム砲を一斉に放ち、編隊を組んでいる敵部隊を破壊していった。
マユもF・フリーダムの全武装一斉掃射で多数の敵MSを落としていった。
シンはブラストへ換装し、ケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲とミサイルランチャーによる一斉攻撃を行い、接近する敵MS、ミサイルを排除していった。
ミネルバがある程度後退したところで、援軍が到着し戦況は有利になったが、敵もすぐに撤退し戦闘は一応の終着を迎えた。
ミネルバは再び基地にて補給と修理を行わなくてはならず、俺たちの機体もそれと同時に修理、データの更新を行っていた。
そして、俺とシン、レイ、アスランは議長に呼ばれ、執務室へとやってきていた。
「ロドニアの研究所ですか?」
「ああ。
以前、君とマユが持ち帰ったデータを解析したところ、この付近にあるかつての地球軍の研究施設の名前があってね。
どうやら、このデータはそちらへ転送されたようなんだ。
そこで調査隊を派遣しようと思ってね、君たちを連れて我々も調査を行おうと考えている」
「議長自らが、でありますか?」
「うむ。
こう見えても私は以前はれっきとした科学者でね。
こういった研究の知識もある程度は持っているのさ」
そして、俺たちはロドニアのラボに調査部隊として派遣され、施設内に侵入した。
「こ、これは、なんというか…」
ミネルバ副長のアーサーさんが施設へ入って、口元を押さえた。
施設にて俺たちが見たものは、たくさんの子供たちの死体、液体に漬けられたままの人間の眼球などだった。
吐きはしなかったものの、多少の不快感が俺を襲ってきた。
「分かってはいましたけど、刺激がきついですね」
と、アーサーさんは言った。
ここの施設は多少の設備が生きており、施設にいた子供たちのデータが多少閲覧できた。
「クロト・ブエル…オルガ・サブナック…シャニ・アンドラス。
これは、あの時の彼らか…」
アスランはデータを見てそうつぶやいていた。
地球軍の施設だから、やはり戦場で戦った相手のデータもあるんだろうか…。
俺も別の端末で調べていると、見覚えのある顔があった。
「アウル、ステラ、スティング…。
やっぱり彼らも、そうだったのか…。――ん?これは?」
別のファイルに入っていた人体データだろうか。
名前はただの被検体1号だった。
顔の画像データは無かった。
が、何かが引っかかっていたがそれの正体が分からないまま、結局そのファイルを閉じた。
「イチカ、少し来てくれ。
このファイルだが、君の国の言語では無いか?」
と議長に呼ばれ、見てみたファイルはタイトルは日本語で【いっくんへ】と書かれていた。
それを開くと、テキストファイルと何かのプログラムが自動でインストールされ始めた。
プログラムがインストールされたと思うと、すぐに画面が変わり、束さんの顔が映った。
『お!やっほー!いっくん、束さんだよ~!』
「た、束さん?どうして!しかもこの場所に俺たちが来る保障なんて無いのにどうやって連絡を!?」
『君たちがここにいずれ来ることは分かってはいたんだよ?
束さんの方でもあの時の基地のデータを解析したからね。確か、ロドニアってところだったかな?
で、いっくんの今いる世界では日本語は使われていないみたいだったから、ハッキングして日本語でファイルを作成して、開いたら束さんの元へ連絡がくる様にしておいたのだ!』
と、どや顔で話すが、何とも言えない凄い技術だった。
議長も俺たちの話を聞いてこっちに来たアスランも驚いていた。
異世界同士をネットワークでとはいえ、ハッキングするとは…。
「異世界越しにハッキングって流石ですね…」
『で、いっくんにお知らせがあるんだけど、良い知らせと悪い知らせ、どっちからがいい?』
と、束さんは俺に二択をふっかけてきた。
「えと、じゃあ、良い方の知らせから」
『一応ね、いっくんがこっちに帰って来るための準備はできたんだよ!』
「え!?本当ですか?」
『うん!ただ、その為にISコアを一つ失うことになったんだけどね。
それと、今はまだいっくんしか移動することができないんだよ。
こっちの世界やそっちの世界からいっくん以外の人が移動することはできないんだよ』
「ISコアでそんなことができるんですか?」
『まあね。
と言っても、ISコアは束さんでも分からない未知なところがあるからね。
もしかしたらそう言うことができても当然の事なのかもしれないんだよ』
「でも、どうやって俺をこっちからそっちの世界へ移動させるんですか?」
『それはこの装置をそっちの世界でも作ってもらえば後はこっちで何とかできるよ!』
そう言って、束さんはこっちのコンピュータへ何かの設計図のファイルを送ってきた。
「これを作ればいいんですか?」
『そーだよー。
その装置は所謂、電話の子機みたいなものでね。
今、束さんが作ってる親機と通信して物質を飛ばすんだ。
なんていうか、ポ〇モンの通信交換的なやつ?』
「な、なるほど…。
議長、そういうことらしいのですが、開発は可能なんでしょうか?」
「ふむ、見たところだと可能だろう。
ミス・シノノノ、これの開発はこちらで引き受けましょう」
と議長が束さんにそう言った。
『うん、わかったよ。
何か、貴方にだったら安心して任せられる気がする。
いっくんの事もお願いね?』
「お任せください。
彼の存在は我々にとっても大きなものだ。
出来る限りのことは致しましょう」
「じゃあ、束さん。
もう一つの悪い知らせの方を聞かせてください」
『うん。悪い知らせって言っても二つあるんだけど、一つはこれ』
そう言って、見せてきたのはとある画像だった。
「た、束さん!これは!!」
「フリーダム、なのか?」
『見覚えがあるんだね?
こっちの世界では現行のISは試作段階の第三世代が最高なんだけどね、この機体は突如、現れてモンド・グロッソにて暴れまわったんだよ』
画像に映っていたフリーダムは、IS用に改造されたような見た目で、頭部はバイザー、腕や足はところどころを装甲で覆っており、青い翼が特徴的だった。
『おかげでこっちの世界の政府は大荒れ。
そのフリーダム?ってISを手に入れようと躍起になってるほどなんだよ。
束さんも正体を追うために色々手を打ってみたけど全部だめだった。
向こうには束さんを超える相手がいるってことだね…』
「とりあえず、もう一つの知らせは…?」
『いっくんの偽者が出たの』
俺の偽者。
束さんはそう口にした
そろそろIS世界との関わりを強めていこうと思います。
リメイク前よりも大分変ってきてるとおもいますが、これからもよろしく頼みます